【レガシーデッキ解説】『サイドから作る』青黒マーフォーク
【レガシーデッキ解説】『サイドから作る』青黒マーフォーク
【レガシーデッキ解説】『サイドから作る』青黒マーフォーク
●《懐古/Dwell on the Past》

「なんでまた最近マーフォーク使ってるの?」

使いたいからです(直球)

というわけで、久々にマーフォークの構築記事を書こうと思います。最近使ってるのは本当に「ただ使いたいから」以上の理由は特にありません。まあ、また最近ちょっと青いデッキだらけになってきているという後付けの理由も無くはないですが・・・。

自分がレガシー始めた理由がそもそもスタンで好きだったマーフォークをまた使いたいという単純なものでした。今回は、好きなデッキを調整して頑張って勝ちたいという素直な気持ちに立ち返ってデッキ解説記事をお送りしようと思います。あとたまには長文書かないとブログのアイデンティティーが失われるし。

●まずサイドより始めよ

とりあえず《非業の死/Perish(TMP)》打ちたい。そこがスタートでした。

《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman(RTR)》《突然の衰微/Abrupt Decay(RTR)》により、緑という色の価値が一気に上昇。結果的に環境で《タルモゴイフ/Tarmogoyf(FUT)》を見かける機会も一時よりまた多くなりました。
また、RUGが環境の王者として君臨しているという事実もあり、何らかの全体除去の働きをするカードが取れないデッキは使いたくありませんでした。
ならいつも通り奇跡コンで《終末/Terminus(AVR)》打ってればいいんじゃないの?
確かにそれでも良さそうですが、RTR後数を増やしたBUG系デッキが厳しいということ、そして常に意識する必要があるスニークショーがどうしても苦手であることから、最近は少し青白奇跡系に不満がありました(※Omni-Tell相手ならば有利だと思いますが、スニーク型だと不利だと思います)。
また、エルフというデッキの強さも悩みの種でした。単に捌くだけではすぐに復帰してしまうこのデッキ相手には、封殺しつつも素早くゲームを決める力を持ったデッキでなければ勝てないと感じます。

そんなわけで、「《非業の死/Perish(TMP)》の打てるクロックパーミッション」という選択肢として青黒マーフォークが魅力的に思えてきました。当初はエルフを強く意識して《仕組まれた疫病/Engineered Plague(ULG)》を採用する予定だったのですが、他にゴブリンぐらいにしか効かず無駄スロットになりそうなので、RUGやBUGといった「まともな」デッキ相手にもサイドカードとして機能するペリッシュに落ち着くことになりました。

しかしペリッシュだけではエルフに勝てないのは過去に学んだ事実。また、マーフォークを使っていてどうしてもANTに勝てないことが何度かあったので、その点についても克服したいと考えました。

その結果、新たにサイドに取ったのが《虚空の杯/Chalice of the Void(MRD)》です。

マーフォークはコンボに強そうに見えて実は頻繁に脳筋ハンドをキープしていたり、せいぜいマナ要求カウンターを握っている程度ということがよくあります。また、ピアスを構えるためのマナを残すと削り切るのが1ターン遅れてしまう・・・というジレンマを抱えることも多いデッキです。兎にも角にもデッキ内に占める生物スペースが多すぎることが原因なのですが、それは性質上仕方のないこと。
というわけで1:1交換以下しか取れないカウンターではなく、1枚で後続をシャットアウトして自分は自由に動ける対策カードとしてチャリスを選択することにしました。エルフにはペリッシュと合わせてサイドイン可能であり、それ以外にも様々なコンボデッキやRUGのような極端に1マナに依存しているデッキにも刺さります。だいたいX=0で置きますが。
特に新しいアイディアではなく既存の発想ではありますが、環境的にチャリスが強そうなので今こそ選ぶ意味があると考えました。

●「弱い」デッキからの脱却

マーフォークと言えばバイアル設置からデイズとWillを構えて、相手が態勢を立て直す前にロードの群れで押しつぶす。またはスティルで蓋をして悠々と魚をバイアルから生み出す。そんなイメージを今でも持っている方は多いと思います。
でも実際はバイアルとカウンターはあるけど生物はスカスカだったり、脳筋ハンドだけど普通にマナを払って展開するしかなくて意外と遅かったり、「スティルは貼られたら無視してすぐに行動する」というプレイがもう皆にバレていたりと、そんなに理想通りには行きません。

以前僕が翻訳したマーフォークの記事にも同様の記述がありましたね。
人魚の誘惑(前半)
http://police.diarynote.jp/201208230046456472/
人魚の誘惑(後半)
http://police.diarynote.jp/201208232053334651/

都合のいい時に欲しいカードを引いてこれたら苦労しないわけです。なので、土地を切り詰めて無色土地をフル投入してピンポイントなカウンターを積んで(ドロー操作はできないけれど)回れば勝ち!という構成は相変わらず好きではありません。もちろんアーキタイプによってはそういう構築も有りというか推奨されるべきですが、せっかく青いカードを使えるデッキでやる必要はないと思います。

投入すべきカードは目的に沿って決めるべきです。
コンボと緑系のデッキ全般に勝ちたいという大雑把な目的があり、そしてアーキタイプ自体に「『コンボに対して直接的に強い青いデッキ』に対して強い」という特性があるのですから、それに合う、もしくはその方向性の弱点を補うカードを選択するべきです。

《呪い捕らえ/Cursecatcher(SHM)》、《銀エラの達人/Silvergill Adept(LRW)》、2マナロード2種。《霊気の薬瓶/AEther Vial(DST)》、Will。これらのカードは魚を組む理由でもあり、また目的に合ったカードでもあります。
《目くらまし/Daze(NEM)》、《行き詰まり/Standstill(ODY)》は状況依存的なカードであり場合によっては抜かれます。しかし、今回はコンボに強い構成にするという意図があるため、これらのカードもキープします。

では《メロウの騎兵/Merrow Reejerey(LRW)》はどうでしょうか。
確かに便利な誘発型能力を持つロードです。しかし、この能力のおかげで勝つということはあまり多くありません。何より、最高マナ域の生物であるにも関わらず後続のクリーチャーを引いていることが前提の能力のため、不利な時に引くと死ぬほど弱いカードの1つです。緑系のデッキ相手には能力が貢献することもありますが、全体的な勝率に及ぼす影響はあまり高くないと思います。
逆に《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique(MOR)》は強力です。ロードを引かなくてもタルモを乗り越えて殴り、しばしば不要なデイズやバイアルをドローに変換し、コンボ系相手にはメインから対策として機能します。何より、瞬速のおかげでバイアルを3にしなくても構えられるのがうれしい。

さらにもう1体、「強いデッキにする」ためには欠かせないクリーチャーがいます。
それは《珊瑚兜の司令官/Coralhelm Commander(ROE)》です。

かつては「魚の近代兵器」と持て囃されていたこのカードも《真珠三叉矛の達人/Master of the Pearl Trident(M13)》と入れ替えで抜かれてしまったことが多いようです。
しかし、マーフォークの弱点である「一度マナが余ると使い道がない」「島がない相手にはただの地上生物の群れ」という2大弱点を克服してくれ、単体で4点飛行クロックになるこの生物は、デッキ自体のパワーを底上げするために欠かせないクリーチャーだったのです。
これに気付かずしばらくデッキから抜いてしまっていたせいで、やけにデッキパワーが貧弱になっていたことに最近ようやく気付きました。

さて、珊瑚兜を再投入するとなれば青マナの拘束はさらに厳しくなります。《不毛の大地/Wasteland(TMP)》が不要というのは以前の記事や翻訳記事でも言及されていたことですが、それに加えてバイアルを引かなくても安定してプレイできるように土地も多めにする必要があります。「バイアルを引かないと回らない魚」は「マナクリーチャーを引かないと回らない緑のデッキ」と本質的に同じです。そんなデッキ使わないですよね。

土地を普通に伸ばすことができ、タッチ黒のためフェッチが入り、そして青くて殴るデッキ。
ここまでくれば、もう《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor(WWK)》を入れない理由は何もありません。これでデッキ完成です。
クリーチャー21
4《呪い捕らえ/Cursecatcher(SHM)》
4《銀エラの達人/Silvergill Adept(LRW)》
4《真珠三叉矛の達人/Master of the Pearl Trident(M13)》
4《アトランティスの王/Lord of Atlantis(TSB)》
3《珊瑚兜の司令官/Coralhelm Commander(ROE)》
2《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique(MOR)》

スペル17
4《霊気の薬瓶/AEther Vial(DST)》
4《行き詰まり/Standstill(ODY)》
4《Force of Will(ALL)》
3《目くらまし/Daze(NEM)》
2《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor(WWK)》

土地22
4《変わり谷/Mutavault(MOR)》
3《Underground Sea(REV)》
3《溢れかえる岸辺/Flooded Strand(ONS)》
3《霧深い雨林/Misty Rainforest(ZEN)》
3《沸騰する小湖/Scalding Tarn(ZEN)》
6《島/Island(ZEN)》

Sideboard
1《トーモッドの墓所/Tormod’s Crypt(CHR)》
2《大祖始の遺産/Relic of Progenitus(ALA)》
1《水没/Submerge(NEM)》
2《残響する真実/Echoing Truth(DST)》
3《非業の死/Perish(TMP)》
3《虚空の杯/Chalice of the Void(MRD)》
1《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique(MOR)》
2《梅澤の十手/Umezawa’s Jitte(BOK)》

ご覧の通り、できるだけ相手の動きやアーキタイプに依存したピンポイントなカードを使わないよう意識して構築しました。
さらにヴェンデリオン→ジェイスという青いデッキの黄金ラインが組み込まれ、またバイアルor変わり谷+スティルという魚特有のコンボも仕込まれているため、一定のデッキパワーが保障されています。
代償として「超ドブン」は失われていますが、少なくともある程度のラウンド数を戦うならばこちらの方が良いと思います。

どうしても置き物で詰むという弱点は(一応ジェイスがいますが)青黒では根本的に解決はできないため、サイドにはバウンスを取ってあります。また、石鍛冶相手は結局十手ゲーをされるかどうかが全てなのでサイドにはいつも通りきちんと十手を。もちろん各種ビートダウンやエルフ相手にもサイドインできます。

●《第二の日の出/Second Sunrise》
サイドから逆算して組み上げていった今回のマーフォーク、いかがだったでしょうか。
個人的にはとても満足のいく出来なので、またしばらくこのデッキで遊びたいと思っています。個人的なマーフォーク第二シーズンです。
もし気になったらぜひ試してみてくださいね。

そうそう、週末はM14プレリです。
今回また新しい強力な2マナマーフォークが追加されたみたいですね。果たしてレガシーでの出番は・・・あるのかな?

それでは、また次の記事でお会いしましょう。
(準決勝:http://police.diarynote.jp/201302280322502814/

決勝戦:サトウナオキ vs. Edu
『ギルド門侵犯』ゲームデーの決勝戦はオリジナルの「バントデルバー」をプレイするサトウと、前環境から生き残り続けている「ラクドスミッドレンジ」を使用するEdu(※)の対戦となった。
(※:本人の希望によりHNでの記事掲載となります)

《聖トラフトの霊/Geist of Saint Traft(ISD)》というラクドス系相手に除去されづらい生物を採用してはいるものの、確定除去や火力を複数種類プレイすることのできるラクドス中速系相手にはサトウのデッキはやや分が悪いだろうか。
それでは早速、決勝戦の模様をお届けしよう。

Game1
1本目はサトウが貴重な先手を獲得。一枚ずつカードをめくって確認し、マリガンを宣言する。一方Eduは初期手札をザッと見て大きく溜息をつき、こちらもマリガンを宣言。お互い6枚でのスタートとなった。

サトウの《神聖なる泉/Hallowed Fountain(RTR)》アンタップインからの《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets(ISD)》で決勝の幕が開けた。Eduは沼を置いてターンを返すと、早速《アゾリウスの魔除け/Azorius Charm(RTR)》を公開して「変身」。3点クロックを刻み始める。さらにデルバーの2体目を追加するサトウ。

Eduは《竜髑髏の山頂/Dragonskull Summit(M13)》をセットし、《悪名の騎士/Knight of Infamy(M13)》をプレイ。「守勢で弱い」という賛美クリーチャーの弱点が如実に現れる展開となってしまった。サトウは2体目のデルバーは変身しなかったものの、気にせず2体でアタック。4点のダメージが通るが、3枚目の土地はセットできずターンを返す。

《悪名の騎士/Knight of Infamy(M13)》の攻撃には瞬速で登場した《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage(ISD)》が相打ちを取るが、Eduは続いて《吸血鬼の夜鷲/Vampire Nighthawk(M13)》をプレイ。サトウの攻勢に大きく待ったをかける。
再び変身はせずに2体でアタックするサトウ。Eduには1/1の《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets(ISD)》を一方的にブロックする選択肢もあったが、確実にクロックを引き下げるために変身した《昆虫の逸脱者/Insectile Aberration(ISD)》をブロック。そのまま相打ちとなり、サトウは追加で生物をプレイせずそのままターンを返す。

序盤を凌いでしまうともはやラクドスミッドレンジの時間になってしまう。
Eduは手始めに《ゲラルフの伝書使/Geralf’s Messenger(DKA)》をプレイ。サトウも《議事会の招集/Call of the Conclave(RTR)》でクロックを用意するが、Eduは構わず《悪名の騎士/Knight of Infamy(M13)》を追加し、「賛美」された《ゲラルフの伝書使/Geralf’s Messenger(DKA)》で攻撃を開始する。
これにはブロックを行わず、返す刀で攻撃を開始するサトウ。しかし3/3トークンには《夜の犠牲/Victim of Night(ISD)》が放たれ、《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets(ISD)》の1点のダメージしかEduには与えられない。
ここで手を止めてしまっては敗北が近づいてしまうサトウは《繁殖池/Breeding Pool(GTC)》をアンタップインしてライフを8まで減らしつつ、《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage(ISD)》から《議事会の招集/Call of the Conclave(RTR)》をプレイ。盤面のクロックを一気に回復させた。

しかし既に一桁にライフが落ち込んでしまっているサトウ。4/3の《ゲラルフの伝書使/Geralf’s Messenger(DKA)》の攻撃を通してしまうわけにもいかず、《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage(ISD)》でチャンプブロックを行う。
いまだに変身しない《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets(ISD)》とともに3/3トークンで攻撃を行い、Eduの《悪名の騎士/Knight of Infamy(M13)》をデルバーへの相打ちに使わせることができたサトウは《ゲラルフの伝書使/Geralf’s Messenger(DKA)》を攻撃時に《アゾリウスの魔除け/Azorius Charm(RTR)》で排除。価千金の時間を稼ぐ。
次のターンにそのまま《ルーン唱えの長槍/Runechanter’s Pike(ISD)》を装備し、残るライフを一撃で刈り取ったのであった。

サトウ 1-0 Edu

Game2
先手のEduは初手の7枚を見て大きく呻き声を上げるものの、マリガンせずキープ。ちなみにその内容は《忌むべき者のかがり火/Bonfire of the Damned(AVR)》、《悲劇的な過ち/Tragic Slip(DKA)》、土地5枚というもの。サトウのデッキ相手には初動さえ捌けば問題ないという意思が見られるキープだ。
対するサトウは静かにマリガンを二度行い、5枚でゲームを開始する。

除去プランを取るEduは土地をセットしてエンド。しかしダブルマリガンに見舞われたサトウは1ターン目に《神聖なる泉/Hallowed Fountain(RTR)》をタップインするだけで生物を出すことができない。
するとその隙を咎めるかのようにEduは《墓所這い/Gravecrawler(DKA)》をドロー、そのまま戦場へと送り込む。サトウは《ムーアランドの憑依地/Moorland Haunt(ISD)》と苦しいランド展開で、やはり展開はせずにエンド。

《墓所這い/Gravecrawler(DKA)》で攻撃を行った後、Eduはさらに引き込んだ《ゲラルフの伝書使/Geralf’s Messenger(DKA)》をプレイ。サトウはようやく《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets(ISD)》をプレイできたところだ。
そんなサトウの苦しい様子とは対照的に、続けて2枚目の《ゲラルフの伝書使/Geralf’s Messenger(DKA)》をドローしたEduは《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets(ISD)》を《悲劇的な過ち/Tragic Slip(DKA)》で除去しつつこれをプレイ。全軍アタックを行い、既にサトウのライフは9点しか残っていない。

結局、続くターンもサトウは土地を引き込めず投了を宣言した。

サトウ 1-1 Edu

Game3
ゲームデー最終戦となったこの3本目。先手を選択したサトウはここで痛恨のトリプルマリガン。一方のEduは余裕のキープ。

再び土地をセットするだけで1ターン目の生物は展開できないサトウ。しかし2ターン目には《議事会の招集/Call of the Conclave(RTR)》をプレイ、と悪くない滑り出しを見せる。
Eduは《悪名の騎士/Knight of Infamy(M13)》を展開するもこれはブロッカーとしての役目は持てず、そのままサトウの3点クロックが動き始める。しかしEduも3点クロックは同じ。返しに攻撃を行ったあと、最強のブロッカーである《吸血鬼の夜鷲/Vampire Nighthawk(M13)》を立てる。

これを放置してはダメージレースにならないサトウはトリプルマリガンの貴重な手札から《拘留の宝球/Detention Sphere(RTR)》をキャストし、《吸血鬼の夜鷲/Vampire Nighthawk(M13)》を排除。攻撃を継続する。しかしEduは4枚目の土地をセットすると同時に《ファルケンラスの貴種/Falkenrath Aristocrat(DKA)》をプレイして攻撃、一気にダメージレースを逆転する。

それでも攻撃を続けるしかないサトウ。《クウィリーオンのドライアド/Quirion Dryad(M13)》も追加してターンを返す。Eduは《忌むべき者のかがり火/Bonfire of the Damned(AVR)》を手札からX=1で唱え《クウィリーオンのドライアド/Quirion Dryad(M13)》を退場させると攻撃を継続し、《墓所這い/Gravecrawler(DKA)》を追加する。
こうなるともはやトリプルマリガンのサトウには盤面を逆転する手段は残されておらず、次のターンにEduがフルアタックを宣言するとそのまま投了を宣言した。

Edu 2-1 サトウ

『ギルド門侵犯』ゲームデー優勝はEdu!おめでとう!
準決勝:ハセガワ コウヘイ vs. サトウ ナオキ

プロツアー『ギルド門侵犯』直後に開催となった今回のゲームデー『ギルド門侵犯』。BigMagic池袋店では参加者34名の満員御礼での開催となった。

"The Aristocrats"の優勝で幕を閉じたプロツアーの影響を受け、今回のゲームデーには同様のコンセプトのデッキを持ち込む(もしくはコピーを持ち込む)プレイヤーの姿も散見された。TOP8にも一名を送り込んだのだが、残念ながら一没という結果になっている。

残り4名にまで絞られた準決勝のマッチアップのうち一卓はラクドススライのヒサモトとラクドスミッドレンジのEduによるラクドス同系戦が、そしてこちらの卓ではトリコトラフトのハセガワとバントデルバーのサトウによる対戦が行われることになった。

ゲームデー当日の朝まで完成しておらず、開始直前で常連たちが頭を付き合わせて大急ぎで構築されたサトウのデッキ。当日持ち込んだ時点ではバントですらなく、RUGカラーであったという。急拵えもいいところだが、それを使いこなしTOP4まで進出する手腕はさすがの「一周年記念大会」王者といったところか。

一方のハセガワのデッキはいわゆるトリコトラフトで、プロツアーで多く見られた《ボロスの反攻者/Boros Reckoner(GTC)》タイプとは異なった攻撃的な攻勢が特徴のデッキである。

どちらもアグレッシブな攻勢ではあるものの、より前のめりな攻勢のサトウのデッキの初動をハセガワが凌げるかどうかが勝負の分かれ道になるだろうか。また両者とも《聖トラフトの霊/Geist of Saint Traft(ISD)》を使用するマッチアップであるため、この伝説のクリーチャーを巡る攻防もまた要になるかもしれない。

Game1
先手を取ったハセガワはマリガンを行い、手札を6枚へ。後手のサトウは初手をキープする。

《蒸気孔/Steam Vents(RTR)》のタップインからゲームが開幕するが、しかしサトウはのんびりしたゲームに用はないとばかりに《繁殖池/Breeding Pool(GTC)》をアンタップインさせながら《実験体/Experiment One(GTC)》をキャスト。
当然これを放置するわけにいかないハセガワは即座に《ミジウムの迫撃砲/Mizzium Mortars(RTR)》で除去。どうやら《火柱/Pillar of Flame(AVR)》は持っていないようだ。
それならば、とさらに《寺院の庭/Temple Garden(RTR)》をアンタップインし、ライフをすり減らしながらサトウは《クウィリーオンのドライアド/Quirion Dryad(M13)》を召喚する。この動きにより、サトウのデッキが古典的な「グロウ」系のデッキであることが明らかになった。

しかしハセガワの先手3T目アクションは《神聖なる泉/Hallowed Fountain(RTR)》アンタップインからの《聖トラフトの霊/Geist of Saint Traft(ISD)》!あとはこの生物を戦闘で失わないようにアタックを続けるだけだ。
サトウは1/1のままのドライアドでアタックを行うが当然スルー。戦闘中に成長することもなく、《ムーアランドの憑依地/Moorland Haunt(ISD)》をセットしてターンを返す。

トラフトの攻撃に合わせてサトウがプレイしたのは《セレズニアの魔除け/Selesnya Charm(RTR)》。これにより2/2の騎士トークンが登場し、ドライアドも成長を果たす。しかしハセガワはブロックが成立後に《修復の天使/Restoration Angel(AVR)》をプレイする理想的なパターンによりトラフトを失うことなく4点ダメージを与え、航空戦力を追加する。
サトウは《ムーアランドの憑依地/Moorland Haunt(ISD)》を起動するのでなければ手札のショックランドをタップインすべきであったように思われたが、単なるミスプレイだろうか?

結局次のターン、サトウは《神聖なる泉/Hallowed Fountain(RTR)》をアンタップインしてライフを10まで減らしつつ《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage(ISD)》をプレイ。《セレズニアの魔除け/Selesnya Charm(RTR)》をフラッシュバックし、さらに騎士トークンを追加しつつ一気に《クウィリーオンのドライアド/Quirion Dryad(M13)》を4/4にまで成長させる。
このドライアドと先ほど出した1体目の2/2騎士トークンが攻撃を行い、両者ともブロックされることなくハセガワへダメージを与えた。これでハセガワとサトウのライフは11-10と僅差へ詰め寄る。

しかし返しのターン、ハセガワはトラフトと天使により空からサトウに7点のダメージを与えた後、《ボロスの魔除け/Boros Charm(GTC)》の「本体火力」モードで一気にゲームを終わらせたのであった。

ハセガワ 1-0 サトウ

Game2
先手を選択したサトウはマリガンなし。一方、ハセガワは再び7枚をライブラリーへと戻し、初手を6枚とした。

1ゲーム目同様、《繁殖池/Breeding Pool(GTC)》から《実験体/Experiment One(GTC)》スタートを切るサトウ。しかしハセガワも今回はキープ基準を固めており、《蒸気孔/Steam Vents(RTR)》からの《火柱/Pillar of Flame(AVR)》でこれを退場させる。
サトウの二の矢として繰り出されたのは《議事会の招集/Call of the Conclave(RTR)》。これにより3/3トークンが戦場に現れるが、ハセガワは《神聖なる泉/Hallowed Fountain(RTR)》をタップインし、事実上の「火力を持っていない」宣言を行った。

サトウはこれで安心したかどうかは定かではないが、とりあえず攻撃を開始。そのまま3枚目の土地は置けず、マナを立たせてターンを終了。サトウのエンドステップにハセガワは「サトウを対象に」《思考掃き/Thought Scour(DKA)》をプレイ。1本目でサトウの《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage(ISD)》を見ているはずなのだが、何か意図があるのだろうか?

