こんにちは。お久しぶりの考察記事です。

ここ一週間ほどで関東のメタゲームに「青タッチ白クロックパーミ」、通称青白虫人間が現れました。(参考:「ストライクと大会」 http://d.hatena.ne.jp/Strike/20120109
一見青白イリュージョンからの発展系に見えますが実際はイリュージョン以前の形に戻ったと言った方が正しく、この日記でも何度か取り上げた「青白神束」が再来したと言うほうが正確ですね。

当時は結局国内ではあまり流行ることはなく、虫人間タイプのクロックパーミッションはMO内でイリュージョンの大量発生、という現象を伴って世界選手権前に日本で流行するのを待つことになりました。

しかし何故か自分の周囲では原形である「神束」を研究したプレイヤーが自分を含めてやたらと多く、独自の発展を遂げていきました。そしてその結果辿り着いた構成にもそれなりに自信を持っているので、ここでその内容について紹介しようと思います。スタンダードプレイヤーの一助になれば幸いです。

●クリーチャーの選択について
4《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets(ISD)》
4《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage(ISD)》

この8枚は確定です。しかしこれだけではあまりにも虫頼みのデッキになってしまうため、あと最低1種類は軽量アタッカーが必要になります。
現状では《磁器の軍団兵》か《幻影の像》が選択されているようですが、前者は出るのが遅い割に除去耐性が低く(2点ライフと2マナを費やして同型のガットショットに落とされるのは致命的)、後者は装備品が付けれない上に突破性能が単体では皆無なので弱いです。

結論を言うと、ここの枠に入れるべき生物は《大霊堂のスカージ/Vault Skirge(NPH)》です。
イリュージョンが弱い理由の一つとして生物を都合のいい順番で固め引きしないと突破性能が皆無な点がありますが、1マナフライヤーとして扱える、鋼デッキでも使われているこのクリーチャーは地上ブロッカーをDelverと同様無視することができます。また、黒いアーティファクトなので《破滅の刃》と《喉首狙い》を無視できます。ライフリンクも地味に強いですが、装備と合わさるとさらに強力になります。
クロックパーミッションは構造上相手の全てのカードに対処できるわけではないので、生物自体が相手の除去かブロッカーを無視できることが重要です。この条件ならば《不可視の忍び寄り》も当てはまりますが、可能な限り1ターン目にクロックを置きたいこのデッキではあまり使いたくありませんね。

ちなみに2~3枚程度の固定枠として採られている《聖トラフトの霊》ですが、3枚はちょっと多いかな?と思います。2枚くらいでいいかな。あんまり生物増やしてしまうと虫が変身しづらくなりますし。ただ、これに関しては一回殴るのにバウンスを使う価値があるので、地上で簡単にストップするとしても入れること自体は悪くないと思います。
そんなわけで、僕のお勧め生物構成はこんな感じですね。
4《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets(ISD)》
4《大霊堂のスカージ/Vault Skirge(NPH)》
4《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage(ISD)》
0~2《聖トラフトの霊/Geist of Saint Traft(ISD)》


●スペルの選択について
まず真っ先に《ギタクシア派の調査》は抜けると思います。
何度もプレイしていたら実感すると思いますがこのスペルは弱いです。キープ基準が向上するわけでもないですし。もちろん実質2ライフのみで相手の手札を見れるのは強いのですが、それに枠を割くのが勿体ないと思います。

次に装備品。
現在は《戦争と平和の剣》、続いて《ルーン唱えの長槍》が採用されています。どちらも実際に試したことがありますが、前者はメインから複数積むにはさすがに重いです。プロテクションの色もメタゲームに合致していて能力もデッキに合っているのですが、いかんせん重い。土地21ではカウンターを構えながら3マナを設置するだけでも一苦労です(同様の理由でトラフトもあまり枚数を入れたくありません)。
後者は2マナと手軽に見えますが、このデッキは見た目ほど毎回墓地にスペルが溜まらない上に瞬唱がどんどん持っていくので、+1~+2程度で終わってしまうことも多々あります。

そこで装備品のお勧めは《銀の象眼の短刀/Silver-Inlaid Dagger(ISD)》です。
実は《秘密を掘り下げる者》は反転しても人間タイプを持っているので、裏に装備すると6/2という凄まじいサイズになります。瞬唱も人間なので5/1ですね。スカージは人間ではないのですが、3/1飛行ライフリンクはダメージレースを引っ繰り返すのに十分です。最悪スピリットトークンに付けても悪くないですし。
そして何より軽い。キャスト1マナ装備2マナはカウンターを構えたまま行える余裕のコストです。これは見つけたときに正直「おっ!」と思いましたw
短刀は回避能力も除去耐性も付きませんが、そもそも意識的にフライヤーを選択しているので回避は問題なく、除去耐性もどうせ装備スタックで除去されなかったら一緒なので関係ありません。赤単はもとから無理ですしね。

