レガシー選手権の調整をする際に、半分意図的に、半分素で忘れてたカードがあります。

それは《幻影の像/Phantasmal Image(M12)》。

なぜかと言うと、マーフォークの調整は先日の記事でも触れた7枚枠が全てで、環境的にそこに入るのはカウンターか除去かドローしかありえない、という確信があったためです。そもそも石鍛冶に対して何もしないですからね。石鍛冶をコピーして万力鎖をサーチするという発想も無くはなかったのですが、メインに積めるようなカードではないので。
さらに言えば、これまた何度も言及している《罰する火/Punishing Fire(ZEN)》に対して無力であることも理由の一つでした。ロードをコピーして3/3になったと思いきやこいつを焼かれてしまうので無意味なんですね。
というわけで研究の始めの段階で選択肢にも入らないと判断したため、試すことさえしませんでした。

で、ようやくレガシー選手権が終わって環境の答え合わせが終わったところで、石鍛冶はそれなりに抑えられてきて、また罰する火を搭載したデックの絶対数も思っていたより少なかったのでまた魚を調整し始めてもいいかな?と思っていたところ。
そこに、某Hぎーおにいさんから「幻影の像が魚に入るかどうかの考察を見たいなー(チラッチラッ」と注文を受けたので、せっかくだから実践で試してみることに。

・・・とその前に、考えれば分かることはとりあえず先に考えておきましょう。
まずは一般的に起こりうる範囲でのメリット・デメリットを考察してみます。

・メリット
1.ロードに化けることができた場合、擬似12ロードを搭載しているかのように振舞える。特にメロウに化けれた場合、普段はあまり実現できないメロウ×2からの手札フルダンプも可能に。
2.相手の一番強いクリーチャーに化けることができる。また、致命的な伝説のクリーチャーは対消滅で除去することができる。
3.《ファイレクシアの変形者》と違って軽く、CMCも2なので薬瓶から容易に出すことができ、またシングルシンボルなので安定してプレイできる。

・デメリット
1.テキストに書かれている通り、若干死にやすい。巷では「どうせ単体除去打たれたら死ぬんだし大丈夫」と楽観的な意見も多いが、「ロードに化ける」というメインの運用方法がある以上、上がったサイズを無視して除去されるリスクを想定しないわけにはいかない(罰する火、火/氷、暗黒破、ラバマンサーなど)。
さらに、除去ではないのに除去されてしまうもの(Maze of Ith、同系メロウの能力、枷など)もたまに見かけます。一つ一つに出会う可能性は低いかもしれませんが、これらのうち一つでも採用されているデッキに当たってしまう可能性は決して低く見積もることはできません。
また、微妙ながら以外と大きなデメリットですが、ソープロと流刑がどちらもデメリット無しの除去になってしまうのは厳しい。

2.クローン系全般に共通するデメリット、すなわち単体で引くと弱い。また、1マナに呪い捕らえ、2マナにこいつだけしかいないハンドをキープするのは相当躊躇われる。まあ今までクリーチャー入れてなかったスペースにこいつが入るので、どうせそのハンドは今までもキープできてなかったわけですが・・・。せっかく2マナのクリーチャーを入れたのにキープ基準の向上に寄与していないのは残念。
ただ、「負けてる時にトップデッキしたら弱い」というのはそこまで気にしなくていいと思います。負けてる時=盤面で負けている時なので、相手の盤面で一番強いクリーチャーになればそれなりに均衡状態へ持ち込むことはできます。

3.装備をつけることができない。石鍛冶コピーをする可能性があるため十手を1枚投入したいところなのですが、これ単体だと十手を持ってきても装備することができません。それでなくともサイドから十手を投入するゲームはよくあるので、装備先として使えないのはちょっと残念ですね。