ハセガワがブロッカーとして用意した《ボロスの反攻者/Boros Reckoner(GTC)》には《呪文裂き/Spell Rupture(GTC)》が突き刺さる。3/3のトークンをコントロールしている今、この呪文はかつてスタンダードを牛耳った《マナ漏出/Mana Leak(M12)》以外の何者でもない。

このケンタウルス・トークンはもう一度攻撃を行った後に《灼熱の槍/Searing Spear(M13)》によって除去されてしまうが、サトウは続いて《クウィリーオンのドライアド/Quirion Dryad(M13)》を追加。サトウは土地を引けていないのでハセガワはカウンターを気にせず《雷口のヘルカイト/Thundermaw Hellkite(M13)》をプレイすることができ、攻撃に回ったのだが、これは3枚目の土地を引き当てたサトウの《拘留の宝球/Detention Sphere(RTR)》によって退けられた。
この除去によってちゃっかり成長していたドライアドによって再び2点のクロックがハセガワを穿ち始める・・・のだが、これは返しの《轟く激震/Rolling Temblor(ISD)》によって退場。盤面はまっさらになる。

続いてサトウは《議事会の招集/Call of the Conclave(RTR)》の2枚目をキャスト。サトウの土地が1枚しかないタイミングでハセガワも自分のメインフェイズで《修復の天使/Restoration Angel(AVR)》を呼び出し、守りを固める。
しかしこれには気にせず攻撃を開始するサトウ。ハセガワは警戒しつつもライフの関係上ブロックを選択したが、これには《アゾリウスの魔除け/Azorius Charm(RTR)》が。さらに《寺院の庭/Temple Garden(RTR)》をアンタップインして2マナを残し、強烈にカウンターを匂わせてサトウはターンを返す。

これには仕方なくエンドするしかないハセガワ。再びのトークンによる攻撃に合わせて《修復の天使/Restoration Angel(AVR)》を出し直してみるものの、ここには2枚目の《呪文裂き/Spell Rupture(GTC)》が。ハセガワは仕方なくダメージレースのため、エンド前に《ボロスの魔除け/Boros Charm(GTC)》をサトウへ打ち込んでおく。
しかし盤面へ干渉するカードを引けないハセガワ。続くターンにも《修復の天使/Restoration Angel(AVR)》を《呪文裂き/Spell Rupture(GTC)》され、3/3トークンからの手痛い一撃を受けたのち、サトウが《聖トラフトの霊/Geist of Saint Traft(ISD)》を追加するのを確認するとカードを片付けた。

ハセガワ 1-1 サトウ

Game3
ハセガワの先手となった最終戦。今回はお互い1度ずつマリガンを行い、ハセガワはこれで3ゲームともマリガンをする形となった。

それはともかく《蒸気孔/Steam Vents(RTR)》のタップインから入ったハセガワ。しかしサトウはみたび1ターン目にクリーチャーをプレイ。今度は《神聖なる泉/Hallowed Fountain(RTR)》からの《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets(ISD)》だ!

ハセガワは再び土地をタップインでターンを返すが、サトウの《秘密を盗む者/Stealer of Secrets(RTR)》は《アゾリウスの魔除け/Azorius Charm(RTR)》を公開して2T目の「羽化」を果たした。しかしこれは許可できないとばかりにアップキープ中に《送還/Unsummon(M13)》によりハンドへと戻される。
少し残念な様子ながらも、バウンスを使わせたから結果オーライとばかりに《議事会の招集/Call of the Conclave(RTR)》をプレイするサトウ。このトークンは返しに焼かれることはなく次のターンに攻撃を開始し、さらに先ほどバウンスされた《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets(ISD)》も戦場へ再登場する。

土地を置いてターンを返し続けるハセガワ。それを尻目にサトウは1/1と3/3で攻撃を開始する。これにはブロックを挟まず、エンド前に《修復の天使/Restoration Angel(AVR)》をプレイするハセガワ。先ほどの公開で《アゾリウスの魔除け/Azorius Charm(RTR)》を見ているため、こうする他ないといったところか。しかしこれには2ゲーム目で猛威をふるった《呪文裂き/Spell Rupture(GTC)》が突き刺さり、ハセガワはブロッカーを用意させてもらえない。

次のターン、再び《アゾリウスの魔除け/Azorius Charm(RTR)》を公開して変身が行われ、サトウのクロックが一気に6点へと膨れ上がる。このアタックにはハセガワも戦闘中に《修復の天使/Restoration Angel(AVR)》をプレイしてブロックに回るが、当然《アゾリウスの魔除け/Azorius Charm(RTR)》によりライブラリーへと追い返されてしまう。しかも、サトウは確実にあと1枚は《アゾリウスの魔除け/Azorius Charm(RTR)》を握っているのだ。

次のターンも同様のブロックを行ったあと、予定調和的に《アゾリウスの魔除け/Azorius Charm(RTR)》によって天使を追い返されるハセガワ。サトウは《実験体/Experiment One(GTC)》を追加する。
そして次のターンには三度目の正直!とばかりに《修復の天使/Restoration Angel(AVR)》をブロックに回したのだが、今度は《シミックの魔除け/Simic Charm(GTC)》により攻撃の通った《実験体/Experiment One(GTC)》をパンプされてしまい、ハセガワのライフはちょうど0になってしまったのであった。

サトウ 2-1 ハセガワ

サトウ、決勝戦進出!

(決勝戦:http://police.diarynote.jp/201302280432064120/
BM池袋 『ラヴニカへの回帰』ゲームデーカバレッジ(決勝戦)
(準々決勝:http://police.diarynote.jp/201210300033028261/
(準決勝:http://police.diarynote.jp/201210300213246146/

決勝戦:成田 安正 vs. 今泉 陸

3ヶ月に一度の「祭り」もいよいよ残すところ決勝戦のみ。
参加者32名の中からここまで生き残った2人を改めて紹介しよう。

まずは今大会の大本命と目されてきた成田。その自慢の"JALites"を武器にここまで順当に勝ち上がってきた。爆発力はもちろん、その綿密な確率計算から生まれた安定性は誰もが認めるところであり、TOP8入賞は当然として優勝しても全く驚かない、と考えていた人は多い。

対する今泉は言わば大穴、もしくはダークホース。準決勝カバレッジでもご覧いただいた通り、そのデッキは《高まる献身/Increasing Devotion(DKA)》を《集団的祝福/Collective Blessing(RTR)》すれば勝ち!という一見するとギャグのようなコンボを持つトークン・ビートダウンである。

誰もが決勝に上がってくると信じていた成田と、決勝まで残るとは誰も思わなかった今泉。
本命と大穴の最終決戦。その火蓋が切って落とされた。

Game1
互いにゆったりとした序盤を過ごしそうなこのマッチアップ。そこまで先手後手の影響は大きくなさそうであるが、一方のみがマナ加速連打で駆け抜けて一気にゲームが終わる可能性も秘めている。
ダイスロールに勝利したのは今泉。潤沢なマナソースに恵まれたハンドを即キープするが、対する成田は6枚へハンドを減らした。

両者1ターン目は"M10ランド"のタップインからターンを返し、2ターン目には今泉が《遥か見/Farseek(M13)》を、成田が《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman(RTR)》をプレイし後の布石とする。

今泉はさらに《セレズニアの魔鍵/Selesnya Keyrune(RTR)》からマナを伸ばしつつ《夜明け歩きの大鹿/Dawntreader Elk(DKA)》、と生物を展開しつつもマナを伸ばす意気込みを見せ続ける。成田はメインで《忌まわしい回収/Grisly Salvage(RTR)》をプレイし、少考の後に《スラーグ牙/Thragtusk(M13)》を入手した。
ここまで成田は3ターン連続で"M10&ISD"土地をタップインしており、後手である上に1ターンずつ行動が遅れている。先手で爆発的なマナ加速を行っている今泉とのマナ差の開きを止められない。

今泉はさらに《セレズニアの魔鍵》2枚目をプレイしつつ、1枚目の魔鍵を起動して《夜明け歩きの大鹿》とともに成田へ初ダメージを与える。その返しに成田は《草むした墓》に2点のライフを支払いつつ、自らの墓地にある土地を《死儀礼のシャーマン》で追放しながら合計5マナを捻出、先ほど手札に入れた《スラーグ牙》を降臨させ延命を図る。

これでアタックのできなくなった今泉は、しかしこの膠着した場面に最適な《ニンの杖/Staff of Nin(M13)》をプレイ。ゲームが長引くのは望むところだ。
これで一転アタックを与儀なくされた成田は《スラーグ牙》で攻撃するも、これは《夜明け歩きの大鹿》がその身を差し出しながら基本土地をサーチし無駄なく時間を稼ぐ。成田は追撃のため《未練ある魂/Lingering Souls(DKA)》をプレイせざるを得ないが、その片割れは《ニンの杖》で早速除去される。

《ニンの杖》が無事にターンを跨いで帰ってきたことで今泉のドローが加速を始める。残る1体のトークンも再び杖で薙ぎ払い、無防備になった成田のボディを2体の"魔鍵"が突き刺す。
急いで解決策を探さなければならない成田は墓地の《信仰無き物あさり/Faithless Looting(DKA)》をフラッシュバックし、もはや何の役にも立たないことが明らかな《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil(ISD)》を2枚ディスカードした。《未練ある魂》をフラッシュバックするが、やはり《ニンの杖》が癌だ。ひとまず《スラーグ牙》は防御に徹するべく、アタックをせずにターンを返す。

成田が《死儀礼のシャーマン》をコントロールしているため、今泉は《未練ある魂》をキャスト後、そのまま優先権を渡さずフラッシュバックまでを唱えて防御を固める。成田は墓地の《夜明け歩きの大鹿》をシャーマンで追放し、ライフゲインを行った。
しかし返しのターンでは何もできずターンを返す成田。ここでエンド前にスピリット1体を《ニンの杖》で除去しようと試みる今泉だが、これは《ガヴォニーの居住区》の起動により失敗に終わった。

しかし《ガヴォニーの居住区》を使うのは成田だけではない。次のターンに今泉はスピリットトークン4体で攻撃。今泉は2回《ガヴォニーの居住区》を起動できるマナを持っているため、残りライフ11の成田はこれをブロックしないわけにはいかない。このうち1体を2/2のスピリットでブロックすると、今泉は一度だけ《ガヴォニーの居住区》を起動。6点のダメージを与えた後、《終末》で盤面を一掃する。
盤面には成田のビーストトークンだけが残る形になってしまうが、今泉には2枚の"魔鍵"がある。

このままではジリ貧となってしまう成田は《堀葬の儀式/Unburial Rites(ISD)》で《ケンタウルスの癒し手/Centaur Healer(RTR)》を呼び起こしライフを回復。ビーストトークンで攻撃を開始する。
しかし、今度は今泉の側から《スラーグ牙》が登場!さらに《ニンの杖》の2枚目も現れてしまい、もはや成田には絶望的な盤面に。返すターンで何もできずに《ニンの杖》からの本体ダメージを受け始めることになった成田は、続くターンに今泉が《高まる献身/Increasing Devotion(DKA)》をプレイしたところで投了を宣言した。

今泉 1-0 成田

Game2
1ゲーム目では土地も生物も微妙なところしか引き込めなかった成田。しかし、この2ゲーム目でも初手の7枚を見て「今日一番悪い初手だ(笑)」と苦笑しながらライブラリに戻した。
なんとか1マリガンで満足する初手を確保できた成田。今泉は再び7枚の初手をキープする。

今泉が2ターン目の《遥か見》で今回もマナを伸ばし始めると、成田も負けじと《忌まわしい回収》から土地をピック。しかし3ターン目も土地をタップインするだけになってしまう。
対する今泉は《夜明け歩きの大鹿》でアタックを開始し、成田が《根囲い/Mulch(ISD)》で墓地を肥やしつつ土地を得たところで必殺の《安らかなる眠り/Rest in Peace(RTR)》をキャスト!辛うじて前のターンにフラッシュバックされていた《未練ある魂》は被害を逃れるが、墓地に落とされていた《静穏の天使》や《信仰無き物あさり》が利用されることなく追放されてしまった。

しかし次のターン、今泉が《高まる献身》を唱えたところでエンド前に《天啓の光/Ray of Revelation(DKA)》で《安らかなる眠り》を破壊する成田。ひとまずは窮地を脱することに成功する。
さらに《殺戮遊戯/Slaughter Games(RTR)》で苦手な《ニンの杖》を排除するが、その際に今泉のハンドに見えたカードは《終末》、《スラーグ牙》、そして《集団的祝福/Collective Blessing(RTR)》!《高まる献身》によって5体のトークンを並べている今泉は「コンボ」のもう片割れを手札に既に抱えていた。

当然ブロッカーを立たせてエンドせざるを得ない成田。今泉は《集団的祝福》をプレイし、4/4になった兵士5体で攻撃を開始する。スピリットトークンがそのうち2体をキャッチし、残りの3体が強烈な一撃を与える・・・
のを当然許すはずもなく、その前に成田は《天啓の光》をフラッシュバック。《集団的祝福》を破壊し、ブロックされたトークン2体を相打ちに取る。
「(《天啓の光》が墓地に残ってるのを)完全に忘れてた・・・」と動揺を隠せない今泉。それでもまだ、現状では有利であることに変わりはない。

続くターンでは互いに《スラーグ牙》をプレイし合いライフを引き上げる、まさに現在のスタンダードを象徴するかのような場面に。
ライフを守らなければならない成田はそのままターンを返すが、今泉は残った兵士3体と《スラーグ牙》を共にレッドゾーンへ送り込む。成田の《スラーグ牙》が兵士トークン1体を受け止めるが、無情にも今泉は2体目の《スラーグ牙》をプレイする。ライフの差は開く一方だ。

何もせずターンを返すしかない成田。今泉は《大天使の霊堂/Vault of the Archangel(DKA)》を設置し、再び全員で攻撃。今度は《スラーグ牙》で《スラーグ牙》をブロックする成田だが、今泉が有り余るマナから《大天使の霊堂》と《ガヴォニーの居住区》を共に起動すると、《修復の天使/Restoration Angel(AVR)》でブロックに回っていた《スラーグ牙》を明滅。ライフとトークンを獲得し、今泉のライフリンクを1体分だけ立ち消えさせる。
それでも10点のライフを得て残り38まで引き上げられた今泉。対する成田のライフはもはや6点しか残っておらず、次のターンを耐えきることは不可能だ。

ここで《修復の天使》、《スラーグ牙》、ビーストの3体で攻撃した成田は《次元の浄化/Planar Cleansing(M13)》で盤面を一旦リセット。成田の側にはビーストトークンが1体、今泉には2体登場する。
しかし、《次元の浄化》によって大きく土地を縛られてしまった成田は《ガヴォニーの居住区》を起動することができず、《ガヴォニーの居住区》と《大天使の霊堂》によって「4/4、接死、絆魂」となった今泉の2体のビーストの片方をチャンプブロックすることしかできない。

1ターンのみ猶予を得た成田ではあったが、次のターンのドローで解決策となるカードを何も引くことができず、そのまま暴力的な成長を続けるビーストトークンに踏み荒らされることになった。

今泉 2-0 成田

実は手札に《孔蹄のビヒモス/Craterhoof Behemoth(AVR)》を握っていた成田。《大天使の霊堂》の10点ゲインさえ無ければ32点のダメージによって大逆転勝利を収めることができていた。
しかし、《大天使の霊堂》を引き込み《ガヴォニーの居住区》と同時に起動することを考えて余った土地をブラフに使わず全てセットし続け、そして実際に《大天使の霊堂》を間一髪のタイミングで引き当てた今泉が紙一重で逆転の目を潰し、結果として《孔蹄のビヒモス》は戦場に現れることはなかった。


かつては「FNMでも全然勝てない」と嘆き、それでも自分の手でデッキを作ることを諦めなかった今泉。
改良を重ね続け、最後まで自分のデッキを信じ、理解することで得られたこの勝利。

世間では「たかが店舗大会の一つ」のゲームデーではあるが、この店のメンバーにとっては「年に4回しかないお祭り」だ。参加するメンバーの熱意が違えば、同じ名前の大会であっても、その質、その盛り上がりは全く別物となる。

今はただ、祭りの勝者を称えよう。

『ラヴニカへの回帰』ゲームデー優勝者は今泉 陸!
おめでとう、お前がチャンピオンだ!

(準々決勝:http://police.diarynote.jp/201210300033028261/
(決勝戦:http://police.diarynote.jp/201210301550179732/

準決勝:福岡 正康 vs. 今泉 陸

スイスラウンドを滑り込み8位で抜けた福岡が操るのはエスパー・コントロール。カウンターを大量に積んだタイプであり、常連の身内からレシピを提供してもらい組んだデッキだ。スタンダードの大会は一ヶ月前のFNM以来であるという多忙な福岡だが、長いMTG歴を武器に古典的なコントロールで戦い、準々決勝では相性の良いジャンドミッドレンジを悠々と下している。

対する今泉は常連内でも一番の若手。新環境の早い段階から自作のデッキを大会に何度も出ては練り直して、今日の舞台へと完成品を持ち込んでいる。その正体は試合の内容を追いながら確認していただきたい。

何もかも正反対の二人がぶつかり合う準決勝。福岡が「マジックの伝統」パーミッション・コントロールでその年の功を見せつけるか、それとも今泉が若い力でそれを跳ね除けるか。注目の一戦をお送りしよう。

Game1
福岡の先手でゲームが開始される。互いに7枚の初手をキープしており、万全なゲームが期待できる。

青系コントロールのセオリー通り土地を置いては静かにターンを返し、《熟慮/Think Twice(ISD)》で手札を育てる福岡。対する今泉は2ターン目から《遥か見/Farseek(M13)》、《未練ある魂/Lingering Souls(DKA)》とプレイし、その両方が通る。さらに次ターンの《未練ある魂》フラッシュバックからクロックを4点へと成長させるが、ターン終了時の《熟慮》フラッシュバックから公開された《終末/Terminus(AVR)》が一旦盤面をリセット。互いに損をすることなく、1対1の交換が行われた。
今泉は手を緩めず《スラーグ牙/Thragtusk(M13)》をプレイ。これにも《熟慮》で対応するもののカウンターが見つからない福岡はこれを苦い顔で通すしかなく、返しの《未練ある魂》で時間を稼ごうと目論む。

《スラーグ牙》の攻撃をスピリットでブロックされるが、この程度では済まさないと今泉は《高まる献身/Increasing Devotion(DKA)》をキャスト!しかしこれには手札に溜まっていた福岡の《否認/Negate(M13)》が刺さり、ひとまずは猶予を得る。福岡はさらに《未練ある魂》をフラッシュバックして時間を稼ごうとするが、今度は今泉が《終末》を奇跡でプレイ。《スラーグ牙》から生まれたビーストトークンのみか戦場に残り、さらに2枚目の《高まる献身》もカウンターされることなく解決されてしまう。

今泉の手札が残り1枚であることを確認した福岡はここでリセットをかければ大きな追撃はないと判断したか、《終末》を「通常」キャスト。しかし今泉の返すターンの行動は《セレズニアの魔鍵/Selesnya Keyrune(RTR)》からの《集団的祝福/Collective Blessing(RTR)》!突如としてソーサリー除去では対処のできない6/6のクロックが誕生してしまった。

そして、もちろん《集団的祝福》は《魔鍵》を育てることが目的ではない。福岡がドローゴーをした返しに、十分なマナから今泉は《高まる献身》をフラッシュバック!これが通ってしまえばゲームは一瞬で終了かと思われたが、福岡は握っていた《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage(ISD)》から《否認》をフラッシュバックしこれを退ける。マナの余っている福岡はここからエンド時に今泉のライブラリーを《ネファリアの溺墓/Nephalia Drownyard(ISD)》で攻撃し始める。

それでも墓地には《高まる献身》はまだ1枚残っている。次ターンに再びこれをフラッシュバックする今泉だが、福岡もまた2枚目の《瞬唱の魔道士》を握っていた。《雲散霧消/Dissipate(ISD)》のフラッシュバックでこれを打ち消し、ネファリアを起動し、《熟慮》をフラッシュバック。《未練ある魂》をプレイしてさらなるブロッカーを確保。徐々にゲームは福岡の側に傾いているように見えた。

しかし、ここで今泉がプレイした3枚目の《高まる献身》がついに通ってしまう!盤面に5体の4/4トークンが並び、さらに6/6の《セレズニアの魔鍵》がアタックを開始する。
フラッシュバックの《未練ある魂》も含めれば合計6体はブロッカーを用意できる福岡だが、到底相打ちできるサイズではないため解決にはならない。インスタントタイミングでの《終末》を警戒してトークンのみでアタックを行う今泉。それでも十分な殺傷力を持つため「奇跡」を願うしかない福岡は《アゾリウスの魔除け/Azorius Charm(RTR)》でドローを選択するが、奇跡は起こらない。

ブロッカーで止めきれなかったトークンは《ガヴォニーの居住区/Gavony Township(ISD)》で強化され、福岡に重い一撃を与える。ネファリア2枚を自分自身に起動し、解決策を探しに行く福岡ではあったが、土地とカウンター呪文しか引くことのできないまま巨大なトークン達に押し潰されてしまうのであった。

今泉 1-0 福岡

Game2
先手の福岡は満足にキープ。対する今泉は福岡のキープ宣言を聞くより早くマリガンを宣言した。なんとか1回のマリガンでキープできる手札をもらえた今泉は6枚のハンドでゲームを開始する。

ゲームは開幕1ターン目から今泉の《真髄の針/Pithing Needle(RTR)》(指定:《ネファリアの溺墓》)で大きく動く。一見地味に見えるこの行動だが、勝ち手段及びアドバンテージ獲得を大きくネファリアに依存している福岡のデッキで、この《真髄の針》は大きな痛手だ。

それでも土地を置いてターンを返すしかない福岡。ところが対する今泉も《遥か見》をプレイしたのは良いものの、そのまま互いの土地が9枚を越えるところまで福岡の《禁忌の錬金術/Forbidden Alchemy(ISD)》キャスト以外は一切の動きをせず、セットランド&ゴーでターンが進行し続ける。

実質的な次のアクションは福岡の《死の支配の呪い/Curse of Death’s Hold(ISD)》。これで強化されていない状態では今泉のトークンはその力を発揮しなくなる。しかし、返すターンで11枚の土地を揃えた今泉は《スラーグ牙/Thragtusk(M13)》に《雲散霧消》を消費させてからの本命の《ニンの杖/Staff of Nin(M13)》を通す!
これが生き延びてしまうとアドバンテージに大差が付いてしまうが、福岡は無事にハンドに《拘留の宝球/Detention Sphere(RTR)》を握っていたため大事には至らない。さらに《ニンの杖》を排除してからの《未練ある魂》を安全にキャストする。

返しに《ロクソドンの強打者/Loxodon Smiter(RTR)》は通さざるを得ないが、十分にトークンはいる上に呪いも貼られている。福岡はトークン1体だけでアタックし、スピリットトークンを3体立たせてターンを返す。
邪魔なスピリットをまとめて排除しようと今泉は《血統の切断/Sever the Bloodline(ISD)》をプレイするがこれは《雲散霧消》の的に。仕方なく《ロクソドンの強打者》で攻撃するが、これを福岡はスピリットトークン3体でブロックしてしまう。《死の支配の呪い》は貼られているのだが、今泉のコントロールする《ガヴォニーの居住区》を見落としてしまっていたのだ。
この手痛いミスの結果、福岡はチャンプブロッカーを2体余計に消費してしまう形になった。

ブロッカーの尽きた福岡は仕方なく《瞬唱の魔道士》で《終末》をフラッシュバックするが、すぐさま《夜明け歩きの大鹿/Dawntreader Elk(DKA)》と《スラーグ牙》を展開する今泉。
《ガヴォニーの居住区》があるため、もはやどんなクリーチャーであっても数さえ並べば対処せざるを得ない。しかし福岡は《未練ある魂》を辛うじて引き当ててチャンプブロックに回すことしかできない。《隔離する成長/Sundering Growth(RTR)》で《真髄の針》を破壊しつつブロッカーを「居住」で増やしつつ、拘束の解かれた《ネファリアの溺墓》を自身に起動して回答を探しに行くと、《熟慮》が2枚墓地に。

あとはアタック時に《熟慮》をプレイして《終末》がめくれるのを期待するだけだが、既にクロックは致死量でブロッカーは皆無。従ってチャンスは一度しか与えられない。
そして、今泉のクリーチャーがレッドゾーンに送り込まれたところで《熟慮》をフラッシュバックし、福岡が祈るように直接叩きつけたライブラリトップのカードは・・・

《スフィンクスの啓示/Sphinx’s Revelation(RTR)》!