最後に残りのスペル。
ここは特に言うことはないですが、生物とギタ調を減らした分だけカウンターを増やせます。今はメタゲームが混沌としていて何とも言えませんが、重めのスペルやPWにはマナリークの効き目が長持ちすること、そもそもそういう遅いデッキには相性がいい上にフィニッシャーの生物にも刺さることから否認よりも《心理の障壁》を多く積むと良いと思います。

●デッキリスト
というわけでお勧めのスペル構成を含め、メインボード全体はこんな感じ。
土地21
3《ムーアランドの憑依地/Moorland Haunt(ISD)》
9《島/Island(M12)》
1《平地/Plains(M12)》
4《金属海の沿岸/Seachrome Coast(SOM)》
4《氷河の城砦/Glacial Fortress(M12)》

クリーチャー:14
4《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets(ISD)》
4《大霊堂のスカージ/Vault Skirge(NPH)》
4《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage(ISD)》
2《聖トラフトの霊/Geist of Saint Traft(ISD)》

スペル:25
4《思案/Ponder(M12)》
4《蒸気の絡みつき/Vapor Snag(NPH)》
3《はらわた撃ち/Gut Shot(NPH)》
4《マナ漏出/Mana Leak(M12)》
3《心理の障壁/Psychic Barrier(NPH)》
2《雲散霧消/Dissipate(M12)》
3《深夜の出没/Midnight Haunting(ISD)》
2《銀の象眼の短刀/Silver-Inlaid Dagger(ISD)》

さらに個人的な好みを言えばムーアランド1枚とトラフト2枚を削って《否認/Negate(M12)》も3枚入れたいのですが、そこはお好みで。なんだかんだ言ってもPWや《金屑の嵐》、《緑の太陽の頂点》がきつかったりしますからね。


サイドボードですが、このデッキが一番苦手なのは赤単です。ほぼ無理です。それでも勝つ可能性があるとすればライフが残っているうちに継続的なゲイン手段を…というところなので、《ドラゴンの爪/Dragon’s Claw(M12)》はぜひ欲しいところです。
《機を見た援軍/Timely Reinforcements(M12)》が採られていることの方が多いのですが、自分も殴って生物並べるデッキなので結構な割合で腐ります。援軍が腐るってことは勝ってんじゃねーかと言いたくなりますが、赤単には本体火力がありますからね。生物を最小限に展開しつつ火力を溜めこまれると効果的にプレイできないのであまりこのデッキが赤単対策として入れるのには向いていません。

あとは一般的なサイドカードでいいと思います。
サイドボードの一例
4《ドラゴンの爪/Dragon’s Claw(M12)》
2《幻影の像/Phantasmal Image(M12)》
2《神への捧げ物/Divine Offering(MBS)》
2《忘却の輪/Oblivion Ring(M12)》
1《戦争と平和の剣/Sword of War and Peace(NPH)》
1《エルズペス・ティレル/Elspeth Tirel(SOM)》
3《精神的つまづき/Mental Misstep(NPH)》


と、ここまで自分とその周囲で行われた調整の結果を書いていきましたが、僕自身はしばらくこのデッキを使っていません。なぜか?
イヤナガ型のケッシグに弱すぎるからです。

このデッキは相手が旧世代の緑単ケッシグなら相性8:2レベルで有利なのですが、そこに感電破とショックが入るだけで途端に不利になります。虫がある程度生き延びることを前提とした相性なので、1マナ火力はきつい。同様の理由で赤単はさらにきついですね。今はプロテクション赤を持つ生物がなぜか黒と赤にしか存在しない(《ファイレクシアの十字軍》、《ヴァルショクの難民》)という意味不明な環境なので、青白系クロックパーミは赤系除去デックに弱いのです。

ただ、今のようにエスパー系コントロールが流行ってケッシグが再び負け組になりつつある、もしくはコントロールメタの形に戻りつつある環境ならば神束は強いかもしれません。でも普通にイヤナガ型を使い続けてる人とか、あとコントロール&ケッシグメタで赤単を使ってる人に当たったら普通に死ぬのできついです。
現状では勝っているようですが、結局ケッシグが感電破を再び積み始めたらまた負けてしまうことが目に見えているのがなんとも言えないですね。