4.盤面に出たらマーフォークだけどハンド・スタック上ではマーフォークではない。すなわち、銀エラのコストに使えないしメロウの能力が誘発しない。


・・・ちゃんと読んでいただいたらなんとなく分かると思いますが、僕はこのカード、あんまり強いと思っていませんでした(笑)なんでみんなこんなに騒いでんの?都合良く考えすぎじゃない?と思ってたくらい。
まぁ、テストプレイする前に却下したレベルなんだから当たり前ですね。

ただ、常々思っていたのですが、マーフォークはクロック固め引かないとただの弱いクリーチャーデッキか弱いパーミッションなのに20枚は少ない。今まで自分が使ってきた中で最もクリーチャーが多かったのは君主ガン積み+綺羅と誘惑蒔きまで入れてた28枚体制だった頃ですが、正直あれくらい入っててもいいんじゃないかと思います。
なので、軽くて強いマーフォークとして扱えるスロットができればそれに越したことはない。そこへの期待と、あとはお試しなんだから引かなきゃ強さがわからないということで《幻影の像/Phantasmal Image》4枚フル投入したマーフォークを構築してみることにしました。

土地:21
4《不毛の大地/Wasteland》
4《変わり谷/Mutavault》
13《島/Island》

クリーチャー:24
4《呪い捕らえ/Cursecatcher》
4《銀エラの達人/Silvergill Adept》
4《アトランティスの王/Lord of Atlantis》
4《珊瑚兜の司令官/Coralhelm Commander》
4《メロウの騎兵/Merrow Reejerey》
4《幻影の像/Phantasmal Image》

スペル:15
4《霊気の薬瓶/AEther Vial》
3《精神的つまづき/Mental Misstep》
4《Force of Will》
2《四肢切断/Dismember》
1《梅澤の十手/Umezawa’s Jitte》
1《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》

サイドボード
3《水没/Submerge》
2《大いなる玻璃紡ぎ、綺羅/Kira, Great Glass-Spinner》
1《梅澤の十手/Umezawa’s Jitte》
1《四肢切断/Dismember》
1《精神的つまづき/Mental Misstep》
1《トーモッドの墓所/Tormod’s Crypt》
2《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》
2《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》
2《呪文貫き/Spell Pierce》

フリースロットはサーチ用+普通に使う用の十手、スティル積む枠が無いしクロック多いのでジェイス、クリーチャー対決用の切断。
ぶっちゃけ幻影の像入れた以外はあんまり考えてないので割と適当。とりあえず感触を確かめるために平日レガシーへ参加。

Round1:Zoo
1-1:先手ワンマリ。相手2ターン目のデイズケア?で出されたラヴァマンサーはMステし、メロウと谷でなんとかする予定だったがZoo相手にそんな貧弱なクロックで勝てるはずもなく。しかも薬瓶と島ばっか引いてミラクルすらカウンターできず、相手が賛美付きで殴ってたのでコピーしても無意味だったからハンドの幻影像は見せずに投了。

1-2:また微妙なハンド。メロウをコピーしたがメロウは稲妻され、横に出た綺羅、十手と揃って史上稀に見る最弱の組み合わせ(幻影、十手、綺羅。十手は幻影に付けると死ぬし綺羅はリスク負いつつ4マナ必要。幻影能力のせいで綺羅がいても無意味。)が揃ってさすがにこれは構築ミスだけど運も悪いな、と思いつつ相手が教主、ラヴァマン、ミラクルと揃ってて余裕なかったので赤マナない隙に十手を綺羅につけてワンチャン。
しかし森の知恵出されてたのでクァーサルに辿り付かれ、十手割られて負け。
まあ考えうる限り幻影像の弱いところを全部見たような試合だったけど、Zoo相手だから仕方ないと言えば仕方ない。この時点で「やっぱ幻影像弱すぎるだろwwww」という気持ちでいっぱい。

