隣の土地は何する者ぞ -特殊地形論- その5
2006年7月23日 戦略記事・読み物 コメント (2)
○費用対効果
世の強力なカードには「とりあえず色とコンセプトが合っているデッキに入れたら普通に強い」という物と「何も考えずに投入しても微妙だけど、これ専用にデッキを組んでやれば強い」という物があります。
前者はコストパフォーマンスの良いクリーチャーや除去、火力やカウンター、ドローなどいわゆる「普通」のカードが該当します。
後者に該当するのは、たとえば有名なのが《ドルイドの誓い/Oath of Druids》。「オース」のデッキ名の由来ともなるカードです。《悪疫》や《平等化》などのリセット系コンボデッキも、特定のキーカードを最大限働かせるために専用に組まれたデッキで戦っていました。
つまり、それ専用にデッキを組むべきカードはそれに見合った大きな効果を期待してもいいよね、ということです。
○何が問題なのか
この土地をC-2の評価に照らし合わせてみます。
利点1〜4、欠点1〜2は当然満たしますし、肝心の効果は不確定ながらもドロー、何も損はありません。余りのマナで起動するには充分な効果です。インスタントスピードで動くことの多いデッキならば採用を考えたいところです。
と、ここまで考えてそれでも強いと言い切れない理由はやはり「氷雪しか手札に加えられない」という一点に完全に集約されるはずです。ドローの確率が不確定であるという特徴は、そもそも余りマナをつぎ込むというプレイ方針であれば決定的な不採用理由にはなり得ません。
《占術の岩床》の効果は単なる手札増強ですから、当然デッキコンセプトの中心になるようなカードではありません。あくまでもサポートカードとして使うべきものです。
ではサポートカードとしてデッキにこっそり忍ばせておく、などということが可能かというと勿論無理ですね。
それでは、サポートカードの能力活用のためにデッキ全体の構成へと影響を与えるということがどの程度可能なのでしょうか。
これが次なる論点になります。
○Balance / 天秤
まず、青系コントロールにしてもバーンにしても(他にも入るデッキがあるかもしれませんが)《占術の岩床》を投入した形で組んでみて、そこからあえて《岩床》だけを抜いて普通の土地に差し替えてみる。
そうした場合に「あ、岩床抜くなら構成変えたほうがいいよな」と思ってしまう。そういう場合は、元から必要なかったんじゃないかな?と思います。安定性を上げるためのドロー能力を使うためにデッキ全体の安定性を損ねているというのは本末転倒ですよね。ただでさえデッキに4枚しか入っていない土地の能力で、しかも能力自体は3マナが余っているときにしかプレイしない。
さすがにデッキを歪めるだけのインセンティヴはありません。
そういう意味では《ファイレクシアの鉄足》が氷雪クリーチャーである、という事実は岩床にとって大きな救いになっているように感じます。ナチュラルにデッキの防御力up定に寄与し、有効活用のために氷雪マナを準備する価値もある。それにマナソースも含めてある程度の氷雪カードを無理なく投入できるならば、そこで始めてこのカードを投入する気にもなろうというものです。
そろそろ、現時点での結論を一応出しておきます。
《占術の岩床/Scrying Sheets(CSP)》は能力的に特定のデッキにしか入らない土地であるが、この微弱なサポート能力のためにデッキ自体の構成を変えたり、専用のデッキを組むだけの魅力はない。そんなことをするより、そのデッキを普通の土地と普通のカードだけで組んであげたほうが安定するはずだし、そうすることで得られる構築段階での安定性は《占術の岩床》の能力起動によって得られるアドバンテージの合計よりも間違いなく価値が高い。
ただしデッキを構築した時点で、一部のマナソースを氷雪地形に差し替えても充分安定した構成であると言える場合は投入をためらう必要は全くない。ぜひ、マナの余ったターンに小さなギャンブルを楽しんでほしい。
以上。
本当に長い文章になりましたが、これが自分なりの意見表明のやり方であり、堂々と議論に参加するための礼儀みたいなものです。
毎度毎度長ったらしい前置き文章で本題の文章はそれの後付けみたいな形になっていますが、こんな感じで「〜論」的なものをぶち上げて、それに沿った形でお題のカードやデッキを議論する、というスタンスが自分に合っているのかもしれません。
では。異論、反論、指摘などもお待ちしています。
世の強力なカードには「とりあえず色とコンセプトが合っているデッキに入れたら普通に強い」という物と「何も考えずに投入しても微妙だけど、これ専用にデッキを組んでやれば強い」という物があります。
前者はコストパフォーマンスの良いクリーチャーや除去、火力やカウンター、ドローなどいわゆる「普通」のカードが該当します。