福岡のライフは残り5。残りマナは4。

福岡に殴りかかるクリーチャーのパワー合計は13点。

今泉 2-0 福岡

今泉 陸、決勝進出!
(準決勝:http://police.diarynote.jp/201210300213246146/
(決勝戦:http://police.diarynote.jp/201210301550179732/

準々決勝:宮地 健太 vs. 成田 安正

参加者32名で行われた今回のゲームデー。
早々に3-0を達成し、ID二連続からいち早くシングルエリミネーション進出を決めた成田と、その成田にスイスラウンドで一度敗北している宮地のリベンジマッチが早くも準々決勝で設けられた。

"JAL"こと成田のデッキは本大会でも優勝候補の筆頭として警戒されている、いわゆる4色リアニメイトの『Frites』ならぬ『JALites』。《孔蹄のビヒモス/Craterhoof Behemoth(AVR)》の採用がその大きな特徴であり、環境一週目から迷わずこのデッキを使い続けた成田本人の手によって非常に洗練されたリストに仕上がっている。
成田は参加者の大半を占める常連メンバーからの激しい対策をくぐり抜け、当然のようにシングルエリミネーションへと勝ち上がってきた。

対する"紅蓮"宮地健太はオリジナルのバントカラーテンポデッキ。《聖トラフトの霊/Geist of Saint Traft(ISD)》を強く使う、という現環境のアプローチのうちの一つに特化させたデッキタイプだ。
宮地曰く「トラフト&ムーア&ランカー&ルーンデッキ」とのことで、《怨恨/Rancor(M13)》によるトランプル付与を生かし切る構成のようだ。

スイスラウンドではマリガンや事故による不本意な形でマッチを落としてしまったという宮地。今回こそはデッキが微笑んでくれるだろうか。

Game1
宮地がダイスロールに勝利し貴重な先手を獲得。お互いマリガンすることなく、7枚同士の初手でゲームが開幕した。

1ターン目こそ互いに《氷河の城砦/Glacial Fortress(M13)》、《血の墓所/Blood Crypt(RTR)》と土地をタップインするというこの環境の典型的なスタートを切るが、2ターン目から早くもゲームが動き始める。
宮地が《ボーラスの占い師/Augur of Bolas(M13)》から《議事会の招集/Call of the Conclave(RTR)》を公開する力強い流れを見せると、対する成田は《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman(RTR)》で応える。《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage(ISD)》を使うテンポデッキの宮地には厳しいクリーチャーだ。

宮地は《寺院の庭》をタップインし《ボーラスの占い師》で攻撃。緑マナが立っていないため強化系スペルをケアする必要がない成田は当然これをブロックするが、《アゾリウスの魔除け/Azorius Charm(RTR)》によってシャーマンをライブラリトップに返される。
しかしまだ盤面にクロックも出揃っていない現状ではそこまで厳しい動きではなく、成田は逆に返しのターンで《ケンタウルスの癒し手/Centaur Healer(RTR)》を召喚し、大きく優位に立つ。
宮地は3/3に向かって特攻するわけにもいかず、2体目の占い師から《セレズニアの魔除け/Selesnya Charm(RTR)》を獲得。さらに先ほど公開した《議事会の招集》をプレイし、3/3のケンタウルスがにらみ合う形になる。

膠着を打開すべく成田は《忌まわしい回収/Grisly Salvage(RTR)》をプレイ。その中から《スラーグ牙/Thragtusk(M13)》を拾い、先ほど戻されたシャーマンを展開し直す。
こうなると素早くゲームを決めにかからなければまずい宮地は《怨恨》を占い師に纏わせ、ケンタウルストークンと共に2体の3/3クリーチャーで攻撃を宣言する。トークンは《ケンタウルスの癒し手》と相打ちし、占い師のみが本体に3点のダメージを通すことになった。さらに宮地は《送還/Unsummon(M13)》でシャーマンをバウンスし、頑なに召喚酔いが解けることを拒む。

先ほどの《忌まわしい回収》で墓地に落ちた《未練ある魂/Lingering Souls(DKA)》をフラッシュバックしつつシャーマンを三度出し直した成田は返しの占い師による3点パンチをスルー。土地を立たせてターンを渡した宮地だが、成田の《スラーグ牙》は無事に着地。ここまで合計8点のライフを獲得している成田のライフは何度も攻撃を受けているにも関わらず未だ22と原点すら割っておらず、この環境のライフゲイン生物の強さを見せつける。

それでも愚直に殴り続けるしかない宮地は占い師で攻撃し、《スラーグ牙》がブロックしたのを確認してから《セレズニアの魔除け》で追放。《怨恨》のトランプルによって3点のダメージは全て本体へ貫通する。この2種の《魔除け》と《怨恨》のシナジーが宮地のデッキの持ち味だ。
宮地の唯一の生物を除去すべく《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil(ISD)》を繰り出す成田だったが、宮地はこれに《否認/Negate(M13)》。最後のクロックを除去することは許さない。

さらに2枚目の《怨恨》をエンチャントし、5/3へと成長した占い師はブロックされることなく成田のライフを13へと落ち込ませる。トランプル相手ではスピリット・トークンも延命にはならない。ターン終了時にようやく起動を許されたシャーマンにより《否認》を取り除き、宮地のライフを2点失わせる。

このままでは殴り切られてしまいそうな成田であったが、8枚目の土地をセットするとフルタップからデッキの顔である《孔蹄のビヒモス/Craterhoof Behemoth(AVR)》をキャスト!生物へのカウンターを握っていない宮地は《瞬唱の魔道士》で《送還》をフラッシュバックしてビースト・トークンを除去してみるが、それでも成田はビヒモス本体を含めて1/1のスピリットを2体、1/2のシャーマンと合計4体をコントロールしており、全員が+4/+4の修整と共にトランプルを得ることになる。

一撃必殺!

成田 1-0 宮地

Game2
スイスラウンドと同様厳しい内容に終わった1本目。
宮地の口からポツリと「勝ちたいな」という言葉が溢れる。

再びの先手となったその宮地だが、土地とスペルは見かけ上揃っているものの肝心の生物が1枚もないハンドではキープすることはできず、マリガン。成田は余裕を持って7枚のハンドでキープを宣言する。

互いにタップインからの宮地の《ボーラスの占い師》、と1本目と同様の展開になった2ゲーム目だが、そこで公開されたカードは《墓場の浄化/Purify the Grave(ISD)》!成田のリアニメイト・プランを崩壊させる一枚が早くも宮地の手に渡った。
しかし、1ゲーム目の流れでも分かるように成田のデッキは一度も《堀葬の儀式/Unburial Rites(ISD)》を唱えずとも殴り切ることのできる構成である。この調子で勝ち手段を一つずつ潰していくことができるだろうか。

成田が返しでプレイした《死儀礼のシャーマン》まで1本目と同じだが、今回は3ターン目から宮地が《怨恨》を占い師に纏わせアタックを開始。さすがにこれはシャーマンでブロックするわけにいかない。
そしてまた1本目と同様、3ターン目に《ケンタウルスの癒し手》を唱える成田だったが、ここには宮地の《本質の散乱/Essence Scatter(M13)》が突き刺さる。
これによって実質2ターン程度稼げていたはずの時間を失った成田だが、宮地が返しで《思考掃き/Thought Scour(DKA)》+《議事会の招集》でマナを使い切ったのを確認すると、《死儀礼のシャーマン》で宮地の墓地に落ちた土地を追放しながらマナを出し、4ターン目にして《スラーグ牙》を降臨させ、今度こそ大きく宮地を減速させることに成功する。

それでも構わず占い師と3/3トークンで攻撃を続ける宮地。当然《スラーグ牙》は3/3トークンをブロックに向かうが、宮地の《素早い正義/Swift Justice(RTR)》によって一方的に討ち取られることになった。それでもビーストトークンによって守りを固めている成田は《殺戮遊戯/Slaughter Games(RTR)》で逆転の可能性となる《聖トラフトの霊/Geist of Saint Traft(ISD)》を抜き去る。
しかしビーストトークンを《送還》してアタックを続ける宮地。返しに《高原の狩りの達人/Huntmaster of the Fells(DKA)》が登場するが、3/3が2体でアタックしている現状ではやや力不足か。宮地は「変身」だけ防ぐためにメインで《墓場の浄化/Purify the Grave(ISD)》をプレイ。

《ケンタウルスの癒し手》を追加し延命を図る成田。さらに《死儀礼のシャーマン》が少しずつではあるがライフを供給し続けており、ついに宮地の行動が尽きたことによる変身した《高原の荒廃者/Ravager of the Fells(DKA)》がアタックを開始する。さらに《信仰無き物あさり/Faithless Looting(DKA)》、《ケンタウルスの癒し手》と連打して再び《高原の狩りの達人》へと「変身」させ直すことで成田はさらにライフとトークンを獲得し、防御を固める。いつの間にか、成田と宮地のライフは逆転していた。

こうなると《死儀礼のシャーマン》が今度は宮地に牙を剥き始める。墓地のスペルを追放しながら宮地のライフを削り、再び「変身」した《高原の荒廃者》、《ケンタウルスの癒し手》、狼トークンが《ガヴォニーの居住区/Gavony Township(ISD)》のバックアップを受けながらアタックを行ったことで宮地のライフは削りきられてしまったのであった。

対ビートダウン(特にクロック・パーミッション)相手ではリアニメイトにほぼ頼ることなく、緑白黒ボードコントロールとして動く成田のデッキ。そのサイドプランも、まさに対戦相手である宮地と何度も練習することで生まれたものであるという。
練習の成果を生かした素晴らしいゲームプランを構築した成田が予選ラウンドに続いて宮地を下し、優勝へとさらに一歩近づいた。

成田 2-0 宮地

成田 安正、準決勝進出!
「人魚の誘惑(前半)」(http://police.diarynote.jp/201208230046456472/)の続き。

前半は現状のマーフォークの問題点を指摘し、後半ではその改良方法について述べられています。

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マーフォークの改良

喜んでほしい。私はなぜ今の形のマーフォークが弱いのかを説明するだけでなく、いかにしてこのデッキを改良すべきかの回答をいくつか「挙げる」ことを決心した。人生で一度たりとも魚を「揚げた」ことはないけどね。(私は魚関係のダジャレを言い過ぎだとは思うが)。

ステップ1:状況依存的なカードを使うな

対戦相手がCavern of SoulsからのGoblin Lackeyスタートで、君の初手はVial、Daze、Standstill、Pierce、Island、Mutavault、Lordだった場合、もう2ゲーム目に向けてシャッフルを始めたほうがマシだろう。このハンドは青白系コントロールには最高だが、残念ながら今回はゴブリンという「大当たり」を引いてしまった。

この手札の何が悪いのか。あまりにも状況依存的すぎるのだ。

状況依存的なカードはある場面では有効だが、全く無意味なカードになるような場面も数多く存在する。このようなカードをプレイするというのは、すなわち毎ラウンドごとにルーレットを回してそれらのカードが効果的なマッチアップになるか、もしくはそれらが良いカードとなる順番で引けることを祈るということに他ならない。

Standstillは最悪だ。青白コンやコンボに対して劇的に効くものの、それ以外のクリーチャーデッキに対して非常に悪いという典型的なカードだ。それに、Stillの価値は先手後手にも大きく依存している。
私のおすすめはStillのようなカードは全抜きし、PierceやDazeといったカードを削ることだ。こういうカードの効果が欲しいならサイドに入れておいて、それが輝くマッチアップでサイドインすればよい。

ステップ2:最高のフィッシュは実はフェアリー・ウィザードだ

他の魚をパンプさせるロードがたくさん入ったマーフォークデッキなのだから、デッキに入る全てのクリーチャーはマーフォークであるべきだという考え方がある。

いやはや、これには賛成しかねるね。私の経験から言わせてもらうと、いつだってこのデッキのベスト・クリーチャーは、ほとんどの人が使わないある生物…Vendilion Cliqueだ。こいつはマーフォークにはできない多少の素敵な選択肢を与えてくれる。

まず最初に、島渡り以外の回避能力を持っている。
これによってMoatやTarmogoyf、Knightといった、飛行でなければ乗り越えられない壁を越えて攻撃することができる。
また、島渡りを与えるロードがいない時でもBatterskullのような地上を妨害するカードに対して有効だ。
私はビール衣揚げ(beer-battered)の魚は好きだが、頭には衣がついてない(skull-unbattered)方が好きなんだ。(※1)

次に、こいつは手札にある不要牌を入れ替えてくれる。
多くの場合、Vendilionの能力で自分自身を対象にしたいと思うことになるだろう。これをプレイしたとき、手札に2枚目や3枚目のVialや不要になったDazeを持っていることはよくある。
対戦相手を対象に取って妨害することもできるが、この先のゲームで価値を持つことのないカードを入れ替えることができるということは、基本的にはカードを一枚引いているのと等価だ。3マナ3/1瞬速飛行でCIPの1ドローが付いているクリーチャーを使いたいかい?私は使いたいね。

もし自分の手札が良くて、対戦相手の手札に歪みを与えることに価値があるなら、その選択も当然ながら取ることができる。

最後に、こいつは驚きをもたらす。マーフォークに入っている生物に瞬速持ちはいない。マーフォークはいつだって完全に予測可能なんだ。
君はメインフェイズに何体かの戦力をプレイしたら、あとは返しの相手のターンに対戦相手が何もしないでくれることを祈るしかない。
対戦相手のターン中に驚きを与える生物をプレイすることでゲームプランを狂わせることができ、そしてこの手の予想されていないプレイこそが接戦を制するために必要な全てなのだ。

状況依存的で選択肢を与えてもくれないStillのようなカードとVendilionを入れ替えるのが良いだろう。こいつはいろいろな使い方ができるし、いくつもの選択肢を与えてくれるからね。

このことは他のクリーチャーにも同様に当てはまる。Phantasmal Imageや、タッチカラーによって運用できるGeist of Saint TraftやDark Confidantのようなカードはマーフォークではないが、これらを使ってはいけない理由はない。
「全てのクリーチャーがマーフォークでなければいけない」といった必要のない縛りに従ったり、ある考えに固執ばかりしているとデッキを改善する方法をたやすく見逃してしまうんだ。

ステップ3:青単でなければいけない理由なんてない

単色を使うメリットは以下の通りだ。

1.フェッチランドからダメージを受けない。
2.Wastelandに攻撃されることがない。

続いて他の色をタッチするメリット。

1.その色から素晴らしいスペルを得られる。
2.フェッチを使うことでBrainstormを強く使える。
3.無色土地を削ることで実はマナベースが改善される。

レガシーにおけるフェッチランドとデュアルランドの強みは、ほぼ無償で色をタッチすることができるということだ。
ゴブリンは赤単のレガシーデッキだが、赤だけでは対処できない問題を解決するカードのために色をタッチしている。
フェッチランドと併用される1枚のTaigaはゴブリンにエンチャントへの回答を与えるし、BadlandsがあればThoughtseize、Warren Weirding、そしてPerishなどの様々なマッチアップを改善するカードへアクセスすることができる。
Thaliaを採用しているゴブリンのリストすら存在する。ゴブリンでもなければ、赤いカードでもないのに!

マーフォークもこの思想を取り入れればよいのではないだろうか?

私が考えるに、マーフォークは白もしくは黒をタッチすることによって劇的に改善される。

白をタッチすると、これらのカードが使えるようになる:
《ルーンの母/Mother of Runes》
《流刑への道/Path to Exile》
《聖トラフトの霊/Geist of Saint Traft》

マーフォークを使っていて負ける試合のほとんどが、単純にすべての生物を除去されてしまったことによるものだ。
Kiraは石鍛冶やRUGデルバーのように、一対一交換でこちらのロードを除去し続けることに全力を傾け、BrainstormやPonderで投資して燃料を途切れないようにしつつこちらがガス欠になることを狙うデッキへ対処するためのサイドボードとしては良い回答だ。
しかし悲しいことにKiraでは十分ではなく、カードパワーもきわめて低い。こいつは伝説のWind Drakeなので、複数引くのは最悪だしクロックも弱い。
Mother of Runesはより軽く、より効果的で、除去単デッキを打ち倒すのに貢献してくれる。またマザーは巧妙なことに、マーフォークに対する標準的な除去であるRed Elemental Blastを回避できる。
Sygg, River Guideは同じ役割を果たせる別の選択肢だが、私はSyggの要求するマナの投資は若干多すぎるように感じている。

Geist of Saint Traftは単純に君を単体除去で踏みつぶそうとしてくるデッキを打ち破る優れた手段だ。
不運なことにGeistはタルモを乗り越えて殴ることはできないが、MotherやDismember、Path to Exileとの組み合わせで対戦相手を倒すまで彼の通る道を開けることもできる。

私がデッキに入れたい白いカードはどれも互いによくシナジーしていて、そしてどれも除去の多いデッキを倒したいという考えのもと構築されている。

もちろん選択肢はこれだけではない。黒をタッチすることで別の可能性が生まれる:
《闇の腹心/Dark Confidant》
《非業の死/Perish》
《思考囲い/Thoughtseize》

Confidantは単体除去の準備ができていないデッキを引き離すことのできる素晴らしい手段だ。
除去の十分あるデッキでも引かれないことだってあり得るし、仮に除去を引かれていたとしてもそれは代わりに君のマーフォーク・ロードが生き残るということを意味している。

Perishはエルフやマーベリックといった、本来なら非常に厳しいマッチアップを勝利へ導く劇的なカードだ。RUG Delverに対してもサイドインすることで、除去とTarmogoyfだけで負けるというゲームを回避することができる。

Thoughtseizeはもしかしたら必要ないかもしれないが、ハンデスはコンボやコントロールのゲームプランに対峙する際に別の選択肢を与えてくれる。
それらのデッキは一般的にもともと良いマッチアップとは言われているものの、それらに対してさらに相性を改善させるカードを取るべきではないということを意味しない。

最近、私は著名なプレイヤーたちの間で交わされた「ハンデスはレガシーにおいては悪いものだ」という議論を耳にした。
これには丁重に反対させていただこう。ハンデスは常に良いものではないが、特定のデッキに対しては劇的な効力を発揮する。
そのため、ハンデスが輝くマッチアップでは完璧なサイドボーディングの選択肢となる。

私は石鍛冶のようなデッキに入るハンデス呪文が大好きだし、ハンデスはマーフォークのように対戦相手にドローする猶予を与えないクロックを持つデッキでこそ素晴らしいものであると思う。

ステップ4:Brainstormを使え

レガシーで最高のカードのBrainstormをフェッチランドと共に使う。何か質問があるかい?


ステップ5:第二ゲームプランを手にしろ

フィッシュとしての通常のゲームプランではどう頑張っても倒せないようなデッキがある。Snapcaster MageでSword to Plowsharesが実質8枚体制だったり、LlawanやMoat、Ensnaring Bridgeなどの切り札を持っていたりするようなデッキだ。
元のゲームプランでそのようなゲームに勝てないのなら、最善の選択肢は相手が準備のできていない別の角度から攻め込むことだ。

これを成し遂げるのに最もシンプルかつ万能な手段はJace, the Mind Sculptorだろう。
まず、一対一交換で君をゲームから押し出そうとするデッキ相手には恒久的なアドバンテージソースになる。
そして、君のゲームプランを容易に閉ざしてしまうデッキに対しては第二の勝ち手段たり得る。
最後の利点は、他の「ジェイス・デッキ」相手に対する大いなる脅威となることだ。青白コントロールを使う対戦相手は君をTerminusやSword to Plowsharesで打ち倒す準備は存分にできているだろうが、Jaceと戦う備えはしていないだろう。
そのうえ、彼らは勝ち手段をJaceに依存しているため、君が同様にJaceを持っている場合にはそれが難しくなるだろう。

さて、フィッシュで戦うための5段階のプロセスは示したところで青白と青黒の仮構成を見てみよう。
青白マーフォーク

クリーチャー 23
3《ルーンの母/Mother of Runes(ULG)》
4《銀エラの達人/Silvergill Adept(LRW)》
4《アトランティスの王/Lord of Atlantis(TSB)》
4《真珠三叉矛の達人/Master of the Pearl Trident(M13)》
2《珊瑚兜の司令官/Coralhelm Commander(ROE)》
4《メロウの騎兵/Merrow Reejerey(LRW)》
2《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique(MOR)》

スペル 17
4《霊気の薬瓶/AEther Vial(DST)》
4《渦まく知識/Brainstorm(MMQ)》
3《目くらまし/Daze(NEM)》
4《Force of Will(ALL)》
2《四肢切断/Dismember(NPH)》

土地 20
6《島/Island(M13)》
4《霧深い雨林/Misty Rainforest(ZEN)》
4《沸騰する小湖/Scalding Tarn(ZEN)》
4《変わり谷/Mutavault(MOR)》
2《Tundra》

サイドボード
3《墓掘りの檻/Grafdigger’s Cage(DKA)》
2《幻影の像/Phantasmal Image(M12)》
2《流刑への道/Path to Exile(CON)》
3《呪文貫き/Spell Pierce(ZEN)》
2《聖トラフトの霊/Geist of Saint Traft(ISD)》
1《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique(MOR)》
2《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor(WWK)》


青黒マーフォーク

クリーチャー 23
3《呪い捕らえ/Cursecatcher(SHM)》
4《銀エラの達人/Silvergill Adept(LRW)》
4《アトランティスの王/Lord of Atlantis(TSB)》
4《真珠三叉矛の達人/Master of the Pearl Trident(M13)》
1《珊瑚兜の司令官/Coralhelm Commander(ROE)》
4《メロウの騎兵/Merrow Reejerey(LRW)》
3《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique(MOR)》

スペル 17
4《霊気の薬瓶/AEther Vial(DST)》
4《渦まく知識/Brainstorm(MMQ)》
3《目くらまし/Daze(NEM)》
4《Force of Will(ALL)》
2《四肢切断/Dismember(NPH)》

土地 20
6《島/Island(M13)》
4《霧深い雨林/Misty Rainforest(ZEN)》
4《沸騰する小湖/Scalding Tarn(ZEN)》
4《変わり谷/Mutavault(MOR)》
2《Undergruond Sea》

サイドボード
3《墓掘りの檻/Grafdigger’s Cage(DKA)》
3《闇の腹心/Dark Confidant(RAV)》
2《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor(WWK)》
3《非業の死/Perish(TMP)》
4《思考囲い/Thoughtseize(LRW)》

忘れないでほしいが、これはあくまで仮組みだ。いくつも改善すべき点があるのは分かっているが、新しいことに取り組んでデッキが機能する上での問題を修正していくということが大切なんだ。

どちらのリストからもマナベースの改善のためWastelandを取り除いたので、呪文を唱えるのは容易になっている。対戦相手がたまたまWastelandに対して脆弱なハンドをキープしたというだけで勝てるゲームがあるということより、自分の呪文をきちんと唱えられることのほうが重要だ。
現在のレガシーにおけるある一つの事実は、RUGデルバーやマーベリックのようなWastelandで相手を脅かすデッキによって人々のマナベースの構築の仕方が変わったということだ。いまやデッキは1ゲームで数回は不毛されることを前提に組まれており、結果としてマーフォークのようなデッキのWastelandプランを悪いものにしている。
私はワシントンDCでのレガシーオープンでの9回戦のうち、Wastelandだけで勝てた試合は1ゲームだけしか思い出せない。

今や青単マーフォークのリストからもWastelandを削ることは理に適っていると思う。私のように4枚全て抜くのは間違っているかもしれないが、今の環境で14枚未満の青マナソースから呪文をプレイしようとするのが賢い選択であるとも思えない。

なんにせよ、この記事が役に立つことを望んでいる。Geist of Saint Traftは青白バージョンに合わないかもしれないが、Motherは素晴らしいカードだしきっと4枚フル投入したくなるだろう。もしかするとDark Confidantはメインから取ってもいいかもしれない。
正確なことを言うのは難しいし毎週変わるものだけど、一番大切なことは古くなってしまったアーキタイプを、新しいことを探して試すことで改良することだ。
マーフォークは6ヶ月前と同じデッキではあるが、メタゲームは変わっているのだ。

私は今のマーフォークの構築は好きではない。それはつまり、そこにはまだ革新や変革の余地があるということだ。
「うるさいペッシェ」を諦める理由なんでないのさ。(※2)
だからマーフォークを使うのを諦める必要なんてないのさ。

彼女はフィレオフィッシュを注文した。(※3)

読んでくれてありがとう!

