○相殺という名の不公平
どちらのデッキにも《師範の占い独楽》+《闇の腹心》のギミックが搭載されています。ですが、それだけではありません。
先程も述べた通り、この2つだけでは弱いのです。

デッキリスト内の赤字はさらにこのシナジーに組み合わさるもの、もっと正確に言えば《独楽》の有用性を上げるカードです。そもそも腹心は単体で強いのですから、単体ではいまいちパッとしない独楽を活かせる構成にさえできれば良いのです。

モリカツ氏のデッキから見ていきましょう。
まずは《宮廷の軽騎兵》。これは完全にフレッシュなライブラリートップを提供してくれる上、ナチュラルに攻防で活躍してくれる良いクリーチャーです。
そして《相殺》。一時話題に登った《独楽》+《相殺》+《岩床》の一連のシナジー、さすがに3色の関係で《岩床》は採用に至らなかったようですが、《闇の腹心》がその代わりを努めます。土地さえトップに置いてあげれば勝手に無償で手札を増やしてくれるあたり、《岩床》よりも優れていると言ってもいいでしょう。

氷雪・独楽相殺コンボは基本的にパーミッション系を想定していた人は多いと思いますが、少なくとも自分はクロック・パーミッション形式でこのシナジーを活用することは考えてもいませんでした。デッキ製作者にはただ頭が下がるばかりです。
また、《相殺》複数引きで無駄になる可能性を潰しつつ、《腹心》のお供の十手をサーチしつつ、場合によっては《対抗呪文》と化する《交錯の混乱》バレットの採用も光ります。

というわけで、地味なカードが多いように見えるこのデッキ、全体の噛みあい方がかなり美しくデザインされているようです。
クロックパーミッションに分類するにはややカウンターも多くて防御的であることから、どちらかというと純粋なパーミッション・コントロールに分類するべきかもしれません。
確かに《闇の腹心》と《宮廷の軽騎兵》、それに十手まで投入されてはいます。が、どれもコントロール要素の一部をたまたまクリーチャー関係のカードで担っているだけ、と見るのが妥当なところでしょう。
感覚としてはPTチャールストンの時の八十岡氏のデッキに近いものがあると思います。

サイドボードに気になる一枚挿しがいくつかありますが、これは引く自信があったのか、引かなくてもいいお守り程度だったのか。そこまでは自分にはわかりません。

○独楽と腹心と20の氷雪
次は鈴木氏の氷雪デッキ。氷雪デッキとは言っても、一般的に組まれる岩床系パーミッションよりは氷雪カードは少なく、20枚しかありません。
ただ、《闇の腹心》がメインのドローエンジンでそれの補助に独楽+岩床の氷雪シナジー、そして独楽がついでに腹心からの反逆を防ぐ、と考えればうまく作られたデッキであることがよくわかります。

S&F(ストラクチャー&フォース)でも少し述べたように、もはや《闇の腹心》はビートダウンのみのお供ではなく、多少のサポートを加えてでもコントロールが「2マナ圏のアリーナ」としてプレイしたいような存在にまで高められているのかもしれません。
それこそがTop8、ひいてはベスト4における《闇の腹心》使用率の高さの何よりの説明になる気がします。
ビートダウンにとっては殴れるドローエンジン。多少のライフは関係ない。
コントロールにとっては軽くて継続的なドローエンジン。ライフを守るためにサポートはするけど、それはデッキの他のエンジンとも噛み合って決して無駄にならない。
場合によっては十手を持たせて殴ればあっという間に立場を逆転する可能性もあります。十手があるというその事実、これも「殴れるドローソース」である腹心の価値を潜在的に高めている要素の一つにカウントされるべきでしょう。

青系の新鋭コントロールデッキの話はここまで。
青と黒は新たなアドバンテージエンジンを得た。では「殴り」の赤と緑はどう対抗する?続きはまた後ほど。

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