後者に該当するのは、たとえば有名なのが《ドルイドの誓い/Oath of Druids》。「オース」のデッキ名の由来ともなるカードです。《悪疫》や《平等化》などのリセット系コンボデッキも、特定のキーカードを最大限働かせるために専用に組まれたデッキで戦っていました。
つまり、それ専用にデッキを組むべきカードはそれに見合った大きな効果を期待してもいいよね、ということです。
○何が問題なのか
この土地をC-2の評価に照らし合わせてみます。
利点1〜4、欠点1〜2は当然満たしますし、肝心の効果は不確定ながらもドロー、何も損はありません。余りのマナで起動するには充分な効果です。インスタントスピードで動くことの多いデッキならば採用を考えたいところです。
と、ここまで考えてそれでも強いと言い切れない理由はやはり「氷雪しか手札に加えられない」という一点に完全に集約されるはずです。ドローの確率が不確定であるという特徴は、そもそも余りマナをつぎ込むというプレイ方針であれば決定的な不採用理由にはなり得ません。
《占術の岩床》の効果は単なる手札増強ですから、当然デッキコンセプトの中心になるようなカードではありません。あくまでもサポートカードとして使うべきものです。
ではサポートカードとしてデッキにこっそり忍ばせておく、などということが可能かというと勿論無理ですね。
それでは、サポートカードの能力活用のためにデッキ全体の構成へと影響を与えるということがどの程度可能なのでしょうか。
これが次なる論点になります。
○Balance / 天秤
まず、青系コントロールにしてもバーンにしても(他にも入るデッキがあるかもしれませんが)《占術の岩床》を投入した形で組んでみて、そこからあえて《岩床》だけを抜いて普通の土地に差し替えてみる。
そうした場合に「あ、岩床抜くなら構成変えたほうがいいよな」と思ってしまう。そういう場合は、元から必要なかったんじゃないかな?と思います。安定性を上げるためのドロー能力を使うためにデッキ全体の安定性を損ねているというのは本末転倒ですよね。ただでさえデッキに4枚しか入っていない土地の能力で、しかも能力自体は3マナが余っているときにしかプレイしない。
さすがにデッキを歪めるだけのインセンティヴはありません。
そういう意味では《ファイレクシアの鉄足》が氷雪クリーチャーである、という事実は岩床にとって大きな救いになっているように感じます。ナチュラルにデッキの防御力up定に寄与し、有効活用のために氷雪マナを準備する価値もある。それにマナソースも含めてある程度の氷雪カードを無理なく投入できるならば、そこで始めてこのカードを投入する気にもなろうというものです。
そろそろ、現時点での結論を一応出しておきます。
《占術の岩床/Scrying Sheets(CSP)》は能力的に特定のデッキにしか入らない土地であるが、この微弱なサポート能力のためにデッキ自体の構成を変えたり、専用のデッキを組むだけの魅力はない。そんなことをするより、そのデッキを普通の土地と普通のカードだけで組んであげたほうが安定するはずだし、そうすることで得られる構築段階での安定性は《占術の岩床》の能力起動によって得られるアドバンテージの合計よりも間違いなく価値が高い。
ただしデッキを構築した時点で、一部のマナソースを氷雪地形に差し替えても充分安定した構成であると言える場合は投入をためらう必要は全くない。ぜひ、マナの余ったターンに小さなギャンブルを楽しんでほしい。
以上。
本当に長い文章になりましたが、これが自分なりの意見表明のやり方であり、堂々と議論に参加するための礼儀みたいなものです。
毎度毎度長ったらしい前置き文章で本題の文章はそれの後付けみたいな形になっていますが、こんな感じで「〜論」的なものをぶち上げて、それに沿った形でお題のカードやデッキを議論する、というスタンスが自分に合っているのかもしれません。
では。異論、反論、指摘などもお待ちしています。
コメント
私も某氏のブログにて要約すれば氏と同様の意見を挙げさせていただいた事も有り全く同意見です。
「占術の岩床」は現行のスタンダードデッキに投入して劇的な効果を認めるものでは無く(登場するかは不明ですが)専用デッキにおいて初めて真価を発揮する存在であると思います。
また、氏も考察されていたようにコントール系のデッキにおいて少数の氷雪カードと共に1〜2枚投入し、ターンエンド時に余ったマナの有効活用手段に用いられる可能性はあると思います。
専用デッキに投入して初めて云々、というと多少語弊があるのですが、要は「岩床を使うという目的のためにわざわざ弱いデッキを組む必要はない」、ということです。
一歩間違えばファンデッキ用カードになってしまいそうな、扱いの難しいカードだと今でも思っています。