RTRの公式フルスポイラーも出たので、そろそろ恒例の新セットTOP10企画をやる予定…ですが、その前にローテーション入れ替わりということでスタン落ちするセットの振り返りを。

前回はISDのTOP10と同時にやったのですが、今回は追悼企画単独でそれなりの文量になりそうだったので分けることにしました。
基準は自分でお世話になったカードや環境でよく使われたカードのうち、スタンダードから消えることによる影響の大きさです。

それではさっそく10位から見ていきましょう。

【10位】《出産の殻/Birthing Pod(NPH)》
自分ではついに一度も使いませんでしたが、スタンだけでなくモダンでも大活躍のこのカード。デッキ構築が難しそうで、組む人によって様々なギミックが仕込まれている印象があります。
昨今のCIP生物インフレと相まって、一度回りだすと手のつけられない存在でした。《刃の接合者/Blade Splicer(NPH)》が環境に存在したのも大きいですね。

【9位】コントロール向けプレインズウォーカー
(主に《ギデオン・ジュラ/Gideon Jura(M12)》、《解放された者、カーン/Karn Liberated(NPH)》)
まさかの再録を果たしたギデオンはもちろん、マナの数さえ揃えばあらゆるデッキで運用可能なカーンもコントロールデッキには大きく貢献をしていました。
環境最後はコントロール自体がつらいメタゲームではありましたが、これらのPWを突破できずに負けたゲームも数多くあったことを思い出します。

【8位】コピー・クリーチャー
(《幻影の像/Phantasmal Image(M12)》、《ファイレクシアの変形者/Phyrexian Metamorph(NPH)》)
なぜかこの時期には2種類もの強力なクローン亜種があり、その両方が本家より軽いというコピー全盛期でした。強力な伝説のクリーチャーやファッティが多数存在したため、これらのカードは多くのデッキに使われることになり嫌が応にも意識せざるを得ない存在となりました。
特に2マナでキャストできる《幻影の像》はぶっ壊れの一言。レガシー級です。

【7位】各種装備品
(《饗宴と飢餓の剣/Sword of Feast and Famine(MBS)》、《戦争と平和の剣/Sword of War and Peace(NPH)》、《殴打頭蓋/Batterskull(NPH)》)
緑黒剣とバターは主にカウブレ期に猛威を奮ったため最近ではおとなしい印象がありますが、それでも強いことに変わりはありません。

《殴打頭蓋》はもはや装備品の枠を超えた能力であり、石鍛冶を経由せず5マナでキャストしても全く問題のない強さです。これもあらゆるカラーで使えたため、青系のコントロールだけでなく緑単系のビッグマナでも使え、さらにはDelver系のデッキがサイド後の消耗戦用に使用していた時期もありました。

赤白剣はむしろZENブロックが落ちてからが本番と言ったところで、特にステロイド系からマナクリ経由で2T目に出てくる赤白剣は恐怖の一言でした。カードの性質上、早く出せば出すほど強力であるために早出しを補助しつつ装備先にもなるマナクリとの相性は劇的でしたね。

【6位】《マナ漏出/Mana Leak(M12)》
2年振りにスタンに帰ってきてからその2年後に落ちるまで、やはりというか当然というか環境に影響を与え続けることになりました。
環境後期こそDelver同型における弱さや《魂の洞窟/Cavern of Souls(AVR)》の存在などから重要性が低くなったものの、2マナカウンターの歴史上最強クラスの一枚であることは疑いようもありません。
もうスタンでリークケアの3マナ立てを見ることがなくなると思うと少し寂しいですね。おそらくスタンダードに帰ってくることは今後無いのではないでしょうか。

【5位】《墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus(MBS)》及び各種感染カード
スタンダード環境で「毒殺」という特殊勝利条件が用いられるのもあと少しです。やっていることはアタックしてダメージを与えているだけなのですが、やはりその殺傷力の高さとライフ回復による回避が不可能である点が大きかったように思います。スタン落ち最後の最後でM13の登場によりひと花咲かせていったということも印象深いところ。自分でも使っているので尚更です。

《墨蛾の生息地》はやや例外で、これは感染デッキだけでなくケッシグ系のビッグマナやカウブレ、初期Delverなどのクロックパーミ、さらには《鍛えられた鋼》デッキなどで純粋にミシュランとして使われた実績もあります。無色1マナ起動で回避持ちのミシュラ土地というだけで強力なのは当たり前ですね。
このカードのおかげでスタンダードですら30点を削るデッキが正当化されたという、ある意味凄いカードだと思います。