Round2:親和
2-1:先手。土地2枚しか引けず、ダブルシンボルと3マナいっぱい引いて負け。

2-2:幻影像がメロウになり、ハンド怒涛の展開。相手のブロッカーを切断して殴りきる。

2-3:相手が1ターン目に手札1枚残してフルダンプするがクリーチャーはメムナイトと邪魔者だけなので無視。3ターン目に出てきたエーテル達人はwillし、こっちは幻影像でアトランティスの数を稼ぎつつクロックを増やす。あとはハンドに残った像でWill打って相手のテゼレット弾いて勝ち。
×○○

Round3:《罰する火》入りDDローム
3-1:先手。相手がアーボーグから《吸血鬼の呪詛術士》だったので明らかにダークデプスとわかり、ハンドに対処手段がなかったのでwill。返しに銀エラからツモった不毛でアーボーグを割ると相手の色マナが事故り、その間に殴って勝ち。幻影像は確かメロウになってた気がする。

マリットレイジを除去できるので幻影像は入れたまま。
3-2:相手ダブマリ。《納墓》からローム落とされる。こっちは大量に幻影像引いたけど土地が無かったのでとりあえず2枚連続で銀エラに化けてドロー。ようやく土地引いたのでメロウを出し、次ターンにメロウに化けてからハンドのクリーチャー1体残してフル展開し、どうやっても殴りきれる場になり勝ち。
○○

2-1。
まあZooは引きの弱さと構成上の欠点が同時に出たので仕方ない。

幻影像を使ってみた感じでは「思ったより強い」。もちろん単体除去に加えてラヴァマンサーまで使ってるようなZooに対して弱いのは当たり前ですが、それでも以前よりクロック自体は増えてるので悪くはないはず。
2マナ以下の単体除去がほとんど取られていないorせいぜい1スロット程度しか取られていないデッキ相手だと単純に入れた方が強いように感じました。特に殴り合い上等なデック相手だと強さが光りますね。

結局、きちんと着地さえしてくれたら相手にとって除去しなければいけないことに変わりはないのできちんと追加のクリーチャースロットとして働く・・・ような気がします。まあ、かなり微妙なラインなのですが。即採用確定みたいなインパクトは無いですね。
こいつだけ固めて3枚も4枚も引くとヤバそうなので、どっちかというと2枚程度入れておくくらいがいいのかもしれません。最初に書いた通り、最近はクリーチャーたっぷり入ったデッキが使いたいので君主4枚に加えてこれ2枚とかかな。まあ、君主は君主でこいつと相性微妙に悪いですけどw
今回はちょっと急な思いつきでまったく構成が練れてなかったので我ながら弱いデッキだなぁと思いますが、もう少し真面目に考えつつ継続して試してみようと思います。

コメント

たま
2011年7月21日11:03

性能的に、もしかしたら2枚くらいは固定スロットに入るかもしれないねw

nophoto
教祖
2011年7月21日12:47

まてまて、デメリットの1に最も多いジェイスを忘れてるぞw
ターンエンドにロードに除去→メインにジェイスで幻影像除去→gg
の流れは結構ありそうだけどな。
平日レガシーのその当たり方じゃ、ジェイス相手に試せなかったのが痛いな。

nophoto
2011年7月21日13:40

ジェイスどころかアジャニの+能力でも死にますし装備すらできない。
出るのは場に出たときに限るしメロウのタップカウントにすらなれないので僕的にはメインは完全になしだと思いますね。
大祖師やエムラクール対策になるのは評価しますが。
メタによってはサイドボードに入れてもいいんじゃないですか、ってレベルですね。

ポリス
2011年7月21日15:45

>たまさん
まだ未知数すぎて難しいですねーw

>教祖様
ほんまや忘れてましたw同じデッキに入ってるのにw俺アホw
バウンスが一次凌ぎでなく完全除去になるのはきついっすね。
やっぱこいつ弱いなw

>神さん
まあ死ぬパターンを挙げていけばいくらでも出てきますが、あとはどれくらい遭遇するかどうかの問題ですね。
書いてる通り、僕自身も弱いと思いつつ試してみたところなので、基本的に必要ないんじゃないかというのは同意です。

へぎー
2011年7月21日18:58

面白うございました。

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