例によって新環境のデッキを構築・解説していく企画をやろうと思ったのですが、今回はあんまり新アーキタイプのネタがありません。
既存のデッキをちょこちょこ強化するタイプのカードはけっこう入ってるので、今回は「新デッキ」というよりは、前の環境からあったデッキのアップデートバージョンを掲載していく、という形になりそうです。

初回は前環境のトップメタであり、自分自身も愛用しているジャンド。WWKで得たものがほとんど無いと言われていますが、人によって色々と新しいカードを試してみているようです。

新環境における選択肢
現在のところ、ワールドウェイクから既存のジャンド(赤黒緑3色にまとめられた、いわゆる「純正ジャンド」)のメインボードに入りうるカードとしては、
・入って当然?新たなマナの使い道、赤緑ミシュラン《怒り狂う山峡/Raging Ravine》
・新機軸のフィニッシャー?神話レアデーモン《深淵の迫害者/Abyssal Persecutor》
・《不屈の自然》の代わりになるか、キャントリップ呪文《探検/Explore》
これらの3枚が考えられるでしょうか。

全部ひととおり試してみたのですが、現段階の結論としては「ミシュラン以外は必要なさそう」ということになりました。
それぞれのカードについて、利点と欠点、採用の有無を決めた理由を書いていこうと重います。

《怒り狂う山峡/Raging Ravine》
土地
怒り狂う山峡はタップ状態で戦場に出る。
T:あなたのマナ・プールに赤か緑を加える。
2赤緑:ターン終了時まで、怒り狂う山峡は「このクリーチャーが攻撃するたび、その上に+1/+1カウンターを1個置く。」を持つ赤と緑の3/3のエレメンタル・クリーチャーになる。それは土地でもある。
前環境までのジャンドといえば、フィニッシャーは4枚の群れドラ、3~4枚のギャンコマと相場が決まっていました。これらはもちろん十分強いカードなのですが、それでも消耗戦の後には数が足りなく感じることも少なくありませんでした。
しかしこれ以上にスペースに空きはなく、重いカードをこれ以上入れてしまうと事故率がさらに上昇してしまうことが容易に想像できたため、追加の重量カードは投入されることはありませんでした。

しかしこのカードは土地ですから、スペル枠を削ることなく追加のマナの使い道を投入することが可能になるのです。伝統的な、ミシュラ土地ならではのメリットですね。単純なことですが、この点こそが後述する《深淵の迫害者》との最大の違いです。サイズも4/4から始まって徐々に成長し、消耗戦後のフィニッシュとしては十分ですね。
今までのミシュランといえば無色or単色のマナしか出ず、3色デッキへの投入はかなり難しいことがほとんどでしたが、今回は2色のマナを供給することができます。2色以上出る土地がタップインで場に出るのは今に始まったことではないので、そこまで精神的なストレスもありません。
とは言え、単純に投入してしまうとタップイン土地の多さや赤緑土地の多さが目立ってしまうことになるので、この点については調整が必要になりました。

《深淵の迫害者/Abyssal Persecutor》 2黒黒
クリーチャー — デーモン
飛行、トランプル
あなたはゲームに勝利することはなく、あなたの対戦相手はゲームに敗北することはない。
6/6
誰もが注目している、ジェイスと並ぶWWKのトップレアの一角であると言われるコイツ。強い弱い云々の論争はもう一通りカタが付いていると思いますので、ここでは実際にジャンドで運用した際の欠点利点を見ていきます。

まず最大の利点は4マナと軽いことです。2T目のランパンから最速3T目に光臨させ、素早く2~3回殴って退場して頂く。もっさりしたジャンドの動きに悩まされるプレイヤーとしてはなんとも魅力的な話ではありませんか。
さらに、ブロッカーに回った時はそのデメリットがかなり緩和されます。相手が除去を打ってくれたらそれはそれで手間が省けますからね!
そして地味に大きなメリットが瀝青破からめくれて場に出せるフィニッシャーであるということ。続唱でボトムに送られていくドラゴンやギャンコマを残念な目で眺めていたジャンド使いには朗報かも。

・・・と、ここまで書いてかなり都合のいい展開ばっかり考えていることに気がつかれたかと思います。実際は殴り終わった後の除去待ちの状況で先に削りきられて負けてしまうことも少なくありません。特に、相手が《忍び寄るタール坑/Creeping Tar Pit》で殴って来た時なんか最悪ですね。赤いデッキは開き直って全部本体に火力打ってきますし、同系相手に手札に溜めた除去をブライトニングで叩き落されたりすると洒落になりません。
エスパーやグリクシス相手には完全に対処の焦点を迫害者に対する除去一本に絞られるので、殴り切ってお互いドローゴーの状態から確実に除去を通すには確定除去が4枚では絶対に足りません。そして、ジャンドには終止とパルスを合計6枚以上投入するスペースは存在しません。そんなわけで赤の濃いデッキにも、青系コントロール相手にもほぼサイドアウト確定なんですよね・・・