【4位】1マナのマナクリーチャー
(《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves(M12)》、《極楽鳥/Birds of Paradise(M12)》)
いつだったか「ラノエルとバッパラはスタンに同居させない」という旨の記事を見た覚えがありましたが、なんのことはなく久々にスタンでこの2体が仲良くマナを出している光景が各所で見られました。
前述の通り装備品との相性の良さや、緑系のビートダウンが3マナ域から一気に回り始めるという点から久々に大活躍していた気がします。これほどまでにスタンで《極楽鳥》が使われていたのは久しぶりではないでしょうか。よくマナを出し、よく焼かれていました。
とはいえ次環境でも《東屋のエルフ/Arbor Elf》と《アヴァシンの巡礼者/Avacyn’s Pilgrim》がいるのでなんとかなりそうではありますね。

【3位】各種Φマナスペル
多く使われたのは《はらわた撃ち/Gut Shot(NPH)》、《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe(NPH)》、《四肢切断/Dismember(NPH)》、《変異原性の成長/Mutagenic Growth(NPH)》、《使徒の祝福/Apostle’s Blessing(NPH)》、《精神的つまづき/Mental Misstep(NPH)》あたりでしょうか。

主にDelverと感染で多用されていたように感じます。やはりマナをライフで代替できる(しかも色があってなくても使える)というのは大きかったですね。特に0マナでキャストできて盤面の生物と1:1交換が取れる《はらわた撃ち》が環境に与えた影響は相当なものだったと思います。
それと同様に色を問わずタフネス5までを落とせる《四肢切断》の影響力もかなりのものでした。一番被害を受けたのはどう見ても黒自身ですよね…。(抹殺者とかね!)
ギタ調はΦマナスペルであるという点と同じくらいその効果が重要で、「仕掛けるタイミング」の重要性がどれほどのものかということを知ることができました。腕の問われる、難しいカードだったと思います。

【2位】各種タイタンおよびその他のフィニッシャー生物
これほどまでにフィニッシャーが充実していた環境が他にあったでしょうか。
タイタンサイクルでは文句無しで最強の緑タイタンこと《原始のタイタン/Primeval Titan(M12)》はもちろん、それ以外のタイタンもそれぞれその色で十分なマナを供給できる様々なデッキに投入され、ゲームを速やかに終わらせたり、または除去されても大きな傷を相手に残していきました。

「もう一つの青タイタン」こと《聖別されたスフィンクス/Consecrated Sphinx(MBS)》は一度ターンをまたいでしまえば取り返しのつかないアドバンテージを稼ぎ始めますし、《大修道士、エリシュ・ノーン/Elesh Norn, Grand Cenobite(NPH)》はりアニメイトや白の絡むビッグマナなどで、その「実質CIP除去能力」により数多くのビートダウンを黙らせてきました。
色を問わず使える《ワームとぐろエンジン/Wurmcoil Engine(SOM)》は多大なライフリソースを供給し、さらには除去されても分裂してしまうという特に赤や緑のデッキに対しては絶望的なまでの威力を誇りました(バウンスや追放のある青白系に対してはやや微妙でしたが)。

これらの強力なフィニッシャーの存在により、スタンダードはその気になればどの色であってもビッグマナ系やコントロールを組むことが可能であり、それは環境のメタゲームに最も適切な回答を用意できる色が常にコントロールカラーとしてビートダウンに立ちはだかるということでもありました。
これらの生物がローテーション落ちすることで気軽にアドバンテージを取れるデカブツという概念が一気に消えてしまいます。次の環境はどんな生物が選ばれるのでしょうか?