Brian Braun-Duin


※1:batter=「揚げる」という意味を使った駄洒落。自分でも書いている通り、Brianは駄洒落好きですね。要は「魚を使っててBatterskullは出されないに越したことはない」ということが言いたいのかと。

※2:原文は"There’s no reason to give up on the pesky pesce"。"pesky"は「うるさい」等の意味で、"pesce"は「ペッシェ」という苗字…らしい。文意不明。

※3:タイトルの元ネタ"What She Order? Fish Filet."から。



前回同様、各種アドバイスや指摘、訂正などお待ちしています。
SCGからレガシーのマーフォークについての記事。
読みやすい文章ですが量が多く、思ったより時間がかかりました。
まとめると長くて読むのが大変なので前後半に分割します。

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"What She Order"(※1)
By Brian Braun-Duin
08/10/2012
http://www.starcitygames.com/magic/legacy/24662-What-She-Order.html


記事前文はSCGワシントンのスタンダード部門についての報告のため割愛。
ナヤを使用してで7-1-1だった、とのこと。

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スタンダードについてはもう十分だろう。今日は少しいつもと違うフォーマットの話をしようと思う。
今日の話題にするのは"エマーリル・レガシー"だ(※2)。マジックの中でも最もパワフルなプレイをさせてくれる、様々なデッキを使うことのできるフォーマットだ。ジャン!

「1ターン目にEmrakulを戦場に出す。」-ショーテル

「1ターン目にCharbelcherを起動し、勝利する。」-ベルチャー

「1ターン目にストーム10以上のTendrils of Agonyを唱える。」-ANT

「3ターン目に3マナ2/2を唱える。」-マーフォーク

どれだけパワフルなフォーマットかお分かり頂けただろう。


私はドロー操作なしで脆弱なマナベースと数種類の不確定カウンターによってバックアップされたクマとオーガの群れ(※3)を用いた、レガシーの隠れたる強者を駆ることにした。
なに、私はただ一番強いデッキを使うだけだ。そうだろう。

結果は予想通りだった。私はマーフォークを使って6-3で辛うじてTOP64に滑り込んだだけだった。


・何か疑わしいことがある

Josh ChoがマーフォークでSCGオープン・バッファローを勝った後、もしかするとこのデッキは再び環境上で良い位置にあって、CursecatcherやSilvergill Adeptから埃を払い、メタゲームのメリーゴーランドに新たな回転を起こすべき時なのではないか、と私は思った。
去年私はマーフォークで多少の好成績を残すことができたが、その後このデッキに何か大きな進歩があったわけではない。結局石鍛冶は諦めてしまったままだ。
そんなわけで、今週末に至るまでマーフォークを再び手に取ることはなかったんだ。

知っての通り、マーフォークはM13でMaster of the Pearl Tridentという新ロードを獲得し、それによりクリーチャーの質は劇的に向上した。
8枚の島渡り付与ロードがあれば1ゲームあたり1~2枚は引けるだろうと考えることが可能になり、それは対戦相手が青をプレイしていたならばあなたのクリーチャーをブロックすることに非常に苦労することを意味する。
これは大したことのように感じられないかもしれないが、これによって対戦相手がEmrakulを出した次のターンにブロックさせることなく勝利できたり、GriselbrandやBatterskullとダメージレースをすることもできるようになる。

私は十分な2マナロードを手にした新フィッシュを試したかったのだが、残念ながら私を含め、このデッキを使った人は皆、誰一人TOP8に入れない惨敗という結果に終わってしまった。しかし、それでもまだこのデッキは良い位置にあると今でも言える。
しかし、たとえマーフォークが良い位置にいるとしてもマーフォーク自体に根本的な欠陥がいくつかあるということが問題で、それが克服されるまではレガシーにおける本当の支配的勢力には決してなれないと私は考えている。

マーフォークデッキが行っていることについて、気に入らない点について話すより先に良い点を指摘しよう。
まず、アンフェアなデッキに対する妨害を持っている。Daze、Spell Pierce、そしてForce of Willによって相手のコンボをクマとオーガが殴り終えるまで遅らせることができる。
Aether Vialは生物へのカウンター呪文を回避でき、多大なるマナアドバンテージを生み出し、インスタント速度で軍勢を強化できるロードをケアするべきかどうか対戦相手には分からないという状況を作り出すこともできる。
島渡りは他の青いデッキに対し戦闘を難しくさせるし、マーフォークは他のあらゆる青いデッキよりもアグレッシブであり、戦闘でより大きなクリーチャーで打ち取られることもないので、対戦相手は君の早いデッキとダメージレースをすることを強いられる。そして大抵彼らは負けることになるだろう。

さて、それでは先に述べた通り、現在の形のフィッシュの問題点を挙げていこう。


・ライブラリー操作の不在

レガシーで人気があったり、成功しているデッキのある共通点といえば何だろう?そういったデッキはどれもドローを操作するか、必要なカードをサーチしてくる手段を持ち合わせている。
どのコンボデッキもBrainstormやPonderを使う。石鍛冶やRUG DelverもBrainstormを使うし、マーベリックはSylvan LibraryとGreen Sun’s Zenith、そしてKnight of the Reliquaryで必要なカードを探してくることができる。
ゴブリンですらGoblin MatronとGoblin Ringleaderで攻め手を途絶えさせない。

それではマーフォークには?何もない。
マーフォークにはVial、Daze、そしてPierceといった状況に依存するカードがたくさん入っている。
それらを間違ったデッキ相手に引いてしまうとどうなる?望まないタイミングで引いてしまったら?
君のデッキの中にはドローをコントロールする方法がないのだ。正しいカードを正しい順番で引いてくることをただ願うことしかできない。
1ターン目にはVialが欲しいだろうが、ゲームが長引いたところで引きたくはないだろう。Dazeが初手にあってほしいと望むだろうが、間違っても6ターン目にトップデッキしたいなんて思わないはずだ。
もしゲームが長引いた場合、対戦相手はおそらくドローを操作してあなたより多くの価値あるカードを引いて来るだろう。しかし君は完全にトップデッキに身を委ね、状況依存的なカードをプレイするしかない。


・脆弱なマナベース

ほとんどのスタンダードのデッキよりもマナベースが貧弱なレガシーの、特に単色のデッキがあると考えるのは悲しいことだ。しかし確かにマーフォークはそのようなデッキなのだ。なんならリミテッドの大半のデッキよりも弱いマナベースにすることもできる。
これについて少し話してみよう。フィッシュにはたった12枚の島しかない。今のマーフォークデッキには10枚以上の青ダブルを要求するクリーチャー(Master、Lord、Commander)がいるのにも関わらず、だ。

青マナがないのに青ダブルシンボルが何枚かあるせいで、それ以外は素晴らしい初手をマリガンすることはよくあるだろう。
マナベースが貧弱だとクリーチャーを戦場に出すため極端にVialに依存することになる。なぜならそれらを唱えることができるようになる保障は一切ないからだ。
このことは別の点でも君を傷付ける。しばしば、勝つためにはVialに依存したハンドをキープしなければならないこともある。それ以外の点においてはすばらしいものかもしれない。例えばこんな感じに。
《変わり谷/Mutavault(MOR)》
《不毛の大地/Wasteland(TMP)》
《霊気の薬瓶/AEther Vial(DST)》
《四肢切断/Dismember(NPH)》
《アトランティスの王/Lord of Atlantis(TSB)》
《銀エラの達人/Silvergill Adept(LRW)》
《呪い捕らえ/Cursecatcher(SHM)》

これは良いハンドだが、対戦相手がVialへのカウンターを持っていたり、それ以外の無効化する方法(たとえばAncient GrudgeやPithing Needle)がある場合、君は自分の魚たちと一緒に少しの間溺れ続けることになると分かるだろう。
私はほとんどこの初手をマリガンしないが、相手にPierceやDaze、Force of Willが1枚あるだけでゲームは完全に終わってしまうだろう。
マーフォークを使うということは、このような非常にリスクの高い初手をしばしばキープするということなのだ。

そしてこのような初手が来ることもある。
《変わり谷/Mutavault(MOR)》
《変わり谷/Mutavault(MOR)》
《不毛の大地/Wasteland(TMP)》
《アトランティスの王/Lord of Atlantis(TSB)》
《真珠三叉矛の達人/Master of the Pearl Trident(M13)》
《真珠三叉矛の達人/Master of the Pearl Trident(M13)》
《珊瑚兜の司令官/Coralhelm Commander(ROE)》

マリガン確定だ。これが「フィッシュ・アンド・"シップス"」(※4)の伝統的なケースだ。


・代替的ゲームプランの不在

《Moat(LEG)》
《セファリッドの女帝ラワン/Llawan, Cephalid Empress(TOR)》
《平和の番人/Peacekeeper(WTH)》
《エネルギー・フィールド/Energy Field(USG)》
《罠の橋/Ensnaring Bridge(STH)》

これらのカードの共通点は何か。そう、マーフォークはこれら全てに1枚だけでほぼ負けることになる。
相手がこれらのカードを唱えるときにForce of WillやデDazeを握っていることを祈るというのはとても、とってもヌルいゲームプランだ。
PeacekeeperはDismemberで倒せるし、LlawanもDismemberとVialの両方で対処できるとは言っても、ほとんどの場合これらのカードにはただ負けてしまうだけだと思う。それに、これらの他にも同様に壊滅的な被害をもたらすカードはたくさんある。

私たちのマーフォークを対策するなんて簡単だ。マーフォークは対策カードに対抗する術があるか?ほとんどの場合、そんなものはない。
フィッシュが人々のプレイできるカードを排除するだけでよいという理由がどこにある?(※5)
他のプレイヤーが使う可能性のあるカードに対し、ただ投了するという選択肢しか持たない理由なんてあるだろうか。
私にはなぜこれが問題にならないのか分からない。

Dismemberを採用するのは問題となるカードに立ち向かう方法を与えてくれるという点でよいスタートだが、なぜそこで止まってしまうのか。
これらのカードを打ち倒す方法はあるが、それを使うかどうかは私たち次第だ。

(後半に続く)
※1:タイトルはKanye Westの"What She Order? Fish Filet. "から。対訳には「魚」関係の曲名ということで強引に水谷豊の「人魚の誘惑」を。

※2:Emeril Lagasse(エマーリル・ラガッシー)。米国では超有名な料理人。

※3:クマはご存じ2マナ2/2《灰色熊/Grizzly Bears》、オーガは3マナ2/2《灰色オーガ/Gray Ogre》。マーフォークにはこのサイズの生物が多い。

※4:「フィッシュ・アンド・チップス」のもじりだけど、"Ships"が何を指しているのか不明。

※5:原文は"Is there any reason that Fish decks should just auto scoop to a number of cards people can play?"。文意がよく掴めない。


前半はマーフォークデッキの抱える問題点の指摘まで。
後半はそれらを解決するためのデッキ構築の考え方と、デッキリストが掲載されています。訳作業自体は終わっているのであまり間を開けずに更新する予定。

本格的な翻訳記事は初めてなので、各種アドバイスや指摘、訂正などあればよろしくお願いします。

※2012/8/23 追記
後半アップしました。(http://police.diarynote.jp/201208232053334651/
決勝:ミヤチ ケンタ vs. イシイ ヒロユキ

試合前からしきりに彼女からのメールを気にするミヤチ。どうやらかなり尻に敷かれているようだ。先日はイシイの家に泊まり、仲間たちともにゲームデーへ向けて調整を行なっていたとのこと。
余談ではあるがイシイも彼女持ちであり、その彼女には仲の良い身内達のことを「カジュアルホモ」として紹介している。(※BigMagic池袋店は極めて健全なお店です!)

常連としても互いに長い付き合いの二人、互いの手の内もプレイスタイルも当然のように熟知している。
青黒ゾンビを操るミヤチに対し、より攻撃的な赤黒ゾンビを携えるイシイ。イシイは前日にも他店舗のゲームデーで見事優勝し、既に1枚目のプレイマットを手にしたとのこと。

ゲームデーには人一倍気合を見せるBM池袋常連勢の中でも、『新たなるファイレクシア』ゲームデー準優勝者のミヤチと、前回の『アヴァシンの帰還』ゲームデーで同じく準優勝者のイシイ。

ゾンビ同系ならではのスピード勝負になるか、それとも搦め手からのライフへの直接干渉による難しいゲームとなるのか。
3ヶ月間の王者の名を求め、シルバーホルダー同士の戦いが今、幕を開ける。

Game1
ダイスロールに勝利し、貴重な先手をもぎ取ったのはイシイ。互いにマリガンはなく、熱いゲーム展開が期待できそうだ。

と考えている間にものすごいスピードでプレイを開始する2人。
先手のイシイが《黒割れの崖》から《墓所這い》、ミヤチも負けずと《闇滑りの岸》から《墓所這い》。
さらにお互い沼を追加しながらイシイは《血の芸術家》、ミヤチは《迫撃鞘》プレイから即起動で芸術家を除去。そして3T目には互いに沼と《水没した地下墓地》を置きながら《ゲラルフの伝書使》をキャスト。

ここまでほぼ一息。もちろん1T目に出ている《墓所這い》は毎ターン互いに攻撃を行なっている。盤面的にはほぼ鏡打ちで、ミヤチが《迫撃鞘》を残している分有利ではあるが、それを《血の芸術家》へ起動した際に4点分のライフ差がついている。

しかし、ここまで来ると先に《ゲラルフの伝書使》がアタック可能になるイシイが圧倒的に有利。予定通りフルアタックをすると、さらに2体目の《ゲラルフの伝書使》をプレイ。これでミヤチのライフは5へ。
返しでミヤチはさすがにフルアタックするわけにはいかず、一発逆転の可能性を秘めた《血の芸術家》を追加し、ブロッカーにならない《墓所這い》のみで攻撃し、ターンエンド。

そして再びイシイのターン、2体の《ゲラルフの伝書使》と《墓所這い》でフルパンチ。これをミヤチは順に《血の芸術家》、《ゲラルフの伝書使》でブロックし、さらに《蒸気の絡みつき》でイシイの《墓所這い》をバウンス!
これが全て解決されれば《血の芸術家》によって3点ドレインが誘発してミヤチは生き延びることができたはずだったのだが…

《血の芸術家》の能力が解決する前に、イシイは『陰鬱』を達成した《硫黄の流弾》によって残り5点のライフを削り切ったのであった。
先手5ターンキル!

イシイ 1-0 ミヤチ

Game2
2本目は当然先手を選択するミヤチ。今回もお互い初手の7枚をキープした。

再びお互いの《墓所這い》プレイからゲームの幕が開く。また先程のような早いゲーム展開になりそうだ。
ミヤチは2ターン目に土地を置きつつ《戦墓のグール》をプレイするが、後手のイシイはそれを上回る《戦墓のグール》と《墓所這い》2体目!

しかしミヤチも負けてはいない。青黒ゾンビの特権とも言えるゾンビロード、《戦墓の隊長》を追加してパワー3となったゾンビ2体で攻撃。対するイシイは特に何もプレイすることなく、2体の2/1で殴り返し、2/2で相手のロードの攻撃を牽制するのみ。殴り値だけで見ればお互い横並びである。

返すターン、ミヤチは通ればゲームの決まる《幻影の像》!もちろん狙いは《戦墓の隊長》のコピーだ。しかしここは土地を立たせてターンを返したイシイが当然のように《硫黄の流弾》で隊長を除去。ミヤチは仕方なく《戦墓のグール》をコピーし、全員でアタック。さらに返しのターンでイシイもフルアタックして互いのライフは8となり、《煙霧吐き》も追加してイシイはターン終了。

一旦状況を整理しよう。
ミヤチのコントロールする生物:
2体の《戦墓のグール》(うち1体は《幻影の像》)、《墓所這い》
ライフ:8

イシイのコントロールする生物:
2体の《墓所這い》、《戦墓のグール》、《煙霧吐き》
ライフ:8

ここでミヤチは2枚目の《幻影の像》をキャスト。《煙霧吐き》のコピーとし、そのまま優先権を渡さずにイシイの《煙霧吐き》へと起動。当然イシイはそれに対応して《煙霧吐き》を起動し、ミヤチの《戦墓のグール》をコピーしている《幻影の像》を除去する。

この交換が終わったところでミヤチは全軍で攻撃。4点のダメージを通し、イシイの残りライフを4へ。イシイが何も持っていなければ、もしくはトップから何も引かなければ次のターンに勝ちだ。

…しかし、イシイのトップデッキは《ファルケンラスの貴種》!
突然追加された速攻4点クロックに計算を狂わされ、そのままミヤチはイシイの全軍アタックの前に崩れ落ちたのであった。

イシイ 2-0 ミヤチ

ちなみに、《幻影の像》で《煙霧吐き》をコピーして即起動したあたりは一見するとよく分からないプレイだが、終了後にミヤチへインタビューを行ったところ、「幻影」生物は対象に取られてしまうと対応する間もなく生け贄にされてしまうと勘違いしていたとのこと。

さらに、イシイからも衝撃的な告白が伝えられた。曰く、「サイドアウトしたカードを間違えてそのままサイドインし、結果的にメインと何も変わらないリストのままプレイしていた」らしい。本来なら数枚サイドアウトされていたはずの《ファルケンラスの貴種》がラストターンのトップデッキで勝敗を決したのは、なんとも面白い結末とも言えよう。

プレイマットの2枚目を手に入れたイシイは、それを喉から手が出るほど欲しがっていたミヤチに「ミヤチ君なら、いいよ」と無償でプレゼントした。
イシイにとっては自分の愛するBigMagic池袋店のゲームデーチャンプの座を勝ち取ったこと、それ自体が何よりのご褒美なのだろう。

マジックは何があるかわからない。それでも今は、ただ念願の優勝を果たしたイシイを、そして最後まで健闘したミヤチを称えよう。

ゲームデー優勝はイシイ ヒロユキ!おめでとう!
準決勝:ヒガキモトヒデ vs. ミヤチケンタ

緑単ダングローブのヒガキに対するは青黒ゾンビを使用するミヤチ。
ミヤチはゾンビポッドを調整し続けていたが、直前になって青黒のゾンビに変更したとのこと。《蒸気の絡みつき》など、ゾンビにしては珍しいカード選択が目立つデッキだ。

Game1
先攻権を得たのはヒガキ。こちらはマリガンを宣言し、6枚の手札をキープ。ミヤチはマリガンせずに7枚でキープする。

ヒガキは《ラノワールのエルフ》から順調な滑り出しだが、ミヤチはそれを即座に《悲劇的な過ち》で退ける。これが功を奏したのか2ターン目は森を置くだけでエンドを宣言するヒガキ。この隙にと、ミヤチは2枚目の土地を置いてから《墓所這い》と《戦墓のグール》をまとめて戦場に。一気に4点クロックを形成する。

3マナ目を揃えたヒガキはゾンビではなかなか対処しづらい《ダングローブの長老》を送り込む。ミヤチはアタックこそできないものの、《ゲラルフの伝書使》を追加し、攻めの姿勢を崩さない。
追加の土地が置けないヒガキは3/3のままの長老でアタックを行い、これがスルーされた後に《捕食者のウーズ》をプレイ。しかし、ミヤチは返しのターンに少考したのち《捕食者のウーズ》を《蒸気の絡みつき》でバウンスし、盤面のゾンビで全軍突撃。ヒガキのライフを残り10にまで落としこむ。さらに《幻影の像》が《ゲラルフの伝書使》のコピーとなり、ヒガキのライフを奪う。

再びセットランドのできないヒガキはウーズを出し直し、長老とともにブロッカーとして立たせてターンを終了するしかない。しかし《血の芸術家》を追加して《悲劇的な過ち》で《捕食者のウーズ》を除去、と完璧なハンドを見せ付けたミヤチは、そのまま全軍突撃でヒガキのライフを削りきった。

ミヤチ 1-0 ヒガキ

Game2
2本目はお互いマリガンをすることなくゲーム開始。

まずはヒガキの《ウルヴェンワルドの足跡追い》が戦場に現れる。これをミヤチは再び《悲劇的な過ち》で除去。生き残らせてはまずいという判断だろうか。
しかし続くターンにはヒガキの《絡み根の霊》が駆け抜けて2点のライフを奪う。土地1枚でキープしたミヤチは追加の土地が引けず、《戦墓のグール》をプレイしてターンを返すのみ。

3マナ目を置いたものの引き続き《絡み根の霊》をアタックさせるだけでターンを返すヒガキ。さらに待望の2枚目の土地を引き込み一安心したミヤチはとりあえず《戦墓のグール》で攻撃すると、ここで《ウルフィーの報復者》が登場しグールを討ち取る。これを仕方なく《悲劇的な過ち》で除去すると、ミヤチは追加戦力として《墓所這い》を。

しかし、ここでヒガキは対ビートダウン必殺の《解放の樹》をキャスト!これで一気に止まってしまったミヤチは《煙霧吐き》を追加するに留める。
次のターン、《狩られる者の逆襲》をドローしたヒガキはこれを公開し『奇跡』で《絡み根の霊》へキャスト…するが、先程から出ていた《煙霧吐き》がこれを妨害する。もちろん『不死』によって強化されて帰ってくるので問題はないのだが、ヒガキは頭を抱えている。特に意図した結果というわけではなく、単純に手なりでプレイしてしまったミスということだろうか。

それはともかく《絡み根の霊》を止められず、《解放の樹》を越えられないミヤチはジョジョにライフを減らすしかない。しかも《絡み根の霊》がもう1体追加され、土地も2枚で止まったままとあってはいくらゾンビデッキとは言え、殴り合いを制することはできないのであった。

ミヤチ 1-1 ヒガキ

Game3
ヒガキはサイド入れ替えはせず、ミヤチは直前に考え直して1枚だけサイドチェンジを行った。

今回も互いにマリガンはなし。
ミヤチは《闇滑りの岸》から《墓所這い》、ヒガキは《森》から《ラノワールのエルフ》、と互いにほぼ理想的な滑り出し。
ミヤチは初手に《戦墓のグール》を3枚抱えていたが、肝心の2枚目の土地が《水没した地下墓地》しか持っていなかったため、展開への影響が懸念される。…が、ここで値千金の《沼》ドロー!ミヤチは思わず「っしゃ!」と声を漏らし、沼をセットから《戦墓のグール》を2体追加しつつアタックを開始する。

ヒガキも負けじと《絡み根の霊》、《ウルヴェンワルドの足跡追い》を追加するが、後者はすぐさま《迫撃鞘》で対処するミヤチ。さらにもう1体の《戦墓のグール》を追加し盤石の体制だ。
しかし、ここでヒガキは2ゲーム目でも現れた《解放の樹》をキャスト。《絡み根の霊》も立っているため、ミヤチは攻撃の手を止めて《迫撃鞘》を《戦墓のグール》に装備し、相手の2/1を牽制するに留める。

ところが返しのターンにヒガキは構わず《絡み根の霊》をレッドゾーンに送り込んだため、ミヤチは少し考えながらも予定通り2/3のグールでブロック。戦闘ダメージはそのまま解決され、《絡み根の霊》が3/2となって戦場に戻る。

そして続くミヤチのターン、ここで《悲劇的な過ち》をナイスドロー。《迫撃鞘》があるので自由に陰鬱可能であり、《解放の樹》を除去することが可能になった。
さらに手札の《幻影の像》を《絡み根の霊》のコピーとし、全軍アタックするミヤチ。2/3のグールは《解放の樹》がブロックし、残る4体(《墓所這い》、《戦墓のグール》2体、《絡み根の霊》コピー)は通って残り4。

もちろんこれだけのダメージを通したのも《解放の樹》あってこそであり、ヒガキはその能力をエンド前に起動した。したのだが、それに対応して《迫撃鞘》から飛び出した《戦墓のグール》が《ラノワールのエルフ》を除去し、陰鬱が達成された後に《悲劇的な過ち》で《解放の樹》を除去。ライフの交換は不発に終わってしまった。
こうなってしまうと圧倒的な盤面の差を残りライフ4から巻き返すのは不可能となり、ヒガキは投了せざるを得なかった。