今のスタンは色んなデッキが勝てるから好き!という意見もよく聞きますが、換言すればどのデッキに当たっても文句は言えないわけで、かなりジャンケンっぽくなってて少し微妙だな、とも思います。
個人的にはそれなりに抜けた一強が存在して、それを巡るメタゲームが展開していくこれまでのスタンダードの方が好きですね(カウブレはちょっとやりすぎでしたが…)。もちろん混沌とした環境で純粋にプレイングが上手い人が多少の相性差を跳ねのけて勝つのも凄いことだと思いますが、「デッキ選択の時点で勝ってる」という状況が生まれにくいのもちょっとつまらないな、と思ってしまいます。いいデッキを見つけたり構築したりするのもマジックの強さの一部ですからね。
そんなわけで早くダークアセンションが出ないかなーと思っていますw

コメント

チャンス
2012年1月16日4:36

このデッキよくつかうんですけど赤単は有利じゃないですか?
数字はとってないのですが6:4くらいに感じてます
基本的に赤単にはトラフトと援軍をうまく使えば問題ないかなと
ドラゴンの爪は今の赤単はクリーチャーもそれなりに採用しており赤祭殿の存在から以前ほどの強さは無いと思います

カウンターを構えることが前提でしかもギタクシア派の調査も入っていないなら土地がかなり足りないように思います
理想的な周りをするために土地が23,4ほしいです
個人的には3マナくらいのカードは隙をみてプレイするのが一番いいと思います
それなら土地やカウンターが少なくても運営できます
これは序盤に求められる行動なので読み材料がほとんど無いことが多発するためギタクシア派の調査は数枚いれてます
別に4無くてもいいと思いますがいくらかはいれないと複数枚瞬唱を引いたときに寂しいのも理由のひとつです

いやながさんのケッシグなんかもトラフトが能動的にさばけるのが金屑の嵐しかなくスラーンでさえもサイド後には回答を用意してあったりと絶望するほどではないと思います(少し不利だとは思いますが)
結局勝ち手段が大振りなのでこっちの動きとはそれなりに噛みますしね

というわけで僕はかなりトラフト推しです
むしろサイドに4枚目をとってますw
あとそれに伴い土地を22にしてます(一応墨蛾ですが)

短刀やスカージは試してもいないのでためさせてもらいます

紅蓮の花
2012年1月16日8:25


サイドにパージはあった方がいいと思うんですが

オレは否認3入れる派ですね
あれあるだけでもイヤナガケッシグにワンチャンできるし追加でMステ入ればかなり楽なんで

ごらく
2012年1月16日9:17

イヤナガケッシグは緑単よりはキツイけど、それでも6-4は有利ですよ。
虫を守らず、スピリットトークンだけで充分殴りきれます。
代わりにメガパーミッションな構成にする必要がありますが。

ドラゴンの爪は流石に弱いです。こちらから赤いスペルが唱えられるならまだしも、援軍で守れるライフ量には全く及ばないです。

AKKA
2012年1月16日12:06

以下雑感。

・スカージはクロックが細すぎてキープ基準にならない。装備品も含めての採用ならもっと装備品を増やすべき(具体的には4~5枚。海外のタイプは物漁り&忍び寄りでこのタイプである)
・赤単相手はトラフト次第。トラフトが引けたゲームは楽に勝てるけど、それ以外は厳しい。よって、トラフトを減らしていたり、抜いていたりするレシピだと相性的に厳しい。サイド後のトラフトは対処されるので(金屑嵐&メタモーフなど)過信は禁物。
・赤単相手のサイド後の援軍が弱いのには同意。相手が普通のプレイヤーだったらケアされてまともに打てない。負けパターンは基本赤祭殿だから(だからと言って、茶が多いわけではないので茶除去を枚数積むのはナンセンス)、ドラゴンの爪も弱い。現状は明確なサイドプランが無いので、マッチ全体では不利かな?
・ギタクシア無しなら無しでも良いけど、それだったら土地が少なくないかな?私的には序盤から魔道士を運用したいので、ギタクシア(というかファイマナフリースペル枠を6~8枚)推奨派だけど。
・装備品については、タイプによっては全く取らなくても良いんじゃないかと思っている。この前使ったレシピだと惰性で2枚取っていたのだけど、サイドアウト率は高かった。