そもそも、ミシュランとは違って迫害者を投入するためには明確に非土地枠を割いてやらなければなりません。群れドラを抜くのはありえないのでギャンコマとの差し替えになるのですが、そうすると手数的には同じ、むしろ劣ることになるんですね。そもそも同系対決に備えた高カロリー補充のために採用され始めたのがギャンコマですから、ここを迫害者にしてしまうと本末転倒になります。

個人的には、やっぱりコントロール気味なデッキで中盤からの壁役をしつつ、隙あらば一気に片付ける「重いタルモ」的な仕事を任せるのが一番いいんじゃないかなーと思います。マスデス積んでるコントロールなら迫害者も処理しやすいですからね。
環境がもうちょっと変わるならともかく、現在のメタから考えるとジャンドに迫害者メインはやや難しいかな、と思います。カード自体は強いのでいずれ採用する可能性もありますけどね。

《探検/Explore》 1緑
ソーサリー
このターン、あなたは追加の土地を1枚プレイしてもよい。
カードを1枚引く。
最後はこれ。これに関しては多くの人が試すまでもなく却下している、というか考慮にすら入れていないと思います。
まあ自分もそうなんですが、MWSで新スタンやってて使ってくる外人がやけに多いので検証してみましたが、普通にいりません。
ミシュラン入れる関係で色マナの扱いがさらに繊細になったので、出す土地を自由に選べない上に手札から消費してしまうこれはランパンの完全劣化だからです。キャントリップしても土地を手札から出すので、アド取れるわけでもないですし。さらに、続唱でボトムに送ってしまった高マナ域をシャッフルで引っ張り上げる仕事もできません。ダメダメですね。

そんな感じで、現在調整中のデッキリストがこちら。
続唱ジャンド
土地25
4《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs》
4《竜髑髏の山頂/Dragonskull Summit》
2《根縛りの岩山/Rootbound Crag》
4《怒り狂う山峡/Raging Ravine》
4《山/Mountain》
4《沼/Swamp》
3《森/Forest》

クリーチャー15
4《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》
4《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》
4《若き群れのドラゴン/Broodmate Dragon》
3《包囲攻撃の司令官/Siege-Gang Commander》

スペル20
4《稲妻/Lightning Bolt》
4《荒廃稲妻/Blightning》
4《不屈の自然/Rampant Growth》
3《終止/Terminate》
2《大渦の脈動/Maelstrom Pulse》
3《瀝青破/Bituminous Blast》

サイド
2《大渦の脈動/Maelstrom Pulse》
2《精神腐敗/Mind Rot》
4《ゴブリンの廃墟飛ばし/Goblin Ruinblaster》
3《紅蓮地獄/Pyroclasm》
2《不気味な発見/Grim Discovery》
2《バジリスクの首輪/Basilisk Collar》

《怒り狂う山峡》自身はたとえ2色タップインだとしても十分強くて、4積みで特に問題はなく、それに伴いマナベースを多少いじくる形に。
タップインの土地数を増やしたくないので《野蛮な地》は全抜き。大丈夫なの!?と思われるかもしれませんが、意外と普通に回りました。同系に廃墟飛ばしされたり、《広がりゆく海》を張ってくる系のデッキ相手でもちゃんと回ったので多分問題ないんだと思います。
そもそもジャンドってトリナクス以外のカードはそんなに色拘束厳しくない上にランパンがめっちゃ強いので、そこまで神経質にならなくても大丈夫なんですね。

終盤のマナ活用方法にミシュランが増えたので、ギャンコマは1枚だけ減らしてあります。より中盤~終盤に強くなったので、序盤を耐えるため除去は多め。環境初期でデッキがばらけそうなので対応力の高いパルスもメインに少しだけ。

サイドですが、ファイナルズ頃までのメタだと人によって採用・不採用が分かれていた《ゴブリンの廃墟飛ばし》ですが、ミシュランが環境に現れたことでほぼ採用が確定しそうです。同系でも相手のフィニッシャー1つ潰せるわけですし・・・。
そして新不毛こと《地盤の際》が赤単や緑単から飛んできそうなので、サイドからは《不気味な発見》も。
そして、サイドにも地味に新カードが投入されています。今まで《肉袋の匪賊》以外では対処できなかった《ジュワー島のスフィンクス》に対処する新たな武器として《バジリスクの首輪》。これでわざわざサイドに肉袋とか夜鷲のような弱いカードを取らなくて良くなりますね。否定の壁も問題なくなりますし、地味に1/4上陸のカメも使われたらうざい。

とは言え、サイドまで含めた構築はメタゲームあってこそなので、このへんは個人の好みや地域のメタゲームに合わせて調整するのが一番ですね。

ジャンドを調整されている方は多いと思いますが、どうでしょう、参考になったでしょうか?俺は違う構成で調整してるぜーとか、迫害者はこう使えば強かったよー的な情報など、気付いたことがあればなんでもコメントしていただければ嬉しいです。

コメント

REQUIEM
2010年2月5日2:05

大変参考になります。今はアンチジャンド側へと移っていますが、ちょっと前まで白ジャンドを使っていましたので。アンチジャンド側としては、ジャンドがさほど強化されないと考えることができるのかなと思うと少しほっとしたりして・・・