ミヤチ 2-1 ヒガキ

ミヤチ、決勝進出!
準々決勝:オガサワラ ケン vs. ヒガキ モトヒデ

参加者33名にて行われた今回のMagic2013ゲームデーも残す所シングルエリミネーションのみ。ここでは準々決勝4試合の中から、それぞれ予選ラウンドを1位-8位で通過したオガサワラとヒガキの試合をピックアップしよう。

オガサワラの使用デッキは本人謹製のナヤケッシグ。デッキ完成度の高さは折り紙付きで、マジックワールドカップ東京予選でもオガサワラ本人がこのデッキを駆りTOP8に入賞している。その完成度に惚れ込んだ多くのプレイヤーが彼のデッキをリストをシェア続けた結果、BigMagic池袋店は「ナヤケッシグが異常に多いメタゲーム」となっている。

対するヒガキは緑単ダングローブ。《絡み根の霊》や《ダングローブの長老》、《捕食者のウーズ》などの除去耐性に優れる生物を多用し、《ウルヴェンワルドの足跡追い》が除去能力の薄さを補う構成のようだ。
ヒガキのビートダウンにオガサワラの《終末》が間に合うかどうかがポイントとなりそうなゲームである。

Game1
ダイスロールに勝ったオガサワラはマリガンを選択し、手札6枚からゲームをスタート。対するヒガキは満足できる7枚を貰えたようだ。

《陽花弁の木立ち》《森》と並べて《不屈の自然》で土地を伸ばす、というケッシグの基本動作を行うオガサワラ。しかしヒガキは1、2ターン目に連続して《ウルヴェンワルドの足跡追い》をプレイし、2T目にはその片割れが《怨恨》を纏い3点アタックを開始。3ターン目には《ダングローブの長老》も追加した。

その後も土地をセットし続けるだけのオガサワラ。それでも手札には《原始のタイタン》や《終末》がその出番を待ち続けているのだが、5ターン目に肝心の6枚目の土地をドローできない。
結局、2ターン目から3点クロックを受け続けていたオガサワラは5ターンキルされてしまったのであった。

ヒガキ 1-0 オガサワラ

Game2
今度は互いにノーマリガン。
再びオガサワラは土地を並べ続け、ヒガキは《ウルヴェンワルドの足跡追い》に《怨恨》をエンチャント、さらに《ダングローブの長老》を追加…と、ほぼ1本目と同様の試合運びとなっている。

が、ここでオガサワラのターンのドローで《終末》『奇跡』キャスト!一旦盤面がリセットされ、オガサワラに再び猶予が与えられる。
返しにヒガキは《捕食者のウーズ》をプレイし、先ほどハンドに帰ってきた《怨恨》をエンチャントしておく。
この無敵のアタッカーはケッシグ系にはとても辛いところだが、オガサワラの手札には握り続けていたもう1枚の《終末》がある。これを唱えるマナを確保するため《真面目な身代わり》で6マナ目を調達し、次ターンに備える。

…が、ここでお返しだと言わんばかりにヒガキがトップから《狩られる者の逆襲》を『奇跡』キャスト!《捕食者のウーズ》は3/1から9/7へ育ち、さらに攻撃時の誘発によって10/8へ。《真面目な身代わり》を貫通して本体に8点のダメージが通り、オガサワラのライフはもう残り6になってしまった。《真面目な身代わり》が墓地に落ちたことでウーズは更に成長し、+1/+1カウンターの2つ目が載せられた。
戦闘後、ヒガキは少し考えたが《緑の太陽の頂点》から5/5の《ダングローブの長老》を追加戦力として呼び出した。盤面だけを見れば次のターンに《捕食者のウーズ》が6/3へと成長しちょうどライフを削りきれるが、さすがにケッシグが6マナに到達するということは《原始のタイタン》をケアしないわけにはいかない。次のターンに土地を置ければ長老も6/6になるため、タイタン1体が出てきただけならば残るライフを削り切ることができる。

しかし、前述の通りオガサワラは手札に2枚目の《終末》を握っている。当然返しのターンにこれをキャスト。大きなアドバンテージを得た。
これで手札の脅威を使い尽くしてしまったヒガキは土地を置くだけでターンを返すが、オガサワラもフィニッシャーを引けず《墨蛾の生息地》で1点ずつ毒を与えることしかできない。

ここで《ウルヴェンワルドの足跡追い》を引き込むヒガキ。ただの1/1だが、手札に戻っていった《怨恨》がある。これをエンチャントしようとしたところで、オガサワラはこの1/1へ《内にいる獣》をキャスト。《怨恨》を潰すために仕方なく、といったところか。
《微光地》でライフを9に引き上げ、まだビーストトークンの攻撃には十分耐えられるはずだったオガサワラ。しかし、ヒガキは手札に《狩られる者の逆襲》をもう1枚握っていた。これによってビーストトークンは9/9へと成長し、オガサワラのライフをピッタリ削りきった。

ヒガキ 2-0 オガサワラ

ヒガキ、準決勝進出!
【レガシーデッキ解説】 M13参入後のマーフォーク
【レガシーデッキ解説】 M13参入後のマーフォーク
【レガシーデッキ解説】 M13参入後のマーフォーク
M13が解禁され、ついに待望の新アトランティスこと《真珠三叉矛の達人/Master of the Pearl Trident(M13)》が使用可能になりました。

昨今のコンボ寄りメタゲームで既に復権の兆しを見せているマーフォークですが、この新2マナロードの加入によって使用人数が激増することも間違いないと言われていますね。

さて、マーフォークを組むに当たって気を付けなければならないことがあります。これは実際にプレイしたことのある人ならばお分かりかと思いますが(そして過去にこのDNでも何度か言及しましたが)、ずばり青マナソースの数です。
数年前までのリストが未完成だった時代、マーフォークの青マナソースは島12枚しか無く、残り8枚の無色土地と合わせて土地20枚、というリストが一般的でした。
そして研究が進むにつれて土地枚数を増やす構築が発達し、現在では土地21~22で島を13~14は取るのが当たり前になってきたと思います。同時にマナフラッドを回避するための方法(例えばジェイスなど)を取るといった工夫が凝らされたり、メタゲームに合わせて無駄カードを減らす(土地でありコンボ対策であるKarakasを搭載するなど)といった試みがなされてきました。

さて、それでは今回のように2マナ域に4積みすることが100%確定している青ダブルシンボルの生物が加わりデッキ構成に明らかに影響を与えることが分かっている場合、どのように構築すればよいのでしょう。
青マナはしっかり欲しい、でも生物が増えているのに土地を増やすと更にスペースがない。土地を増やすと必然的に生じる中盤以降の無駄ドロー、でもマナフラ回避に重いカードを積むような余裕はない。このジレンマをどう解決するか。

人それぞれ考え方はあると思いますが、このリストが僕の考える一つの解答です。

【MonoBlue Tempo Merfolk】
土地18
2《不毛の大地/Wasteland(TMP)》
2《変わり谷/Mutavault(MOR)》
6《島/Island(RAV)》
4《溢れかえる岸辺/Flooded Strand(ONS)》
4《沸騰する小湖/Scalding Tarn(ZEN)》

クリーチャー23
4《呪い捕らえ/Cursecatcher(SHM)》
4《銀エラの達人/Silvergill Adept(LRW)》
4《珊瑚兜の司令官/Coralhelm Commander(ROE)》
4《アトランティスの王/Lord of Atlantis(TSB)》
4《真珠三叉矛の達人/Master of the Pearl Trident(M13)》
3《メロウの騎兵/Merrow Reejerey(LRW)》

スペル19
4《霊気の薬瓶/AEther Vial(DST)》
4《Force of Will(ALL)》
3《目くらまし/Daze(NEM)》
4《渦まく知識/Brainstorm(MMQ)》
4《思案/Ponder(M12)》


サイド
2《梅澤の十手/Umezawa’s Jitte(BOK)》
3《水没/Submerge(NEM)》
2《大祖始の遺産/Relic of Progenitus(ALA)》
1《トーモッドの墓所/Tormod’s Crypt(TSB)》
3《もみ消し/Stifle(SCG)》
2《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique(MOR)》
2《青霊破/Blue Elemental Blast(4ED)》

ブレストポンダーフェッチ。
レガシーで既に飽きるほど活用されているこのシステムこそが新しいマーフォークの可能性なのではないかと思います。
それでは改めてデッキの詳細を見ていきましょう。

1.マナベース
フェッチ8に島が6で青マナソースは14枚。さらに無色土地を合計4枚まで絞り、土地18枚にまでシェイプアップしました。
お前昔土地20以下とかありえねーって言ってたじゃねーか!と思われるかもしれませんが、僕が批判していたのは無色土地をフル搭載して島10枚という構成です。今回の構成ならば青マナのアクセスは一般的なマーフォークと同様(島13リストに比べればむしろ多い)です。
そもそも薬瓶も純粋なマナベースであるため、マーフォークのマナソースは一般的なデッキより相当多い(土地22ならば合計26枚)のです。なので、何も考えずに土地だけ増やしてしまうと対応型のデッキに対して中盤以降のドロー合戦でものすごく不利になってしまいます。

単色魚の強みとも言える無色8枚構成を捨てる価値はあるのか?この疑問に対しては、不毛と谷がそこまで強くないことが徐々に明らかになってきたと答えるべきでしょう。
青ダブルシンボルがここまで多いと、バイアルを引けなかった場合に谷や不毛を土地としてカウントできなくなることも多いです。さらに、谷は1枚引けば十分な相手が多く、引かなくてもクロックが基本的に足ります。不毛は不毛ハメパターンを失ってしまうデメリットはあるものの、自分よりも早いデッキ相手には基本的に不毛ハメは成立しないため、より高速なデッキが増えた現状ではややその魅力が薄れていると言えます。
もちろん事故っている相手に不毛連打で勝ち、というパターンこそありますが、元々有利な状況を簡単に勝ちに行けるカードよりは不利もしくは均衡した状況で有利を得るカードの方が強いのは当然の理屈です。

そして、そのカードこそが今回採用した青の基本スペルたちです。

2.スペル及びクリーチャー
まず、土地を減らしたために土地1(に、せいぜい薬瓶があるかどうか)程度の初手を貰うことが多くなりました。
しかしブレストポンダー8枚体制によってマナソースへのアクセスが可能になります。土地を探しに行くブレストポンダーは弱いというのは常識ですが、あくまでそれは補助的な役割に過ぎません。

マーフォークをプレイしていればすぐ気付くことですが、中盤以降に引いてしまった島とバイアルは基本的に完全な無駄カードです。逆に、2マナ以降がものすごく強いハンド(銀エラ複数にロードにスティルに…)であっても土地2枚目がなくて泣く泣くマリガンを選択せざるを得ない場面も多かったはずです(私見ですが、土地1だけどあとは強いというハンドはあまりキープしたくありませんでした)。
ブレストポンダー(+フェッチ)はこのような状況を解決するスペルとして既に広く知られています。ハンドに溜まったバイアルや島をライブラリーに押し込みつつ、上から3枚にロードを探しに行くという動きは(ロードがここまで増えていると特に)強い動きです。今までだとあっと言う間に息切れしてマウントを取られていたソープロ→SCMでフラッシュバックみたいな動きをされても、粘り強く立ち直れる可能性が大幅に向上しています。その上で土地を減らす構築にも貢献できるのだから強いのは当然。
要は単純にブレストポンダーの強みがデッキにマッチするのでは?ということですね。


ここまで書くとなんだかブレストポンダー構成が最強で何でいままで誰もしなかったの?という感じになってしまいますが、もちろんこの構成にも弱点はあります。
それは、メインのスペル枠を完全に使い切ってしまっているためにメタゲームに合わせたカードをメインから取る枠が無くなってしまったことです。
《行き詰まり》や《四肢切断》、《呪文貫き》の定番スペルや、僕が少し前まで採用していた《蒸気の絡みつき》など、いわゆる「除去枠」「追加カウンター枠」が完全に埋まってしまっています。
ブレストポンダーになった代わりに土地が4枚減っているので正確にはスペル枠減少は4枚だけ(あとは《真珠三叉矛の達人》が新たに加わったのが原因)ですが、その4枚でオリジナリティを出すことができないのは弱点と言えば弱点でしょう。

ただ、考え方を変えましょう。そもそも全員が新ロードを4枚新たに搭載するので、普通の構成にしても差別化できるところはもはや3~4枚程度しかないのです。それならば刺さるかどうか分からないスペルを取るより、毎回のゲームで確実に安定性を向上させる構成にするためにその枠を利用するのはどうか?という考えのもと、このようなスロット選択をするのもまた、一つの考え方ではないでしょうか。

なお、もう一つのデメリットとして考えられるのはフェッチを多用することによるライフ損失及び《もみ消し/Stifle(SCG)》耐性の低下ですが、これに関してはメリットと比較して今後も試していく予定です。もちろんこれらのデメリットがあまりにも大きいと判断すれば基本土地のみに戻しますが、テンポ系デッキから軒並み《もみ消し》が消えているため現状ではあまり被害を受けることはなさそうです。また、多色系と違って青マナさえ引けばいい上に不毛を食らうことはないため、そこまで土地で苦しむことはないと考えています。

(※以下加筆)
これだけ1マナスペルを積むと実際プレイする際に展開の邪魔になるのでは?と思われる方もいるかもしれません。確かに1~2マナ域に生物が集中しています。薬瓶が出ていないならとても序盤にドローしながら生物をキャストできるとは思えません。

…と考えてしまうのは実は大きな間違いです。考えてもみてください。例えば青白系の奇跡コンや石鍛冶、もしくはANTなどの青いコンボデッキを使っている時に、初手にブレストがありました。1ターン目の相手エンド時に必ずブレストを打ちますか?打つとは限りませんよね。
ブレストに依存した初手キープ(土地が不足していたり、マナはあるけど行動がなかったり)の場合は打つと思いますが、普通にそれ以外が充実している時はドロー操作は温存するのが基本です。なぜなら、序盤には他にキープ基準となったカードというマナの使い道があるはずだからです。

これらのドロー操作が強みはゲームが進むにつれて不要になってきたカードをフェッチ経由でデッキに戻したり、消耗戦後に一気に3T分の展開を前借りできる点にこそあります。カナスレやANTなどを使っているとよく分かると思いますが、打つ必要のないタイミングでドロー操作(特にブレスト)を打ってしまうのは多くの場合間違ったプレイングであることが多いです。

これはこのデッキについても同様で、例えば「島、フェッチ、呪い捕らえ、珊瑚兜、ブレスト、Daze、Will」というハンドをキープしたとしましょう。
1T目のキャッチャーは確実として、2T目はどうしますか?フェッチ立たせてブレスト打ってシャッフルしますか?

…しませんよね。
なぜならこの手札には何も不要牌がないからです。そして、1マナを無駄に余らせることになるからです。
少なくとも1枚、できれば2枚の不要牌が溜まるか、もしくは消耗戦でトップデッキした状態でもなければブレストは打つ意味がありません。
逆に言えばそういう状態からでも粘り強く戦うためのドロー操作であり、決して枚数のアドバンテージには貢献しないからこそ質の面でのアドバンテージをしっかり確保できるようにプレイしなければなりません。
上記のハンドならば3T目になった時点で2回ドローをしているため、その時点で土地を2枚引いてしまっていたり、思案やブレストを重ねて引いてきた場合にのみプレイすれば良いでしょう。もし上から追加の生物を引いていればその生物を出せばいいだけのことです(全体除去をケアする場合などは少し話が変わりますが)。

繰り返しになりますが、ドロー操作はどうしても特定のカードを探しに行きたい場合を除き、基本的にはプレイすべきカードがなくなったタイミングでプレイする、というのが正しい使い方です。そしてこれはこのデッキに限ったことではありません。
そして、このデッキは普通のマーフォークと基本的に同じだけ生物もカウンターも搭載されています。なので、ドロースペルばかり引いてクロックを引かない、というのはこの構成の利点でこそあれ欠点ではありません(普通の構成ならばそのキャントリップから魚にアクセスすることすらできないのですから)。
また、青マナにアクセスできる土地も額面上は14枚搭載されているので青ダブルが出なくて負ける、というのも構成には関係ありません。
(※加筆ここまで)


生物構成についてはあまり言及することはありませんが、とりあえずスロットの関係上1枚だけメロウを減らしてみました。バイアルを2で固定したい場面が本当に多いため3マナ域はあまり取りたくないのです。カードの強さで言えば珊瑚兜を1枚減らしてもいい(除去に対してテンポを取られることが多く、余ったマナをドロー操作に用いることが増えたのでレベルアップする機会が減少したため)のですが、あくまで展開のスムーズさを優先した結果ですね。この部分に関してはまだ調整する余地はあると思います。

サイドボードに関しては特に珍しい選択もしていないので省略。もし何か気になる点があればコメント等でどうぞ。

長くなりましたが、以上がデッキ解説になります。
そして今日はこのデッキを試すべく、BM池袋のデュアランレガシーに参加してきました!ぜひ大会レポも合わせてお楽しみください。

参加者は15名と若干少なめ。AMCチームレガシーと被っているため仕方ないところ。4回戦で全勝者にはデュアルランドが、3-1以上には他の賞品が与えられます。

Round1:ANT
久々に見ました!最近コンボと言えばグリセル系ばかりですが、ANTも当然最強コンボの一角。プレイミスしたらすぐにやられてしまう相手は久々のレガシーのリハビリ相手としてはちょっと厳しいか!?w

1本目は後手ながらキャッチャー、銀エラと無事に並べていく展開。ポンダーで追加のキャッチャーを探しつつロードを積み込み、カウンターも合わせて構えるがまずは強迫にWillを。相手は慎重にターンを返してくるが、返しのターンに十分のマナから改めてコンボ開始され、デイズとキャッチャー2体でなんとか青マナだけは潰すが…ぴったりハンド使い切ってPiFルートに辿り付かれて負け。

2本目は3点ずつ殴りながらカウンターを探し続け、ハンデスで仕掛け→次のターンの仕掛け直しをWillで弾き返してなんとか勝ち。

3本目はブレストを打った次のターン、盤面にキャッチャーと島と変わり谷と大祖師の遺産、手札にWillとデイズと不毛とフェッチでライブラリトップはフェッチ。相手の土地はアンシーと島とフェッチで手札は5枚。
この場合、普通にフェッチを置いてライブラリをシャッフルしつつ谷で殴って1マナ浮かせて遺産を構えてPiFルートを潰せば、あとは追加のカウンターを引き込むのを期待しながらむかつきルートを潰すほぼ勝ちに近い盤面だったのですが…。ここで自分が取った行動は不毛セット即起動でアンシー壊してからの谷とキャッチャーでアタック。
当然土地はフルタップであり、ハンドに青い弾がデイズしかないので実質カウンターとして機能するはWillとキャッチャー起動だけ。そしてそんなミスをした所を相手が見逃すわけもなく、普通に返しにPiFで殺されました。
…いやー、これは酷いw致命的というか負けを確定させてしまうミスでした。土地2枚とハンドがあれだけあれば余裕でコンボ決められてもおかしくないのに、完全に感覚を忘れていましたね。
そんなわけでミスによる手痛い一敗。
×○×

Round2:青白コントロール(奇跡コン?)
1本目は後手。キャッチャー、銀エラ×2、アトランティス。アトランティス2体はソープロ+SCMされたけどドロー操作で達人をまとめて引きこんで出して勝ち。

2本目は相手ワンマリ。銀エラ、銀エラからのロード連打で危なげなく勝ち。勝ち手段は見てないけど独楽入ってたから多分奇跡コン?
○○

Round3:青白《謙虚/Humility》コントロール
1本目は先手。バイアルからポンダーフェッチでハンドを整えつつキャッチャー、銀エラと展開。PtEとソープロを打たれつつドローでどんどんロードを補充し、そのまま勝ち。

2本目は相手が平地2連続で並べる展開でカウンターは気にせずに済むが…と思っていると、突然の《等時の王笏》+《オアリムの詠唱》!しかし相手の土地が3枚(平地2+アウトポスト)で止まっていたので、1発目はスタイフルで、2発目のキッカー込み起動はデイズで、と何度もカウンターしながら銀エラとロードを強引にプレイしていき、最終的に十分なクロックで勝ち。
○○

Round3:トリコ《空召喚士ターランド》中速コン
1本目は先手。とりあえずキャッチャー銀エラと並べながらポンダーブレストで掘り、バイアルにはwillを使ってもらう。ソープロSCMでゴリゴリ除去されるがなんとか弾の補充が間に合い、最後《空召喚士ターランド》で一瞬ヤバいかと思ったけどなんとか削り切って勝ち。

2本目は薬瓶設置からのドローで手札を整えつつフェッチをもみ消し、相手の土地が洞窟(ウィザード指定)と島だけのところでヴェンディを薬瓶から出すとボルト2枚に終末、SCM、ターランド。これは素直に土地が1枚でも伸びるとアド確定のSCMをボトムに送り、そのままヴェンディ+追加の魚でビート。しかし相手が3枚目の土地を揃えたところでキャストされたヴェンディに向かって《Force of Will》!
…おい、思いっきり魂の洞窟からマナ出てるじゃねーか!ww
というわけで無駄に手札を2枚とライフ1点を消費してしまい、その差が響き徐々に巻き返される。さらに《修復の天使》で使いまわされ、投了。

3本目はとりあえずバイアルが通るが生物が少ないので掘りに行く。その後安定してきたのでこっちが出しては相手が除去、の流れを繰り返し、一旦こっち銀エラ2体と谷2枚とキャッチャー、相手修復の天使と《ボーラスの占い師》で膠着。ここで相手が《終末》奇跡したのでこちらの谷が殴り始め一時的に有利になるが、相手からも修復の天使が出てきて変わり谷を1体失う。そしてこちらはポンダーで引き込んだ珊瑚兜を一期に育て、トップにアトランティスも積んである状態で再び《終末》。その後アトランティスは除去されるがあとはキャッチャーと谷で殴り続け、なんとか勝ち。
○×○

というわけで3-1でした。
M13を2パックと、英語版の《聖遺の騎士》をゲット!パックからは《雷口のヘルカイト》も出てきてラッキー!
《聖遺の騎士》はこれで1枚余ったので必要な人がいればトレードできます。

使ってみて改めて感じましたが、このデッキは強い!
とにかく動きが安定するし、青白x系のSCMを絡めた除去連打系デッキに3回連続で当たって息切れすることなく勝てたのはこの構成だからこそだと思います。
ANTにも誰から見ても分かるミスをしたせいで負けてしまったものの、あのターンのプレイさえ合っていればあとは《むかつき》ルートしか残っておらず3点クロックでアタックが継続できていたのでかなり勝ちに近かった状態でした。つまり、デッキ自体は十分なパフォーマンスを持っているのだと思います。全勝できなかったのは単に僕がヘタクソでした。(気付いてる限りでも結構な数のミスをしていますよね…)

なんにせよまだ試行回数が少ない上に当たった相手も偏っているので何とも言えない(RUGもゴブリンもショーテル系も踏んでないし)のですが、とりあえずもう少し使い続ける気にはなりました。


さて、というわけで新環境のデッキ解説及びプレイレポをまとめてお送りしました。参考になったでしょうか?
気になる点や各種つっこみ、ご意見ご感想などはいつも通りコメントにてお待ちしています。
(※一部加筆修正を行いました。)
決勝戦:ワダ トシヤ vs. サトウ ナオキ

一周年記念大会も残すところあと一戦。
この試合に勝った方が《Bazaar of Baghdad》を手に入れ、第一回記念大会チャンピオンの称号を得ることになる。

ワダは青緑黒のオリジナル・コントロールデッキ。対するサトウは今や絶滅危惧種とも言われているイリュージョン。決して環境のトップメタ同士の争いではない、自分の信じたデッキを使って大会に挑んだ2人が最後の勝負に挑む。

Game1
最後のマッチで先手の権利を得たのはワダ。初手は気に入らずマリガンしたが、それなりに動けそうな6枚のハンドをキープする。後手のサトウはマリガン無しで、ついに決勝戦の火蓋が切って落とされる。