と、こんな感じかな?↑のレシピはえらく中途半端に見えますw

ポリス
2012年1月16日12:55

>ALL
とりあえず僕の認識は「1T目に何かクロックを置いて、後は可能な限りカウンターとバウンスで弾き続けるのが理想の動き」です。なので1T目に弱くてもいいので回避持ちクロックを設置し、後はできるだけ多くカウンターを積むのが理想だと思っています。なので土地はしばらくは2枚でも良く、しばらくしてから3枚目、4枚目を引ければいいかな?くらいに思っています。

>チャンスさん
援軍がどうも弱く感じるんですがそんなことないですか?
祭殿を通されてしまうとあとは火力を除去に使われて、あまりライフが削られない(何なら相手側の方が減ってる)状態で祭殿を溜めこまれてラストターンに援軍撃てないまま本体連打で死んだ経験が複数回あるので…。
土地が足りないのは同意で、なので僕のプレイスタイルから言うとトラフトは入っていないタイプの方が好きです。
ギタ調から入ってトラフトを展開するのは強いと思うんですけど、結局相手のハンドに脅威があったらカウンター構え続けてしばらく腐りそうなのが怖くてどうも…そんなことないですかね?

>紅蓮くん
まあ元々否認入ってたよね。トラフトが流行ってるから少し枠開けてみただけ。でも僕たちの使ってた多分全部構えてカウンターするスタイルと最近の流行りとは結構違うのかもしれない。

>ごらくさん
援軍は相手があまりお上手じゃない相手じゃないと弱いです。ドラゴンクローの弱さも大概ですけど。
ケッシグはムーアランドが増えてるこのタイプならもしかしたら相性逆転してるかもしれないですね。

>AKKAさん
スカージについては「1T目に出せる回避クロック持ち」ということで採用しています。前述のように根本の思想が少しでも脅威になり得るものはフルカウンターというものなので、1T目に生物が出るかどうかの差が激しいんですよね。ただ、このコンセプト自体が流行のリストと若干ズレてる気もしています。

やっぱ援軍弱いですよね。ドラゴンの爪が弱いのも分かってはいながら仕方なく…という感じですが、無駄な抵抗をするより他のスロットに当てるべきかもしれません。
赤単相手はライフあるうちにトラフト着地させて勝つかな?と思ったんですが、普通に2/2以上の生物が出てくるのでトラフトでは勝ちきれないイメージです。さすがに装備品も付けば勝つとは思いますが…そこのところどうでしょう?

無駄な土地はあまり引きたくないし、しばらく2マナでも動ける(ムーアランドは長引いた時に起動できれば十分)なので土地21でも十分じゃないかなとは思います。
ギタクシアと土地の枚数の関連性について言及がありますが、これはSCMを2マナ域として扱えるようになって疑似的にデッキが軽くなるという意味でしょうか?そうでなければ、ギタ調が3~4枚あっても特に構築の段階で土地が減らせるわけでもキープ基準が緩くなるわけでもないので土地の枚数とギタクシアはあまり関係がないと思います。
装備に関してはしばらく前(と言っても数か月前ですが)に使っていたころは装備無し→長槍→装備無し→短刀と変化してきたので、装備無しでも特に困らない気はします。カウンター多めに積む型なら尚更ですね。

AKKA
2012年1月16日23:02

最早別デッキだね。

対赤単はトラフト出して、ブロッカーをバウンス&ガットショット&魔道士で退かして殴るだけのイージーゲーム。赤単ってそんなに熊は多く無くない?基本1/1だと思うのだけど。チャンフェにぐらいかな。

0マナキャントリップは枚数によっては確実に土地を減らせるよ。関連性は明確にある。特にマナフラッドの怖いデッキなら尚更。メインでは安定した動きを追求するためにも、ギタクシアのような潤滑油は必要だと思う。

ぶれんたん
2012年1月17日0:58

自分も触発されて、青白虫について書いてみたのでよろしければ見てみて下さい。

ポリス
2012年1月17日16:52

>AKKAさん
そうなんですよ、僕が強いと思っていた構成は今の流行りと全然違うデッキなんですよね。こんなにビート寄りになってるとは思いませんでした。
嵐血とチャンフェニと流城の貴族あたりが割とすぐ2/2以上として出るかなーってイメージです。まあ、チャンフェニ以外の二種はバウンスが刺さるので実際はそこまで脅威ではないんでしょうね。

土地を減らせてるのは主にポンダーのおかげで、ギタ調はそうでもないっていうイメージだったんですけどそういうわけでもないんですね。

>datakさん
サイドに《石のような静寂/Stony Silence(ISD)》はいいかもしれませんね。

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