AKKA
2010年2月5日2:32

大変参考になりました♪迫害者については僕も殆んど同意見ですね。

それよりも。WWKが関係のない質問で申し訳ないのですが、未だに群れドラって4枚必須なのでしょうか?個人的にはジャンド以外のデッキには比較的腐りやすい群れドラは、ジャンド減少傾向にある今のメタゲーム(これは僕のまわりだけかもしれませんがw)的には、余り有効なカード選択とは言えないと思うのですけど、、、

因みに年末辺りから自分が使っているジャンドは群れドラ0枚ですwメタゲームに合わせてカード選択をしていたら自然に抜けちゃいましたね。その御陰で、ジャンドには弱くなりましたが、その他のデッキに対しての勝率が格段に上がったと思います。

ポリス
2010年2月5日2:52

>REQUIEMさん
ジャンドが僅かなものしか得ていない半面、緑や青は色々と新戦力を得ているので相対的な強弱関係が気になるところですね。
ただ、致命的なカードを対処できるサイドカードも得ているので意外とバカにならない気もします。

>AKKAさん
個人的に群れドラが強くないと感じる相手はエスパー系のコントロールくらいですね。
ボロスや赤単にはもちろん間に合わないことも多々あるのですが、それは5~6マナ域のクリーチャーならどれも同じで、むしろ一度出せればワンチャンス勝てる可能性もある群れドラは4積みすることに今のところは違和感がありません。
弱いからと言ってヘタに減らすよりも、むしろ2枚連打して殴りながら守る、といった型に強引に持ち込むのが一番現実的な勝ち方だと(今のところは)思っています。地味にバジリスクの首輪との組み合わせで強引にまくり返せるのも好みです。
まあ、同系相手にプレイングで確実に勝てる!というほど自信がないので、出したら明らかに有利になる群れドラをガン積みしたいという個人的な理由もあるのですが。同系相手に負けるの悔しいですし。

具体的にどのようなデッキを想定して全抜きしていて、代わりに何を採用しておられるのか判らないのであまり正確な返事にはなっていないかもしれませんが・・・。もし問題なければ教えてもらえればありがたいです。

nophoto
みっくす
2010年2月5日7:14

僕は最近増えている青いデッキ(イオナリアニ含む)デッキにジャンドは不利だなー。ジュワ-が越えれないなー。程度の考えで群れドラを0にして魂の汚染者3、リリアナヴェス1にしています。
マルフェゴ-ルとどちらが良いかはまだ判断がつきませんけど、マルフェゴ-ルは白黒緑と白青ビ-トの様なデッキには効果的でした。

探検は色マナを探す事が一番大事だと思っているので話しになりませんでしたw

AKKA
2010年2月5日12:23

酔っ払っている頭でコメント付けるもんじゃないなー、、、


殆んど、みっくす君が言っていることと同じ理由ですね。そして、デッキ内容も同じっぽいなw(汚染者強いよね!)さらに付け加えるのならば、メタのデッキというよりは、メタのカードに対してのカード選択の結果ですね。青系コントロールのジュワーのスフィンクス、緑白黒、ナヤを初めとする白系のアクザンの天使が一番の癌で、これらと共通のマナ域なのに並べあったときに一方的に負けるんですよね(一応、スフィンクスの方はアタックは止めてますけど、、w)それって何か違うなー、しかも、振り返ってみるとその差で負けている試合が多々ある、ということで、現在ではそのスペースに魂の汚染者が入っていますね。6マナ5/5飛行という単体のスペックもさることながら、相手によっては一方的なアビス状態になれます。メタの産物だとは思いますが、意外に強いのでお試しあれ。

SP
2010年2月5日12:45

Exploreはデックのスピード&安定性増すどころかマリガン基準厳しくしてる感じすらしますねえ。
フィニッシャーがビッグマナ化してる今日のジャンドでそれは苦しいんじゃないかな、回してないけど。
群れドラ云々は今のスタンのメタあんまり詳しく分ってないので偉そうなことは言えないです。
アンチジャンドの青いデックが増えてるんならヒルジャンドが最強なんだけどそうすると、、、

>>ひみつ
某掲示板でも色々言われてましたね。
俺はまだ持ってないから分らないけど、今夜剥くかもしれませんが。

ポリス
2010年2月5日13:32

>みっくす君、AKKAさん
あー、《魂の汚染者/Defiler of Souls》ですかぁ。確かにスフィンクス&天使には強いですよね。一時サイドに置こうと思っていたんですが、そうか、メインからガン積みするほど強いのか・・・
新環境だと首輪で被覆連中は殺れると思っていましたが、よく考えたら負けてる時にはどうしようもないですね。相変わらず天使に触れないし。
週末に試す機会がけっこうありそうなので、青系のデッキ相手を中心に調整してみます。ありがとうございました。

>SP君
探検はあかんよねぇ。そもそも後続のM10土地アンタップさせるために基本地形(もっと正確に言えば山)をサーチしたいんだから、たとえ探検で追加の土地置けてもリスクばっかで何一つメリットがないっていうw

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