サトウが後手1ターン目から《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》をΦマナによって2連続でプレイした後に《思案/Ponder》、というどこかで見たような動きをしている一方、ワダは《水没した地下墓地/Drowned Catacomb》、《闇滑りの岸/Darkslick Shores》と順にセットランドし《漸増爆弾/Ratchet Bomb》をプレイ。

一方サトウは2T目に《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》をプレイ。おそらく前のターンの《思案/Ponder》でスペルを積み込んでいるのだろう。
ここでワダは小考するも、あえてターンを返してサトウの土地が起きてからアップキープ開始時、誘発型能力にスタックして《悲劇的な過ち/Tragic Slip》。これは《否認/Negate》で妨害され、《思案/Ponder》を公開したことで《昆虫の逸脱者/Insectile Aberration》へと変身を遂げる。

ただ、ワダは元々《漸増爆弾/Ratchet Bomb》をコントロールしているため、3/2飛行生物は即座に破壊されることになった。サトウは《ムーアランドの憑依地/Moorland Haunt》を置いてターン終了。
ワダの土地が伸び悩んでいる間に土地を5枚までスムーズに伸ばしたサトウは悠々と《ムーアランドの憑依地/Moorland Haunt》でスピリットを召喚する。

メインフェイズでサトウが《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》をプレイして《思案/Ponder》を再利用しようとすると、それに対応してワダも《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》をプレイ。《思案/Ponder》がプレイされる前に《悲劇的な過ち/Tragic Slip》をプレイし、1/1のスピリット・トークンを除去する。

さらに次のターン、サトウが《非実在の王/Lord of the Unreal》→《幻影の像/Phantasmal Image》と畳み掛けたところで対応してワダは《非実在の王/Lord of the Unreal》に《喉首狙い/Go for the Throat》。ならば別のものになるよ、ということで結局《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》のコピーとして登場し、《思案/Ponder》をフラッシュバックした。

お互いの《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》は相討ちするも、サトウの《幻影の像/Phantasmal Image》は生き残ってクロックを刻み始める。さらに《幻影の熊/Phantasmal Bear》を追加しつつエンド前に《ムーアランドの憑依地/Moorland Haunt》起動、と一気に5点クロックへ成長し、ワダのライフは12へ。
このままではライフが危ないと判断したのか、エンド前に《幻影の熊/Phantasmal Bear》を《喉首狙い/Go for the Throat》で除去するも、ワダが引いてくるのは現状意味のないカウンターばかり。その間にもスピリット・トークンはどんどん湧き続けている。

追加の《幻影の像/Phantasmal Image》こそ《雲散霧消/Dissipate》で対処するものの、そもそも盤面のクロックがどうにもならないワダは、ようやく引き込んだ5枚目の土地からプレイした《死の支配の呪い/Curse of Death’s Hold》が《マナ漏出/Mana Leak》されるのを確認するとカードを片付けた。

サトウ 1-0 ワダ

Game2
せっかくの決勝戦でストレート負けは避けたいワダ、初手を確認すると土地が《沼/Swamp》と《内陸の湾港/Hinterland Harbor》で3色は揃っているものの2枚しかなく若干の不安を覚える。
ただ、ハンドには《熟慮/Think Twice》や《マナ漏出/Mana Leak》、《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil》などが揃っており、2~3ターン無事に耐えることができればゲームになりそうではある。

一方のサトウはマリガン。どうしてもデッキの性質上マリガンが多くなってしまうのは仕方のないところか。

再び先手スタートのワダは予定通り土地を置いて、《熟慮/Think Twice》でじっくりドローを進めていこうとする。
しかし、それを打ち砕くサトウの1T目《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》からの、2T目に《思案/Ponder》を公開しながら即座に《昆虫の逸脱者/Insectile Aberration》への変身。ある程度遅めのゲームを希望していたワダにとっては最悪とも言える展開だ。

しかも、よりによって2T目のドローが《悲劇的な過ち/Tragic Slip》。1ターンでも変身が遅れていれば除去することができたのだが…。
ここは3点クロックを受けながらも《熟慮/Think Twice》で土地を探しに行くが引けない。サトウはさらに《幻影の熊/Phantasmal Bear》も追加する。これは先程引いた《悲劇的な過ち/Tragic Slip》で処理。しかし、これによって墓地に生物が落ちてしまったため、サトウの《ムーアランドの憑依地/Moorland Haunt》がアクティブになってしまう。

そして、そのタイミングでようやく引く3枚目の土地(《闇滑りの岸/Darkslick Shores》)。あと1ターン早ければ、《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil》であの虫を除去できたかもしれないのに、今となってはムーアランドからのスピリットが代わりに消えて行くことが目に見えている。
それでも仕方ない、という雰囲気でキャストすると、サトウはここに《マナ漏出/Mana Leak》。時間稼ぎすら許さない。

次のターンは待望の4枚目の土地…だが、タップイン。《黒の太陽の頂点/Black Sun’s Zenith》X=2が、打てない。仕方なくX=1で1点だけクロックを引き下げるワダ。しかしエンド前に《ムーアランドの憑依地/Moorland Haunt》を起動されてしまうわけで、結局のところ3点クロックは変わらない。

そして次のターンに引いた5枚目の土地も、タップイン。《血統の切断/Sever the Bloodline》を《昆虫の逸脱者/Insectile Aberration》にプレイするが、これにも《マナ漏出/Mana Leak》。

そして、2ターン目から3点クロックを受け続けていたワダにはもう次のターンは残されていないのだった。

サトウ 2-0 ワダ

もはや存在を忘れかけられていた「青白イリュージョン」デッキ。
しかし、現在のビートダウン寄りメタゲームの中、ビート対決に強く、なおかつ1マナクロックの豊富さでコントロール相手にもプレッシャーのかけられるイリュージョンは実は良い選択なのかもしれない。


普段は仕事が忙しくなかなかマジックをする時間が取れないというサトウだが、自分の信じるデッキを調整し続け、この記念すべき大会で勝利を果たした。

たかが店舗大会、されど店舗大会。
そこでは年齢も立場も異なる多くのプレイヤーたちが集まり、知り合い、友人となり、仲間となる。

優勝賞品の《Bazaar of Baghdad》を受け取り、彼はこの店で出会った仲間たちと祝杯をあげに池袋の街へ繰り出した。


一周年を迎えたBigMagic池袋店、そして優勝したサトウ ナオキ!

どちらもおめでとう!




(準決勝:http://police.diarynote.jp/201203190620029931/
(準々決勝:http://police.diarynote.jp/201203190455465080/)
準決勝:アラカワ タカユキ vs. サトウ ナオキ

準々決勝にて青黒コントロールとの壮絶な延長戦を制したサトウ(青白イリュージョン)と、同じく準々決勝にて「黒単」対決を制して勝ちあがったアラカワ(黒単コントロール)の対決。
決勝に駒を進めるのはどちらのプレイヤーだろうか。

Game1
先手はアラカワ。両者ともにキープを宣言。
アラカワの初手:
《沼/Swamp》2枚、《墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus》、《太陽の宝球/Sphere of the Suns》、《真面目な身代わり/Solemn Simulacrum》、《死の支配の呪い/Curse of Death’s Hold》、《ワームとぐろエンジン/Wurmcoil Engine》

サトウの初手:
《島/Island》、《金属海の沿岸/Seachrome Coast》、《ムーアランドの憑依地/Moorland Haunt》、《マナ漏出/Mana Leak》2枚、《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》、《幻影の像/Phantasmal Image》

アラカワは除去こそ無いものの「イヤナガケッシグ」よろしく2→4→6の動きが可能なハンドであり、サトウは能動的なクロックこそ無いものの2枚の《マナ漏出/Mana Leak》の使い所がキーになりそうだ。
ちなみにアラカワのデッキは一般的に「黒単コントロール」と言われて想像するデッキとはやや異なり、デッキ内のパーマネントの大半がアーティファクトである、いわば「黒茶単」とも言うべきリストになっている。

サトウが1T目にマナを払ってプレイした《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》に、「なんで青にハンドを見られないといけないんだろうね…(笑)」と黒使いならではの苦笑を洩らしつつハンドを公開するアラカワ。2→4→6プランを確認したサトウはカウンターの使い所を決められただろうか。

予定調和的に2T目に《太陽の宝球/Sphere of the Suns》をプレイし、まずは2→4のジャンプアップは成功したアラカワ。しかし、次ターンの《真面目な身代わり/Solemn Simulacrum》にはやはりサトウが《マナ漏出/Mana Leak》。次ターンも2マナを残しつつ《幻影の熊/Phantasmal Bear》だけプレイしてターンを返すサトウ。

残念ながら6マナ域にはジャンプできなかったアラカワは《テゼレットの計略/Tezzeret’s Gambit》を4マナ払ってプレイ。青マナを生みだしてカウンターを減らしたはずの《太陽の宝球/Sphere of the Suns》に再びカウンターが復活する。

その間に2点ずつクロックを刻むサトウ。《真面目な身代わり/Solemn Simulacrum》2枚目にも《マナ漏出/Mana Leak》を合わせ、初手にあったカウンターは使い切った計算だ。
ここで《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》を追加した返しにプレイされる《死の支配の呪い/Curse of Death’s Hold》!
だが、このカードは《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》で確認しているはず。それなのに1/1のクリ―チャーを出しているということは…そう、サトウはもう1枚《マナ漏出/Mana Leak》を引いていたのだ。

そして新たなる妨害手段を探しに、メインフェイズに《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》から《思案/Ponder》をプレイするサトウに対し、フルタップの隙を縫って《ワームとぐろエンジン/Wurmcoil Engine》を着地させ、さらに《悲劇的な過ち/Tragic Slip》で《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》を除去するアラカワ。
これで逆転かと思うも束の間。現代のスタンダードを代表するスペル、《蒸気の絡みつき/Vapor Snag》によって巨大なワームは主人に傷を与えながら手札へ帰って行く。
これによって空いた戦場を《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》と《幻影の熊/Phantasmal Bear》の重い4点クロックが駆け抜けて行く。青いクリーチャーとは思えないパンチ力だ。本当に最近のクリーチャーは、強い。
さらに「強い最近のクリーチャー」代表とも言える《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》を追加し、まだ手札を4枚も残した余裕の状態でエンドするサトウ。

ここでマナを微妙に立たせていることを警戒し、《ワームとぐろエンジン/Wurmcoil Engine》ではなく《鞭打ち悶え/Lashwrithe》をプレイするアラカワ。現状、6/6の細菌トークンだ。
サトウはこれに対して特に対処はせず、《聖トラフトの霊/Geist of Saint Traft》を追加してターンを終了する。《ゲスの評決/Geth’s Verdict》で《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》を生け贄に捧げさせ、先程ハンドに帰っていった《ワームとぐろエンジン/Wurmcoil Engine》が満を持して再び戦場に降り立つ。

ここで小考したサトウは《蒸気の絡みつき/Vapor Snag》で再び《ワームとぐろエンジン/Wurmcoil Engine》を退場させ、全員(瞬唱、トラフト、幻影の熊)でアタック。残り7のアラカワは《墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus》も起動しつつ、《鞭打ち悶え/Lashwrithe》の細菌で《聖トラフトの霊/Geist of Saint Traft》を打ちとりつつ、《墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus》で天使トークンをチャンプして4点をスルーし、残り3。
そして祈るように三度キャストされた《ワームとぐろエンジン/Wurmcoil Engine》は《雲散霧消/Dissipate》によって消え去り、続くターンの2体アタックにも細菌トークンで《幻影の熊/Phantasmal Bear》がブロックされ、《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》のパンチが通り残り1。
そして戦闘後メインフェイズにさらに《幻影の熊/Phantasmal Bear》が追加され、次のドローを確認したアラカワはこれ以上のブロッカーを用意できず投了した。

サトウ 1-0 アラカワ

ライフを要求する上に悠長な効果の《テゼレットの計略/Tezzeret’s Gambit》を全抜きし、《虚無の呪文爆弾/Nihil Spellbomb》などを追加するアラカワ。サトウは重い部分をサイドアウトし、置き物に触れる除去を投入した。

Game2
2本目も両者ともにマリガン無しでスタート。

サトウは第一ドローで引き込んだ《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》をペイライフでプレイし、さらにその効果で引き込んだ《幻影の熊/Phantasmal Bear》をプレイするという好調な滑り出し。
対するアラカワは再び2T目に《太陽の宝球/Sphere of the Suns》でマナを伸ばす。《幻影の熊/Phantasmal Bear》に殴られるものの、《ゲスの評決/Geth’s Verdict》で除去する。しかし、サトウの手から即座に2体目が追加される。

ここで盤面を片付けたいアラカワは《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil》をプレイ。しかし、これは《マナ漏出/Mana Leak》で阻まれる。
熊が、殴る。残りライフは16。

次にプレイされたの《死の支配の呪い/Curse of Death’s Hold》。これは《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》がフラッシュバックした《マナ漏出/Mana Leak》によって着地が許されない。
そればかりか、サトウは《思案/Ponder》でシャッフルを行った後にさらに《幻影の熊/Phantasmal Bear》を追加する。
熊が、魔道士が、殴る。残りライフは12。

今度こそ!とアラカワのプレイする2枚目の《死の支配の呪い/Curse of Death’s Hold》。そちらが2枚目ならこちらもだ、と言わんばかりにサトウが《マナ漏出/Mana Leak》を公開する。
熊が、魔道士が、そして熊が、殴る。残りライフは6。

大丈夫、まだ間に合う。ライフは6でクロックも6点。ならばブロッカーがいれば耐えられる。アラカワは《鞭打ち悶え/Lashwrithe》で巨大なブロッカーを用意しようとするが、サトウの手札から盤面に降り立つのは《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》。
フラッシュバックするのはもちろん、《マナ漏出/Mana Leak》。

熊が、魔道士が、そして熊が、さらに魔道士が、殴る前に。
アラカワは投了を宣言した。

サトウ 2-0 アラカワ

サトウ、決勝進出!


(準々決勝:http://police.diarynote.jp/201203190455465080/)
(決勝:http://police.diarynote.jp/201203190730033319/
準々決勝:タツミ コウジ vs. サトウ ナオキ

BigMagic池袋店のオープン一周年記念として開催されたこの大会。TOP8入賞者には全て賞品として《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》英語版が与えられ、さらに優勝者には《Bazaar of Baghdad》が授与される。一周年記念イベントだけあって非常に豪華な大会となっている。

Vintage環境でさえも使われ、環境を象徴すると言われる《瞬唱の魔道士》。このマッチアップもまた、形こそ違えど互いにこの強力なインビテーショナルカードを存分に活用するデッキ同士の争いとなった。

タツミが駆るのはメタゲームが巡るたびに現れる「青黒コントロール」。コントロールデッキ巧者として知られる彼の扱うこのデッキは一味も二味も違う。
対するサトウが相棒に選んだのは「青白イリュージョン」。一般的には「青白Delver」への進化の過程で淘汰されたと言われるこのデッキタイプだが、サトウはあえてこのデッキを使い続けているようだ。「イリュージョン」は果たして過去のデッキなのか、それとも…?サトウのプレイにも期待がかかる。

Game1
ダイスロールに勝ったサトウはマリガン。土地は《島》1枚ながら、ドロー操作の多いハンドをキープ。後手のタツミは7枚でキープを宣言する。

サトウのペイ2ライフ《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》からゲームは開幕する。早々にゲームプランを看過されてしまうタツミ。土地が3枚に除去・ドロー・カウンターの揃った4枚のスペルという完璧に近いハンドが公開される。
ゲームを長引かせる意味はないと悟ったか、サトウは続けてライフを支払いつつ2枚目の《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》でドローを進める。そして、ようやく「普通に」マナを支払って《思案/Ponder》をプレイ。怒涛の1ターン目が終了する。

対するタツミは当然のようにドローセットランドゴー。サトウはドローで引きこんだ青マナから《非実在の王/Lord of the Unreal》を最初のアタッカーとして用意する。孤独な王様が2点のダメージを刻みつつ、第一の配下として呼びだした《幻影の熊/Phantasmal Bear》はタツミの《マナ漏出/Mana Leak》に阻まれるが、それならば、と追加の《非実在の王/Lord of the Unreal》をプレイ。クロックが2倍へと成長する。

しかし、一旦4点のダメージを受けた相手エンド前に《禁忌の錬金術/Forbidden Alchemy》で《飢えへの貢ぎ物/Tribute to Hunger》を入手したタツミは、4枚目の土地を置くと《黒の太陽の頂点/Black Sun’s Zenith》X=2によって2体の王を消し去る。いわゆる「ロード」でありながら互いに修正を与え合わない《非実在の王/Lord of the Unreal》ならではの展開と言ったところか。

クロックが途絶えてはマズいと《思案/Ponder》から《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》を展開するサトウだが、これは即座に《悲劇的な過ち/Tragic Slip》によって能力の誘発すら許されない。続いてサトウのメインフェイズに唱えられた《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》は着地を許可され、《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》をフラッシュバックすることで疑似的な《銀エラの達人/Silvergill Adept》となった。

ここでタツミは引き込んだ《漸増爆弾/Ratchet Bomb》を布石としつつ、《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》に殴られながらもドロースペルで手札を整えて行く。ライフが8となったところで《漸増爆弾/Ratchet Bomb》によって魔道士を破壊し、ついにクロックの尽きたサトウのライブラリーを《ネファリアの溺墓/Nephalia Drownyard》で攻め始める。
続くターンに《死の支配の呪い/Curse of Death’s Hold》が通ってしまい俄然苦しいサトウ。《聖トラフトの霊/Geist of Saint Traft》こそ互いの《マナ漏出/Mana Leak》の応酬によって着地に成功するも、ここでタツミが先程から温存していた《飢えへの貢ぎ物/Tribute to Hunger》が突き刺さる!

これによって完全に息切れを起こしたサトウは、たっぷりのハンドに守られながら悠々と《ネファリアの溺墓/Nephalia Drownyard》を起動し続けるタツミのライフを削りきるのは不可能と判断したのか、投了を宣言した。

タツミ 1-0 サトウ

サトウはスピード対決用のカードをサイドアウトし、盤面に触れられるカードを追加。タツミは後手で弱いカウンターをサイドアウトし、墓地へ干渉できるカードを投入したようだ。

Game2
再びサトウの先手からゲームが開始される。またもやマリガンに見舞われてしまうサトウだが、今回は複数の土地と軽いクロックに恵まれた初手を貰うことができた。タツミは今回も7枚でキープ。

1T目の《幻影の熊/Phantasmal Bear》が急戦を告げる。そのままこのクマに殴り続けられるタツミだが、2回殴られたエンド時に《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》をフルタップでプレイ、次ターン以降の戦闘要員として用意する。
それならば利用させてもらおう、とサトウのプレイした《幻影の像/Phantasmal Image》は《マナ漏出/Mana Leak》され、アタックした《幻影の熊/Phantasmal Bear》はタツミの要求通り《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》と相討ちとなる。

追加のクロックを《思案/Ponder》で探すサトウだが、これは納得のいかないトップだったのかシャッフルを選択し、マナを構えてエンド。タツミの《禁忌の錬金術/Forbidden Alchemy》は《マナ漏出/Mana Leak》されるが、返しに《漸増爆弾/Ratchet Bomb》が設置される。

サトウは《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》によってドロー操作を再利用し、ゲームプランを立て直そうと目論むがここにタツミの《雲散霧消/Dissipate》。サトウはフルタップになるが仕方なく《マナ漏出/Mana Leak》でこれを弾きつつ、2/1バニラとして戦場に着地させる。が、せっかくの努力も空しく《悲劇的な過ち/Tragic Slip》で除去されるのみ。
さらに《禁忌の錬金術/Forbidden Alchemy》フラッシュバックで《幽霊街/Ghost Quarter》を入手しつつ《漸増爆弾/Ratchet Bomb》に2つめのチャージを行うタツミ。青マナ2つを立ててプレイされた《聖トラフトの霊/Geist of Saint Traft》も、マナを残してプレイされた《黒の太陽の頂点/Black Sun’s Zenith》の前には無力に崩れ落ちて行く。
ここで完全に動きのストップしたサトウが3ターンの間ドローゴーを宣言する間、タツミは10枚の土地を並べて《禁忌の錬金術/Forbidden Alchemy》表裏でプレイ、とさらに戦力差の拡大を目指す。

ようやく引き込んだ《幻影の熊/Phantasmal Bear》は無事に着地し、サトウは2枚目の《漸増爆弾/Ratchet Bomb》がチャージされる前に《存在の破棄/Revoke Existence》しながら2点クロックを再び刻み始める。しかし《熟慮/Think Twice》でドローを進めたタツミは《悲劇的な過ち/Tragic Slip》でこの「幻影」クリーチャーを屠り、追加された《非実在の王/Lord of the Unreal》は場で睨みを利かせ続けていた《漸増爆弾/Ratchet Bomb》により即座に爆破処理し、優位を譲らない。
再びエンド前に《ネファリアの溺墓/Nephalia Drownyard》で「本体火力」モードに入り、サトウ万事休すか…と誰もが思ったであろうその時、突如としてゲームが動き始める。

まずはサトウが《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》をプレイ。変身せずに1点のダメージを与えた後、2体目もプレイ。
これは返しの《黒の太陽の頂点/Black Sun’s Zenith》でまとめて即死か、と思いきや突き刺さる《否認/Negate》。これは潤沢なマナからタツミの《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》→《雲散霧消/Dissipate》フラッシュバックで阻まれるかと思われたが、サトウはさらに《雲散霧消/Dissipate》でタツミの《雲散霧消/Dissipate》をカウンター。これで変身チャンス到来か…と思われたのも刹那、タツミは有り余るマナから《ソリン・マルコフ/Sorin Markov》を呼び寄せ、《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》の片割れを即座に除去し、さらにライフを15まで引き上げる。

しかしサトウもこのまま黙ってはいない。《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》の変身こそ叶わなかったものの、対象を待ち構えていた《天界の粛清/Celestial Purge》で憎っくきプレインズウォーカーを追放し、先のターンのビッグアクションでマナを使い果たしたタツミに対して《非実在の王/Lord of the Unreal》→《幻影の像/Phantasmal Image》のコピー、と一気にクロックを構築してみせた!

これを放置するわけにもいかないタツミは「本物」の《非実在の王/Lord of the Unreal》を《喉首狙い/Go for the Throat》で始末し、《飢えへの貢ぎ物/Tribute to Hunger》もプレイ。変身前の《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》がその身を捧げ、隣に立つ「偽物」の《非実在の王/Lord of the Unreal》を守る。

無事に生き延びた「偽物」の王を、サトウはさらなる《幻影の像/Phantasmal Image》でコピー!これで盤面には4/4の呪禁クリーチャーが2体並ぶことになる。4点のダメージを与え、さらに「本物」の《非実在の王/Lord of the Unreal》が追加される。

5/5の呪禁2体がどうしようもないタツミ。《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》をチャンプブロックに回しつつ、《熟慮/Think Twice》で掘り進める。しかし呪禁生物への解答は最後まで見当たらず、「偽物」でありながら「本物」より強い王たちによってライフを削りきられてしまったのだった。

タツミ 1-1 サトウ

Game3
ようやく先手を取ったタツミ。今回も7枚のハンドをキープするが、《墓所のタイタン/Grave Titan》という序盤に役立たないカードを抱えてしまっているためか、あまり満足のいく内容ではないようだ。
対するサトウはこのゲーム3回目のマリガン。ややリアクティブな内容ながらも、《ムーアランドの憑依地/Moorland Haunt》が心強い。

ビートダウン側のサトウが受け身なハンドをキープしたため、序盤はタツミの《漸増爆弾/Ratchet Bomb》を除いては互いにドローゴーを行うことになった。サトウは早々に《ムーアランドの憑依地/Moorland Haunt》を設置し、後々へのプレッシャーを放つ。
実質的なファーストアクションはサトウのペイライフによる《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》。ここでカウンターがないことを確認したサトウは即座に《聖トラフトの霊/Geist of Saint Traft》をプレイする。しかし、これは《漸増爆弾/Ratchet Bomb》によって処理されつつ、カウンターのマナを残せていないサトウの前にタツミの《墓所のタイタン/Grave Titan》が降臨する。

しかしサトウは完璧な回答を用意していた!すなわち、《幻影の像/Phantasmal Image》で《墓所のタイタン/Grave Titan》コピーからの《天界の粛清/Celestial Purge》で相手のタイタンを追放、というビッグプレイである。タイタンと化した《幻影の像/Phantasmal Image》は元々存在を確認していた《悲劇的な過ち/Tragic Slip》で除去されるが、互いにゾンビトークン2体が睨み合う盤面となった。

タツミが《漸増爆弾/Ratchet Bomb》を置けばサトウは《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》で応じる。ここでタツミのエンド前に《蒸気の絡みつき/Vapor Snag》で相手のゾンビトークンを1体減らし、攻勢に転じようとするサトウ。さらに次ターンのアップキープに《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》が《雲散霧消/Dissipate》を公開しながら変身する。タツミは《漸増爆弾/Ratchet Bomb》を起動することで自分の残るゾンビトークンごと盤面を一掃することも可能であったがこれを温存し、ドローステップに入る前に《喉首狙い/Go for the Throat》で3/2飛行クリーチャーを処分した。
それならば、とサトウは2/2のゾンビ2体でアタック宣言をし、一方はタツミの残るトークン1体と相討ちに。さらにサトウがタツミのエンド前に《ムーアランドの憑依地/Moorland Haunt》を起動すると、それに対応して《禁忌の錬金術/Forbidden Alchemy》で《幽霊街/Ghost Quarter》を手に入れる。

ここでサトウは《外科的摘出/Surgical Extraction》によって《禁忌の錬金術/Forbidden Alchemy》を取り除こうと画策するが、これは《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》によって「3マナの」フラッシュバックコストを得たことでフラッシュバックされ立ち消える。
ゾンビとスピリットに殴られつつも《幽霊街/Ghost Quarter》で諸悪の根源を破壊し、ここでようやく《漸増爆弾/Ratchet Bomb》を起動して盤面をクリアにするタツミ。先程のターンに安易に起動していてはこの盤面に辿り着けていない。数ターン先を見据えた見事なプレイだ。

失ったアドバンテージを取り戻そうとサトウは《幻影の像/Phantasmal Image》でタツミの《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》をコピーし、《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》によってドローを進める。予定調和的にオリジナルと相討ちさせた後、《幻影の熊/Phantasmal Bear》が無人の戦場に降り立った。
サトウは《幻影の熊/Phantasmal Bear》でアタックしつつ、ついに手札が8枚となりディスカードを開始する。今後もディスカードし続けるよりは…と、次のターンには《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》をメインフェイズで追加するが、これは《黒の太陽の頂点/Black Sun’s Zenith》の餌食に。

それでも負けじと次なる《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》を追加して《思案/Ponder》をフラッシュバックするサトウに対し、タツミも《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》から《悲劇的な過ち/Tragic Slip》をフラッシュバックして対戦相手の魔道士を除去する。

そして、ここでついに時間切れとともに延長ターンの宣言がアナウンスされる。決勝ラウンドは延長ターンで決着が付かない場合はライフ差勝負になるため、現在ライフ10のタツミは残り12のサトウからなんとかして2点以上のライフをもぎ取らなければいけない。

しかし、そんなタツミに歯止めを掛けるかのように《非実在の王/Lord of the Unreal》、《幻影の像/Phantasmal Image》のコンボを畳み掛けるサトウ。しかしコピーは《雲散霧消/Dissipate》により許可されず、本体も《喉首狙い/Go for the Throat》で処分される。
そして追加5ターン目、タツミは自分に《ネファリアの溺墓/Nephalia Drownyard》を起動して墓地に得た《熟慮/Think Twice》をフラッシュバックし、値千金の《悲劇的な過ち/Tragic Slip》を手に入れる!これによってサトウのスピリット・トークンを排除し、本体に2点のダメージを叩きこむことに成功した!

そして延長ターンが終わっても互いのライフが10で等しいため、ここからはライフ・サドンデス(ライフの増減が生じた瞬間にゲーム終了)となる。

まず《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》でドローを進めに行ったサトウに対し、タツミは《幻影の像/Phantasmal Image》で《非実在の王/Lord of the Unreal》をコピー。これならばバウンスを打たれず、ライフロスで負けることもない。さらに追加の除去かブロッカーを探しに《ネファリアの溺墓/Nephalia Drownyard》で墓地に落とした《禁忌の錬金術/Forbidden Alchemy》をフラッシュバックしようとしたところで…「あかん、ミスった!」と思わず口に出すタツミ。
傍から見ていると何をミスしたのか分からないが、その答えは《禁忌の錬金術/Forbidden Alchemy》でめくれたカードを見ることで明らかになった。

土地が1枚。そして…3枚の《飢えへの貢ぎ物/Tribute to Hunger》。

ライフサドンデスは、1点でもライフを減らしたプレイヤーが敗北し、1点でもライフを増やしたプレイヤーが勝利する

《飢えへの貢ぎ物/Tribute to Hunger》のマナコストは、3マナ。タツミの残したマナは…2マナ。そして、《幻影の像/Phantasmal Image》さえプレイしていなければ、彼の手元には…4枚のアンタップ状態の土地があったはず、なのである。

そして、サトウの盤面にはスピリット・トークンの製造を今か今かと待ち構えている《ムーアランドの憑依地/Moorland Haunt》があり、そこから生み出されたトークンの与えた1点のダメージによって、この長い長い対決に終止符が打たれたのであった。

タツミ 1-2 サトウ

サトウ、準決勝進出!

(準決勝:http://police.diarynote.jp/201203190620029931/)
(決勝:http://police.diarynote.jp/201203190730033319/)
こんにちは。お久しぶりの考察記事です。

ここ一週間ほどで関東のメタゲームに「青タッチ白クロックパーミ」、通称青白虫人間が現れました。(参考:「ストライクと大会」 http://d.hatena.ne.jp/Strike/20120109
一見青白イリュージョンからの発展系に見えますが実際はイリュージョン以前の形に戻ったと言った方が正しく、この日記でも何度か取り上げた「青白神束」が再来したと言うほうが正確ですね。

当時は結局国内ではあまり流行ることはなく、虫人間タイプのクロックパーミッションはMO内でイリュージョンの大量発生、という現象を伴って世界選手権前に日本で流行するのを待つことになりました。

しかし何故か自分の周囲では原形である「神束」を研究したプレイヤーが自分を含めてやたらと多く、独自の発展を遂げていきました。そしてその結果辿り着いた構成にもそれなりに自信を持っているので、ここでその内容について紹介しようと思います。スタンダードプレイヤーの一助になれば幸いです。

●クリーチャーの選択について
4《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets(ISD)》
4《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage(ISD)》

この8枚は確定です。しかしこれだけではあまりにも虫頼みのデッキになってしまうため、あと最低1種類は軽量アタッカーが必要になります。
現状では《磁器の軍団兵》か《幻影の像》が選択されているようですが、前者は出るのが遅い割に除去耐性が低く(2点ライフと2マナを費やして同型のガットショットに落とされるのは致命的)、後者は装備品が付けれない上に突破性能が単体では皆無なので弱いです。

結論を言うと、ここの枠に入れるべき生物は《大霊堂のスカージ/Vault Skirge(NPH)》です。
イリュージョンが弱い理由の一つとして生物を都合のいい順番で固め引きしないと突破性能が皆無な点がありますが、1マナフライヤーとして扱える、鋼デッキでも使われているこのクリーチャーは地上ブロッカーをDelverと同様無視することができます。また、黒いアーティファクトなので《破滅の刃》と《喉首狙い》を無視できます。ライフリンクも地味に強いですが、装備と合わさるとさらに強力になります。
クロックパーミッションは構造上相手の全てのカードに対処できるわけではないので、生物自体が相手の除去かブロッカーを無視できることが重要です。この条件ならば《不可視の忍び寄り》も当てはまりますが、可能な限り1ターン目にクロックを置きたいこのデッキではあまり使いたくありませんね。

ちなみに2~3枚程度の固定枠として採られている《聖トラフトの霊》ですが、3枚はちょっと多いかな?と思います。2枚くらいでいいかな。あんまり生物増やしてしまうと虫が変身しづらくなりますし。ただ、これに関しては一回殴るのにバウンスを使う価値があるので、地上で簡単にストップするとしても入れること自体は悪くないと思います。
そんなわけで、僕のお勧め生物構成はこんな感じですね。
4《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets(ISD)》
4《大霊堂のスカージ/Vault Skirge(NPH)》
4《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage(ISD)》
0~2《聖トラフトの霊/Geist of Saint Traft(ISD)》


●スペルの選択について
まず真っ先に《ギタクシア派の調査》は抜けると思います。
何度もプレイしていたら実感すると思いますがこのスペルは弱いです。キープ基準が向上するわけでもないですし。もちろん実質2ライフのみで相手の手札を見れるのは強いのですが、それに枠を割くのが勿体ないと思います。

次に装備品。
現在は《戦争と平和の剣》、続いて《ルーン唱えの長槍》が採用されています。どちらも実際に試したことがありますが、前者はメインから複数積むにはさすがに重いです。プロテクションの色もメタゲームに合致していて能力もデッキに合っているのですが、いかんせん重い。土地21ではカウンターを構えながら3マナを設置するだけでも一苦労です(同様の理由でトラフトもあまり枚数を入れたくありません)。
後者は2マナと手軽に見えますが、このデッキは見た目ほど毎回墓地にスペルが溜まらない上に瞬唱がどんどん持っていくので、+1~+2程度で終わってしまうことも多々あります。

そこで装備品のお勧めは《銀の象眼の短刀/Silver-Inlaid Dagger(ISD)》です。
実は《秘密を掘り下げる者》は反転しても人間タイプを持っているので、裏に装備すると6/2という凄まじいサイズになります。瞬唱も人間なので5/1ですね。スカージは人間ではないのですが、3/1飛行ライフリンクはダメージレースを引っ繰り返すのに十分です。最悪スピリットトークンに付けても悪くないですし。
そして何より軽い。キャスト1マナ装備2マナはカウンターを構えたまま行える余裕のコストです。これは見つけたときに正直「おっ!」と思いましたw
短刀は回避能力も除去耐性も付きませんが、そもそも意識的にフライヤーを選択しているので回避は問題なく、除去耐性もどうせ装備スタックで除去されなかったら一緒なので関係ありません。赤単はもとから無理ですしね。

最後に残りのスペル。
ここは特に言うことはないですが、生物とギタ調を減らした分だけカウンターを増やせます。今はメタゲームが混沌としていて何とも言えませんが、重めのスペルやPWにはマナリークの効き目が長持ちすること、そもそもそういう遅いデッキには相性がいい上にフィニッシャーの生物にも刺さることから否認よりも《心理の障壁》を多く積むと良いと思います。

●デッキリスト
というわけでお勧めのスペル構成を含め、メインボード全体はこんな感じ。
土地21
3《ムーアランドの憑依地/Moorland Haunt(ISD)》
9《島/Island(M12)》
1《平地/Plains(M12)》
4《金属海の沿岸/Seachrome Coast(SOM)》
4《氷河の城砦/Glacial Fortress(M12)》

クリーチャー:14
4《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets(ISD)》
4《大霊堂のスカージ/Vault Skirge(NPH)》
4《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage(ISD)》
2《聖トラフトの霊/Geist of Saint Traft(ISD)》

スペル:25
4《思案/Ponder(M12)》
4《蒸気の絡みつき/Vapor Snag(NPH)》
3《はらわた撃ち/Gut Shot(NPH)》
4《マナ漏出/Mana Leak(M12)》
3《心理の障壁/Psychic Barrier(NPH)》
2《雲散霧消/Dissipate(M12)》
3《深夜の出没/Midnight Haunting(ISD)》
2《銀の象眼の短刀/Silver-Inlaid Dagger(ISD)》

さらに個人的な好みを言えばムーアランド1枚とトラフト2枚を削って《否認/Negate(M12)》も3枚入れたいのですが、そこはお好みで。なんだかんだ言ってもPWや《金屑の嵐》、《緑の太陽の頂点》がきつかったりしますからね。


サイドボードですが、このデッキが一番苦手なのは赤単です。ほぼ無理です。それでも勝つ可能性があるとすればライフが残っているうちに継続的なゲイン手段を…というところなので、《ドラゴンの爪/Dragon’s Claw(M12)》はぜひ欲しいところです。
《機を見た援軍/Timely Reinforcements(M12)》が採られていることの方が多いのですが、自分も殴って生物並べるデッキなので結構な割合で腐ります。援軍が腐るってことは勝ってんじゃねーかと言いたくなりますが、赤単には本体火力がありますからね。生物を最小限に展開しつつ火力を溜めこまれると効果的にプレイできないのであまりこのデッキが赤単対策として入れるのには向いていません。

あとは一般的なサイドカードでいいと思います。
サイドボードの一例
4《ドラゴンの爪/Dragon’s Claw(M12)》
2《幻影の像/Phantasmal Image(M12)》
2《神への捧げ物/Divine Offering(MBS)》
2《忘却の輪/Oblivion Ring(M12)》
1《戦争と平和の剣/Sword of War and Peace(NPH)》
1《エルズペス・ティレル/Elspeth Tirel(SOM)》
3《精神的つまづき/Mental Misstep(NPH)》


と、ここまで自分とその周囲で行われた調整の結果を書いていきましたが、僕自身はしばらくこのデッキを使っていません。なぜか?
イヤナガ型のケッシグに弱すぎるからです。

このデッキは相手が旧世代の緑単ケッシグなら相性8:2レベルで有利なのですが、そこに感電破とショックが入るだけで途端に不利になります。虫がある程度生き延びることを前提とした相性なので、1マナ火力はきつい。同様の理由で赤単はさらにきついですね。今はプロテクション赤を持つ生物がなぜか黒と赤にしか存在しない(《ファイレクシアの十字軍》、《ヴァルショクの難民》)という意味不明な環境なので、青白系クロックパーミは赤系除去デックに弱いのです。

ただ、今のようにエスパー系コントロールが流行ってケッシグが再び負け組になりつつある、もしくはコントロールメタの形に戻りつつある環境ならば神束は強いかもしれません。でも普通にイヤナガ型を使い続けてる人とか、あとコントロール&ケッシグメタで赤単を使ってる人に当たったら普通に死ぬのできついです。
現状では勝っているようですが、結局ケッシグが感電破を再び積み始めたらまた負けてしまうことが目に見えているのがなんとも言えないですね。


今のスタンは色んなデッキが勝てるから好き!という意見もよく聞きますが、換言すればどのデッキに当たっても文句は言えないわけで、かなりジャンケンっぽくなってて少し微妙だな、とも思います。
個人的にはそれなりに抜けた一強が存在して、それを巡るメタゲームが展開していくこれまでのスタンダードの方が好きですね(カウブレはちょっとやりすぎでしたが…)。もちろん混沌とした環境で純粋にプレイングが上手い人が多少の相性差を跳ねのけて勝つのも凄いことだと思いますが、「デッキ選択の時点で勝ってる」という状況が生まれにくいのもちょっとつまらないな、と思ってしまいます。いいデッキを見つけたり構築したりするのもマジックの強さの一部ですからね。
そんなわけで早くダークアセンションが出ないかなーと思っていますw
【スタンダード考察】青白イリュージョンは本当に強いのか?
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・デッキ紹介
最近MOのDEやPEで必ずと言っていいほど複数上位入賞している青白イリュージョン。GP広島の時にはまだ存在していなかったアーキタイプで、ここ1~2週間で突如爆発的な流行を見せています。
国内では少しずつですが使われ始めているようで、おそらく今週末から本格的に使用人数が増え始めるのではないでしょうか。

代表的なリストはこんな感じ。
strong sad (4-0)
Standard Daily #3014308 on 11/16/2011

土地20
3《氷河の城砦/Glacial Fortress(M12)》
10《島/Island(M12)》
3《ムーアランドの憑依地/Moorland Haunt(ISD)》
4《金属海の沿岸/Seachrome Coast(SOM)》

クリーチャー21
4《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets(ISD)》
4《非実在の王/Lord of the Unreal(M12)》
4《幻影の像/Phantasmal Image(M12)》
4《幻影の熊/Phantasmal Bear(M12)》
4《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage(ISD)》
1《縫い合わせのドレイク/Stitched Drake(ISD)》

スペル19
2《四肢切断/Dismember(NPH)》
3《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe(NPH)》
3《はらわた撃ち/Gut Shot(NPH)》
4《マナ漏出/Mana Leak(STH)》
4《思案/Ponder(M12)》
3《蒸気の絡みつき/Vapor Snag(NPH)》

サイドボード
2《雲散霧消/Dissipate(MIR)》
2《瞬間凍結/Flashfreeze(M12)》
3《精神的つまづき/Mental Misstep(NPH)》
1《迫撃鞘/Mortarpod(MBS)》
1《否認/Negate(M12)》
3《忘却の輪/Oblivion Ring(ALA)》
3《縫い合わせのドレイク/Stitched Drake(ISD)》

基本的に勝っているのはほぼ同じリストで、メイン1、サイド3枚挿しの《縫い合わせのドレイク》までほぼ全員同じです。
サイドの中身が人によって少しずつ違いますが、メインはほとんど共通しています。

動きは見た目通りで、最序盤に1~2マナの生物で2点以上のクロックを素早く用意し、その後は軽量スペルとマナリークで相手を妨害するという動きになります。一応《四肢切断/Dismember》が申し訳程度に投入されていますが、実際はバウンスに頼る機会が多いです。ファイレクシア・マナを多用しており、別名スーサイドブルーとも呼ばれているとかいないとか。
ロード→幻影の像、の順にプレイできれば実質ロード8枚体制かのように振る舞えるため、いわゆる「ぶん回り」があるのもメリットでしょう。部族デッキならではですね。

白マナはメインサイド合わせても《ムーアランドの憑依地》と《忘却の輪》にしか使い道はありません。人によってはサイドに《機を見た援軍》を入れていることもあるようですが、生物が多い上に自分から殴るタイプのデッキなのでやや微妙ですね。リングも全員が全員取っているわけではなく、白マナは本当にムーアランドしか使わない、という構成も多いです。

・環境での立ち位置
このデッキはいわゆるクロック・パーミッションです。…と言いたいところですが、カウンターがマナリークしか無いのでクロックパーミッションと表現するのは無理がありますね。強いて分類するとすれば部族ビートダウンです。
脅威に関しては「出る前に終わらせる」という側面が強く、仮に着地してしまった場合はバウンスやdismemberで対処するようになっています。4マナ程度までの生物ならばバウンスで凌げば問題なく、タイタンやスフィンクスなどは死ぬ気でリークするなりダメージレースで押しこめということなのでしょう。スペルはリークでしか対処できませんが、全体除去はムーアランドでケアできるのであえて専用に対策は取っていないものと思われます。

その性質上、遅いデッキに対してはかなりの相性差を誇ります。特に青黒系のコントロール(太陽拳含む)や赤緑のケッシグ系ビッグマナには少なくともメインを落とすことはほぼ無いでしょう。サイド後も特に相性が激変することもないので、マッチ全体を有利に進められます。

逆に純粋なビートダウンとは速度面、アドバンテージ面などで細かく争うことになります。マナクリーチャーで先手後手が入れ替えられると困るので《はらわた撃ち》が採用されています。後手でも相手の初動を落としつつ自分は1マナ生物をプレイできる、という卑怯くさいスペルですね。
逆にアドバンテージ勝負になってしまうとほぼ勝ち目はありません。PWに対処できるカードもほぼ存在しませんし、回避能力を持つ生物がほとんどいないので盤面を固められてしまうとほぼ負けと言っていいでしょう。

また、特に不利なのが赤単です。ほぼ全てのスペルが確定除去として働いてしまい、《非実在の王》も2体並んだところで互いを強化してくれないので実質的に呪禁もあまり意味がありません。どうせ最初に狙うのはロードですからね。
さらに激しくペイライフをするため簡単に火力圏内に入ってしまい、ほぼ構造的に無理なレベルです。
最近はこの点を克服するためにメインから1、サイドに追加の《縫い合わせのドレイク》が投入されるようになったようです。3/4飛行はブロッカーとしてもアタッカーとしても強力なサイズで、火力1枚で落とされることもありません。まあそれでもガン不利なことには変わりません。前述したように構造上の理由から《機を見た援軍》を効果的に使えない場面が多く採用しづらいのが厳しいですね。

・「神束」との比較
国内でもGP広島前後に似たようなデッキが存在しました。いわゆる「神束」と呼ばれるタイプで、《秘密を掘り下げる者》にスポットを当てたクロックパーミッションです。
その後も使い続けている人は少数ながら存在しているようですが(なぜか自分の周囲はこのデッキを使っている人が異常に多いのですが)、一般的にはあまり知名度は高くないようです。
自分が使っているリストは大会レポへのリンクを張っているので、興味のある方はご覧ください(http://police.diarynote.jp/201111121118068325/)。

簡単に言うとこのデッキは「1マナの回避持ちとインスタント生物のみに限り、残りをほぼ全てカウンターで埋め尽くす」という形で、これはイリュージョンとは異なりまさに「クロックパーミッション」と呼ぶのがふさわしいですね。カウンター以外のスペルはバウンス、ガットショット、思案とイリュージョンと同じラインナップになっています。
それではこの2つの類似したデッキタイプを比較してみましょう。

1.虫男の変身する確率
こちらの《秘密を掘り下げる者》の変身確率は相当高く、ほぼ1/2の確率で変身することができます。1/3にも満たないイリュージョンとはかなり違いますね。この生物は変身する・しないの差が非常に大きいので、たとえ運が良ければ枚数が少なくても変身することはあるとは言え、やはり安定して変身できるデッキの方が魅力的に感じます。

2.ブン回りのパターン
神束は1T目に虫男→即変身からあとは延々とカウンターを構える、という動きが最大のドブンです。イリュージョンは熊、ロード、幻影と並べるとクロックがものすごいことになるので、リークかバウンスを一度挟むことができれば勝てることも少なくないですね。
どちらも遅いデッキには人権を与えないほどの動きをしますが、より安定感のあるのはイリュージョンですね。1体の生物への依存度がそこまで高くない上、ムーアランドがあるのでクロックの継続供給は比較的容易です。

3.安定性
この2つを比較するにあたり自分が最も大事だと思うのがここです。

まずはマナベース。
イリュージョンには《ムーアランドの憑依地》のためだけに白がタッチされています。それ自体には問題はありません。白マナが出る土地からは全て青マナが出ますからね。
しかしここで問題となるのはムーアランドそれ自体です。当然ここからは青マナは出ませんし、さらにこの土地は《氷河の城砦》のアンタップ条件に当然寄与しないため、「初手がミラン土地+ムーアランド、3枚目の引きこんだ土地が城砦」といった割とよくあるパターンでかなり苦しい動きを強いられることになります。
さらに悪いことにこのデッキの核となる《非実在の王》が青ダブルシンボルであるため、2ターン目までに憑依地をプレイせざるを得ない場合、本来目指す動きが実現できないことが多いのです(ロード以外にも、1ターン目に《秘密を掘り下げる者》→2ターン目に熊+思案をプレイしたい時など、2ターン合わせて青マナ3つをフルに使いたいことの方が多いデッキであることがこの弱点をさらに強調します)。
単体のカードパワーは低いので、マナをフルに使いきって動けなければ負けに直結することでしょう。あくまで中長期戦を見据えたムーアランドのせいで本来圧倒的有利であるはずの序盤の展開に支障が出るのは歓迎しがたいですね。
本来能力持ちの土地は「タップインするor色マナが出ない代わりに序盤は普通に展開に寄与して、後半はマナフラッドを回避する」という役割があるのですが、このデッキのムーアランドはその前半部分の仕事をほとんど満たさない、つまりキープ基準の土地枚数にカウントできないという大きなデメリットがあるのです。

続いて生物。
まず、見た目は多くの生物が入っているのですがキープ基準になるのは実際のところ虫男と熊しかいません。もちろん熊、王と揃って引いていれば心強いでしょう。しかし王を単体で引いてもただの2マナ2/2(それこそ「クマ」です)な上、前述の通りダブルシンボルなのでそもそもスムーズにプレイできるかどうかも定かではありません。王が2体並んでも何も起こらないのも辛いですね。一般的に部族ロードは互いに強化し合うので2マナならば十分にキープ基準になり得るのですが(《アトランティスの王》や《皺だらけの主》など)、イリュージョンは特殊なのです。せっかくキープ基準になった虫男もこの枚数ではずっと1/1のまま…という展開も珍しくないので、生物は多いですがキープ基準になるカードは実は神束より少ないのです。

さらに、《幻影の像》ががっつり4積みされていますがこれも悩ましい。幻影像は途中で引いてきたら嬉しいことが多いですが、初手に持っていてもゲームプランに組み込むことは困難です。せっかくのシングルシンボル2マナですがキープ基準にはなりません。相手がコントロールでしばらく生物出してこなくて、1T目に熊→結局しばらく経って像で熊コピー、って寂しくないですか?
あとは単純に回避能力が少ないという欠点もありますね。熊とロードが並んだところで相手にミラクルや接合者がいたらどうしようもないわけですし、フライヤーさえいれば除去しなくてもいいようなところに除去を撃たされることも珍しくありません。ムーアランドのトークンは確かに飛んでいますが、なら最初からカウンターを増やして《深夜の出没》を構えていた方が強いはずです。

というわけで最後にカウンター。
イリュージョンにはメインのカウンターはリーク4しかありません。これは白青人間ビートのような盤面で圧倒的な支配力や必殺のコンボ(トラフトorミラクル+天使の運命など)を持っているデッキならば「ここぞと言うところのタイムウォーク」として使えるわけですが、このデッキは通してはいけないカードが多すぎます。
少なくとも僕はこのリストではケッシグ系・コントロール・緑白の多い国内ではプレイしたくありません。ギタクシア、ドレイク、幻影像を削って最低でも《否認/Negate》は投入したいですね。

簡単に言えば、このデッキは「カウンター構えなくても叩きつけるだけで相手を圧倒できる」というタイプのデッキではないにもかかわらずあえてカウンターが切り詰められているように見えるのです。それが僕がこのデッキをどうにも気に入らない最大の理由ですね。もちろん瞬唱がいれば実質カウンター8枚体制と言えないこともないですが、それは先にマナリークを引いた時の話です。リークが引けていなければフラッシュバックも何もありません。
別の言い方をすれば、「クロックパーミの体裁で組まれているのも関わらず代替の効かないカードが妙に多い」とも表現できますね。唯一のロード、唯一のカウンター。噛み合わなければ即死亡とも言えるかな?
クロックパーミは単体のカードが弱い代わりに役割の似たカードを複数積むことで動きを安定させれるのが強みなので、そこが欠けてしまうと単なる「右手」デッキになりがちですよね。このスペル枚数で虫男を採用してる時点でもはや右手デッキ以外の何物でもない気はしますがw


そんなわけで気付けば比較というより青白イリュージョンへの文句ばかりになってしまいましたが、実際このデッキをあえて選択する意味ってあるのかな?とは思います。ハエ出してカウンター構えたいなら神束でいいし、生物ビートしたいならPWの強い緑白の方が強い。
MOでこれだけ流行っていて勝っているのでおそらく世界選手権でもURテンポとともに活躍するのでしょうが、個人的にはあんまり好きなデッキじゃないなぁという感想でした。スタンでもレガシーでもマーフォークを使い続けてきたクロックパーミッション好きとしては色々言いたいことがあるんです。
久々のデッキ紹介記事…という名の週末記録です。
発売日前日~翌日くらいまでの間、自分の中で考えていたメタゲームとそれに対抗するためのデッキ、FNMで実際に使ったデッキと大会レポ、ついでに今回の初日シングル買い記録などをまとめて一気に。

●環境定義
まず新環境のスタート地点を理解するため、「相手に妨害をされなかった場合に最も安定して速いデッキ」を探さなければいけません。すなわち、環境定義となる速度を知る必要があります。
最近ではこのポジションは赤単だったりしたのですが、今回の環境定義は明らかに緑白ビートダウンでした。
《刃砦の英雄/Hero of Bladehold(MBS)》をマナ加速から1ターン早く展開するお決まりの動きはもちろん、緑英雄こと《ケッシグの檻破り/Kessig Cagebreakers(ISD)》や、ラストターンに起動することで1ターン勝ちを早める《ガヴォニーの居住区/Gavony Township(ISD)》など、明らかに強いカードがてんこ盛りです。この動きをサポートする最良のマナクリーチャー、《アヴァシンの巡礼者/Avacyn’s Pilgrim(ISD)》も見逃せません。この生物が存在するだけで、緑白の事故率が激減することは明らかです。白ダブルシンボルに強いカードが多いですからね。
この速度に勝てるデッキ、もしくはこの動きを崩せるデッキを探そうというのが僕がこの環境で一番最初に考えたことでした。


●《審判の日/Day of Judgment》
緑白のビートダウンに勝つならばラスゴを撃てばいい。当たり前のことです。従って、僕はまずDoJを安定してプレイできるデッキを探そうとしました。
環境初期にラスゴを撃つといえば青白コンです。ドロー操作により安定した回りが期待できる上、ラスでは対処できないスペルやローグデッキ相手へも対処が可能なこの2色の組み合わせが一番です。

しかし、僕は(少なくとも、緑白に勝つためのデッキとしては)今の環境で組める青白コンでは力不足だと考えました。その理由は2点あります。1点目はドロー操作が弱すぎること。《定業/Preordain(M11)》の穴は大きい。《思案/Ponder》はさすがに論外です。《熟慮/Think Twice(ISD)》は決して弱いカードではないですが、悠長すぎます。《禁忌の錬金術/Forbidden Alchemy(ISD)》はさすがに強そうではありますが、重さが気になります。
2点目は除去が弱いこと。DoJ以外のまともな白除去と言えば《忘却の輪/Oblivion Ring》くらいしかありません。やはり2マナ域以下の除去がないのはきつい。なので、DoJの返しに英雄や《霊誉の僧兵/Geist-Honored Monk(ISD)》などをプレイされるだけで相当詰んでしまいます。そして、緑白は2~3マナ域の生物だけでも《ガヴォニーの居住区》と合わせるだけで十分にラスを撃たせる力があるので、明らかに受け切るためのカードが青白では足りていないように思えたのです。

これらの理由から僕は早々に青白ではなく、コントロール対決で不利になるリスクを負ってでも除去コントロールに寄せた色でデッキを組むことを決めました。

●《霊炎/Geistflame(ISD)》
ではどの色を使うか。そこで目に止まったのが《霊炎/Geistflame(ISD)》、《鞭打ち炎/Whipflare(NPH)》、そして《小悪魔の遊び/Devil’s Play(ISD)》でした。
《霊炎》はマナクリを同マナ域で落とせ、かつ他のデッキでもよく使われるであろう《墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus(MBS)》、《幻影の像/Phantasmal Image(M12)》、《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage(ISD)》などにも対処できます。
《鞭打ち炎》に関してはその制約条件も多少は気にかかりましたが、銀生物がそこまで並ぶ環境ではないと判断。それよりも先手マナクリからのミラクルを落とせる点を優先しました。比較対象としては《金屑の嵐/Slagstorm(MBS)》がありますが、2点と3点ダメージに差が出るのは《刃の接合者/Blade Splicer(NPH)》を相手にした時ぐらいだと思ったので、これは自分でも接合者を使うという方法で補うことにしました。
そして《小悪魔の遊び》は僕がとても大好きなカードです。自由な範囲で単体除去としてプレイでき、なおかつ後半引いたら本体に撃って勝てる…というX点火力の強さを1枚で同時に味わえる素晴らしいカードだと思います。この手のおまけつきX点火力にありがちなマナコストの重さも一発目には無く、追加の除去として気楽に撃てるのが魅力的ですね。

また、赤白のボードコントロールを選択したことによってナチュラルに《出産の殻/Birthing Pod(NPH)》デッキへの耐性が付いたのもうれしいところです。初動のマナクリーチャーを焼けばかなり減速できますし、種となるクリーチャーを残さなければ殻も怖くありません。
そんな感じで、完全に脳内理論および脳内構築によって完成したデッキが以下です。
クリーチャー9
3《刃の接合者/Blade Splicer(NPH)》
4《真面目な身代わり/Solemn Simulacrum(MRD)》
2《ワームとぐろエンジン/Wurmcoil Engine(SOM)》

スペル25
3《太陽の宝球/Sphere of the Suns(MBS)》
3《霊炎/Geistflame(ISD)》
2《火葬/Incinerate(5ED)》
3《鞭打ち炎/Whipflare(NPH)》
3《忘却の輪/Oblivion Ring(M12)》
3《審判の日/Day of Judgment(M12)》
3《小悪魔の遊び/Devil’s Play(ISD)》
2《槌のコス/Koth of the Hammer(SOM)》
3《ギデオン・ジュラ/Gideon Jura(ROE)》

土地26
4《断崖の避難所/Clifftop Retreat(ISD)》
2《孤立した礼拝堂/Isolated Chapel(ISD)》
2《ステンシアの血の間/Stensia Bloodhall(ISD)》
3《黒割れの崖/Blackcleave Cliffs(SOM)》
7《山/Mountain》
7《平地/Plains》
1《沼/Swamp》

サイド
4《倦怠の宝珠/Torpor Orb(NPH)》
4《機を見た援軍/Timely Reinforcements(M12)》
3《記憶殺し/Memoricide(SOM)》
3《存在の破棄/Revoke Existence(SOM)》
1《電弧の痕跡/Arc Trail(SOM)》


きったねぇデッキリストデース!

なんか入れたいもの詰め込んでみたら酷いことになりました。さすがに4挿しが身代わりしかないのはどうなんだろう。霊炎とDoJはコンセプトの関係上4枚入ってないとおかしいんだけど…。
あとはこっそり入ってる《ステンシアの血の間》は何だよって感じですが、この時はまだ強いと思ってたんです。一応サイドの記憶殺しのためにタッチ黒をしたという言い訳のもと入っていますが、今改めて組むならば抜きますw
まあ実際にこのリストを使ってFNMに出たということで。

Round1:青黒テゼレットコントロール
だからボードコントロールはカウンターコントロールに勝てないっつってんだろ!(迫真)
1-1:こっちの土地が止まり気味でようやくたどり着いた4マナの身代わりはリークされ、相手からは身代わりでさらにマナ差が。さらにテゼレットで宝球が殴ってきてせっかく通ったコスも死亡。それでも除去の多さを生かしてワームコイルを生き残らせることに成功したり、相手がテゼと合わせて毒殺を狙ってきた墨蛾3枚もすべて霊炎で撃ち落としてみたものの、最終的にはバタースカルを対処できなくなり負け。

1-2:宝球スタートから3T目記憶殺しで相手のテゼを抜くが、相手も3T目記憶殺しでギデオンを抜きにくる。それでも2枚目の記憶殺しでバタースカルを抜き、相手のスフィンクスをリングで対処してコントロール完了し、あとは殴るだけ…となったところで時間切れ。1本目で投了するのが遅すぎた。
なんか100%無理かと思ったけどそうでもないかな。
×△

Round2:黒緑
2-1:相手の動きが完全にクリーチャービート+《情け知らずのガラク/Garruk Relentless(ISD)》だったので、パイロや霊炎で一層しつつギデオンでガラクをしばき、その後コスも降臨して勝ち。

2-2:グリッサとか危険なマイアが出てきたけど特に関係なく除去コンしまくって圧勝。危険なマイアが入ってるってことはたぶん《出産の殻》じゃなくて《心なき召喚/Heartless Summoning(ISD)》デッキなんじゃないかな?
○○

Round3:青白トークンビート(ピン象)
3-1:相手の盤面に《無形の美徳/Intangible Virtue(ISD)》が出るも、ひたすら除去で凌ぎつつこっちの身代わりだけ生き残り、相手のハンドも1枚になったのでビート開始…しようと思ったら相手エンド前に白頂点X=いっぱいで3/3警戒の猫の群れが出現。流石に無しやろ。

3-2:ワームコイルと幻影像でコピーが相打ち。メモを見た限りでは頑張って相手のライフ3まで削ってこっちはまだ12あったみたいだけどなぜか負けたらしい。どうやって負けたか忘れた。ミラクルに赤白剣が付いたんだったかな?
××

1-2w
まあ流石に当たったデッキが悪すぎた感は否めないwちなみに終わったあとにピン象に緑白ビートダウン回してもらったら何度やっても負け無しだったので、さしあたって緑白には勝てるんだと思う。
もうちょっとブラッシュアップして余計なところを削ったら(ステンシアとかw)まあまあ強くなるんじゃないかな?ちなみにステンシアのおかげで勝ったゲームはありませんでしたwだいたい《小悪魔の遊び/Devil’s Play(ISD)》フラッシュバックしてトドメ差すことが多いです。やっぱりこの火力強いですね。


でもさすがにデッキ適当すぎたので後半は別デッキで参加しましたw
せっかく《霊誉の僧兵》を70円でゲットしてきたので使ってみたかっただけとも言う。というわけで色は同じ赤白だけど今度はクソビート仕様で。
4《刃の接合者/Blade Splicer(NPH)》
4《深夜の出没/Midnight Haunting(ISD)》
4《刃砦の英雄/Hero of Bladehold(MBS)》
4《霊誉の僧兵/Geist-Honored Monk(ISD)》

4《火葬/Incinerate(5ED)》
3《饗宴と飢餓の剣/Sword of Feast and Famine(MBS)》
3《忘却の輪/Oblivion Ring(ALA)》
3《小悪魔の遊び/Devil’s Play(ISD)》
4《槌のコス/Koth of the Hammer(SOM)》
2《ギデオン・ジュラ/Gideon Jura(ROE)》

4《断崖の避難所/Clifftop Retreat(ISD)》
4《墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus(MBS)》
9《平地/Plains(4ED)》
8《山/Mountain(10E)》

サイド
4《倦怠の宝珠/Torpor Orb(NPH)》
3《存在の破棄/Revoke Existence(SOM)》
4《電弧の痕跡/Arc Trail(SOM)》
3《機を見た援軍/Timely Reinforcements(M12)》
1《戦争と平和の剣/Sword of War and Peace(NPH)》

微妙に違うかもしれないけど確かこんな感じ。5分で組んだから超適当w

Round1:青白赤コントロール(もやし君)
1-1:後手ワンマリ。相手のエンド前《深夜の出没》に合わせてこちらも出没プレイ。《聖トラフトの霊》で多少食らったけどキャッチして除去。あとは白英雄と本体X点で勝ち。

1-2:また出没鏡撃ちから。今度はブロックせずに殴り、さらに僧兵も出して超ビッグサイズに。僧兵が強すぎてそのまま勝ち。
○○

Round2:青白コン(木吉兄貴)
2-1:黒緑剣を互いに通しあうゲーム。相手のワームコイル連打でライフを狙うのが無理になったので毒殺しを狙って残り3毒まで削るものの、相手のギデオン3連打によって本体に通らず負け。

2-2:3ターン目エンド前に出没、4ターン目にコスと一緒にパンチ、5ターン目に黒緑剣付けてパンチのドブンでさすがに勝ち。

2-3:カウンターで捌かれて早々に黒緑剣マウント取られて負け。
×○×

Round3:緑白黒ビッグマナ
3-1:後手。相手2T目ランパン3T目身代わりでこっち3ターン目までノーアクションでさすがに負けただろと思ったけど、ギデオンを除去したカーンをX点火力で焼いて、再びギデオン登場。相手のビースト火葬しながら大ガラクを殴って落とし、こちらの僧兵にラスを使わせたところで僧兵おかわり。そのまま僧兵と本体X点フラッシュバックで勝ち。

3-2:相手ダブマリ。黒緑剣+墨蛾でハンデスしつつ、僧兵2体セットで超ビートして勝ち。僧兵強すぎだろww
○○

2-1。アホみたいなデッキの割にはまあまあ戦えたw

《霊誉の僧兵/Geist-Honored Monk(ISD)》はとてもお気に入りです。先日のTop10にもちゃんと入れましたし。ちなみに、こいつが出てると墨蛾を起動するだけでサイズが上がるので実質墨蛾をパンプ能力持ちの土地として使うこともできます。毒関係ないところでも墨蛾を働かせることができるのでこの組み合わせはまあまあ強いですね。
あとはそもそも接合者だったり白英雄だったり、白の強いところのカードはどれもトークンを出すものが多いのでナチュラルにサイズが凄いことになることが多いです。だいたい5/5~9/9らへんですね。もちろん横に1/1飛行が2体出るのも素晴らしい。剣の装備先にぴったりです。

そんな感じで、イニストラード初日は形の真逆なソリューション系(を目指した)ボードコントロールとトークンビートという赤白デッキを使ってみました。特に《霊誉の僧兵/Geist-Honored Monk(ISD)》と《小悪魔の遊び/Devil’s Play(ISD)》はオススメなのでぜひ試してみてくださいね!


最後に、初日にシングル購入したカードのまとめ。
《断崖の避難所/Clifftop Retreat(ISD)》570×4
《孤立した礼拝堂/Isolated Chapel(ISD)》570×4
《血統の切断/Sever the Bloodline(ISD)》30×4
《小悪魔の遊び/Devil’s Play(ISD)》30×3
《アヴァブルックの町長/Mayor of Avabruck(ISD)》150×4
《排水路の汚濁/Gutter Grime(ISD)》30×4
《ステンシアの血の間/Stensia Bloodhall(ISD)》70×4
《霊誉の僧兵/Geist-Honored Monk(ISD)》70×4
《ムーアランドの憑依地/Moorland Haunt(ISD)》250×2
合計6550
割とどうでもいいもの買いすぎwまあ、安くて面白そうなカードか確実に使う予定のあったカードしか買ってない感じですね。
とりあえずリリアナガラク瞬唱あたりにあまり興味が湧かなかったのでスルーしました。気が向いたら買う…かも?
なんかtwitterのタイムライン眺めてたらプロプレイヤーとその周りの人たちがレーティングがどうこう言ってたので公式を見に行ったらこんな記事が。

http://www.wizards.com/magic/magazine/article.aspx?x=mtg/daily/feature/159b

要は今年で今までのレーティングシステムは終了して、来年度から新しく「プレインズ・ウォーカーシステム」に変更されるようですね。
このシステムの特徴として、溜まり続けるだけで、二度と減少することはないという点が挙げられます。つまり、今まで「もうすぐ本戦招待枠が確定だからレーティング落とさないためにFNMとかGPTに出ない」というプレイヤーが割といたと思うのですが、そういう類の「イベントに出てゲームを楽しむ」という目的と相反する行動を取らずに済むようになるわけです。

さらに、全員リセットされて0からスタートする…わけではなく、今まで出場した全てのイベントに遡及して計上されているようですね。
ちなみに既にPWPのサイトもできています。URLはこちら。
http://www.wizards.com/magic/planeswalkerpoints

実際にご自分のナンバーを打ち込んで個人ページに移動したら分かっていただけると思いますが、これものすごくネトゲっぽい。特にレベルの経験値(?)バーの部分が。
ちなみに自分は生涯ポイント4560のレベル37ソーサラーでした。ちなみに今のところレベルキャップ(笑)は50ですが、現時点で既にカンストしているプレイヤーも存在するようですね。ネトゲで言うところの廃人乙というやつでしょうか。

あと細かいところでは大会の参加人数に応じて与えられるポイントが異なる(参加するだけで一定のポイントが与えられます)、プロツアー招待の形態が変わる(グランプリ上位に残っただけでは確実に参加できるとは限らなくなる)、FNMへの参加が強く推奨されている(イベントごとにマッチポイントを倍率掛けして生涯ポイントに加算するのですが、FNMは3倍率。ちなみに平日レガシーなどの一般草の根イベントは1倍)などがあります。
何言ってるのかよくわからないかもしれないので、その場合は上のURLから公式ページへ飛んでみてください。

しかしまあ、海外と違ってなかなか社会人がFNMに参加しづらい日本ではちょっと不公平感が出るかもしれませんね。
まあ、強いプレイヤーがレーティング気にせず大会に参加してくれて全体のレベルが上がるという点で僕はいいシステムだと思います。
初のモダン環境プロツアーでTOP8に残り、見事シングルエリミで全勝して優勝を飾ったのはSamuele Estrattiの《欠片の双子/Splinter Twin》デッキでした。

土地:23
1 《繁殖池》
4 《滝の断崖》
5 《島》
3 《霧深い雨林》
3 《山》
4 《沸騰する小湖》
3 《蒸気孔》

クリーチャー:11
2 《呪文滑り》
4 《詐欺師の総督》
3 《やっかい児》
2 《鏡割りのキキジキ》

スペル:26
2 《否定の契約》
4 《思案》
4 《定業》
1 《手練》
1 《稲妻》
2 《払拭》
4 《差し戻し》
3 《炎渦竜巻》
4 《欠片の双子》
1 《撹乱する群れ》

サイドボード
2 《呪文滑り》
1 《ヴェンディリオン三人衆》
2 《稲妻》
2 《古えの遺恨》
1 《剥奪》
2 《四肢切断》
3 《血染めの月》
2 《仕組まれた爆薬》

デッキが強いのもそうですが、ビデオカバレッジを見ている限りではかなりドローが噛み合っていたな、という感想も持ちました。

特に決勝でカウンターキャット相手に何度も《炎渦竜巻/Firespout》をブッ刺したり(最終戦では竜巻の次のターンに《血染めの月/Blood Moon》も!)、なかちかさんの親和戦で《倦怠の宝珠/Torpor Orb》が出てる状態で双子側もコンボは完成させてトークンのチャンプで凌いでいる状態から、なかちかさんが《頭蓋囲い/Cranial Plating》を引き当ててワンチャン乗り越えられるか!?というタイミングで《古えの遺恨/Ancient Grudge》をがっちりトップしたり。

しかしまあ、多少引きに助けられていたとはいえ単純にデッキは強いんだなぁということは見ててもよくわかりました。TOP8に唯一複数プレイヤーを送り込んでいるアーキタイプだけのことはありますね。
見ていて使ってみたくなるなぁという感じのデッキでした。あとは同じ青赤でも《紅蓮術士の昇天/Pyromancer Ascension》もかなり魅力的ですが、こちらはものすごくプレイングが難しそう。詳しくは公式カバレッジ(http://coverage.mtg-jp.com/ptphi11/)のデッキテクのページへ。

青赤系統のコンボ系統の大活躍が目に留まる大会でしたが、唯一のソリューション系デッキとしてプレイオフに勝ち上がり、準優勝を果たしたバントタッチ赤、通称「カウンターキャット」も非常に魅力的なデッキです。
土地:22
1 《森》
1 《平地》
2 《踏み鳴らされる地》
1 《寺院の庭》
1 《神聖なる泉》
1 《聖なる鋳造所》
1 《蒸気孔》
1 《地平線の梢》
1 《ドライアドの東屋》
4 《乾燥台地》
4 《霧深い雨林》
2 《湿地の干潟》
1 《沸騰する小湖》
1 《地盤の際》

クリーチャー:18
4 《貴族の教主》
4 《野生のナカティル》
4 《タルモゴイフ》
1 《ガドック・ティーグ》
1 《クァーサルの群れ魔道士》
4 《聖遺の騎士》

スペル:20
4 《流刑への道》
4 《稲妻》
3 《バントの魔除け》
3 《稲妻のらせん》
4 《緑の太陽の頂点》
2 《遍歴の騎士、エルズペス》

サイドボード
1 《渋面の溶岩使い》
1 《クァーサルの群れ魔道士》
3 《エイヴンの思考検閲者》
3 《瞬間凍結》
3 《統一された意思》
1 《法の定め》
2 《ギデオン・ジュラ》
1 《地盤の際》

実際クオーターファイナルではもう一人の双子デッキを破っているわけですし、コンボ耐性も十分に持ち合わせているいいデッキだと思います。サイドのフラッシュフリーズ&統一された意思がかっこいいですね。

残念ながら僕の大好きなマーフォークは1人しか使用者がいない(それどころか、《霊気の薬瓶/AEther Vial》すら使っていない)らしく、またジャンドもあんまり勝ててなかったようなので残念です。とりあえずデッキテクで紹介されていたジャンドはコピって一人回ししてみましたが、やっぱりこういうデッキだとコンボ環境を生き抜くのは辛いなぁ…と思ってしまいますね。
でもマーフォークはPostにもまあまあ勝ててコンボ耐性もあるはずなのになんでこんなに使用者が少なかったんでしょうか?ちょっと不思議です。

そんな感じで私情も交えつつ、PTの速報をお送りしました。

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