【1位】《思案/Ponder(M12)》
M11のローテ落ちにより《定業/Preordain(M11)》を失った青。
これまで思案は「悪くはないけど、コンボデッキ向けで普通のコントロールには入らないし、クロパ系にもマナフラ回避用に少し積まれるだけ」というのが定説でした。
しかし、《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets(ISD)》との劇的なまでの相性の良さや、《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage(ISD)》からのフラッシュバックのお手軽アドバンテージ、さらに環境が高速化することによるコントロール側の対抗策として「アドバンテージよりも直近のターンに引く呪文の質を最適化する」という概念の誕生から、環境の青い数多くのデッキで使用されるようになりました。
また、そこまで流行することはなかったのものの「奇跡」系のカードともそれなりに相性良く使えるカードです(これに関してはさすがに《渦まく知識/Brainstorm》には遠く及びませんが)。

カードが再録され、それが新しいカードセットとの組み合わせでかつてとは桁違いの頻度で使われるようになったり、またかつてとは全く違う用途で使われるようになるのを見ると「いい再録だなぁ」と感じます。

個人的に最も素晴らしい再録の歴史を持っているのは《砕土/Harrow》だと思います。TMPの時は活躍していたかどうか全く知りませんが、INV期はドメインの5色基本土地サポートに、ZEN期には上陸サポートに、と全く違う形で活躍しました。
今回の《思案/Ponder(M12)》はそれに並ぶほどの素晴らしい再録であったと思います。というわけで、再録カードではありますがこのカードを第一位として締めくくらせていただきたいと思います。


※惜しくも選外だったカードたち
今回のTOP10はカード名ではなくグループやサイクルで括ることで強引に一枚でも多くのカードにスポットを当てようと思ったのですが、それでもどうしても10位までに収まりませんでした。けれどどうしても触れておきたい!というカードがまだ少しだけ残っているので、最後に追加しておきます。

【11位】《蒸気の絡みつき/Vapor Snag(NPH)》
やはり《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage(ISD)》あってこその強さではあったと思いますが、それでもバウンスに1点ルーズがついただけでここまで強くなるものか、と使ってみてわかるこの強さ。
相手が手札を使い切るまでに殴り勝ってしまえばやっていることは除去と同じなわけで、レガシーでもソープロすら押しのけてこれを採用したDelver系のテンポデッキを組んだことがあります。相手にライフを与えるどころか失わせながらどんなデカブツも除去ができる青いスペルなんて、これ以上のカードがあるでしょうか。

各種エキスパンションは基本セットのカードに少しだけ効果を追加しただけのようなカードがよく含まれていますが、その中でもこのバウンス+ライフルーズという組み合わせは美しかったですね。自分に打ったときにはきちんとデメリットとして働く(そして、そこそこ自分に打つことも多い)というのもデザインとして綺麗だなぁと思いました。

【12位】各種SOM2色ランド(《金属海の沿岸/Seachrome Coast(SOM)》など)
これまで登場した2色土地の中でもトップクラスに強く、使いやすいカードであったと思います。この環境でここまでビートダウンが優勢であった理由の一端がこのサイクルにあったことは疑いようもないはずです。
最もマナトラブルの起きやすい序盤にきちんとアンタップインして2色のマナが出せるという、まさに求めるものが全て詰まった理想の土地でした。序盤にマナトラブルが起きてゲームができないとつまらないと感じてしまうため、プレイヤーの精神衛生上とてもいいデザインでしたね。
フェッチランド、ショックランドに続く高品質の土地として名を残すことは間違いないでしょう。


長くなりましたが以上です。
それではまた。次は「ラヴニカへの回帰TOP10」を掲載予定です。

コメント

nophoto
minmin
2012年9月25日11:47

>>《マナ漏出/Mana Leak(M12)》2マナカウンターの歴史上最強クラスの一枚であることは疑いようもありません


《Mana Drain》《対抗呪文/Counterspell》《目くらまし/Daze》《ルーンのほつれ/Rune Snag》《差し戻し/Remand》
けっこう疑わしいと思いますが・・・

ポリス
2012年9月26日1:34

シングルシンボルである点、3マナ要求できる点、打ち消した呪文を確実に処理できるという点でそれらのどのカードにも劣ってはいないですね。
もちろん青単ならば対抗呪文やマナドレインの方が優秀な場面の方が多そうですが。

nophoto
パパスファン
2012年9月28日19:55

tp://livetube.cc/silvergill/%E3%82%AA%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%B3%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E7%A9%BA%E6%B8%AF
ほれ

やちひこ
2012年9月29日22:52

下関レガシーで、親和を使ってた やちひこ です。勝手ながら、リンクさせてもらいましたー!!

ラワン@女帝
ラワン@女帝
2012年10月1日11:53

遠征お疲れさまでした。
昨日会えなかったのは残念ですが、またいつかお会いしましょう。
リンクさせて貰います。

ポリス
2012年10月2日0:11

>やちひこさん、ラワンさん
リンクありがとうございました。下関勢にはお世話になりました。

武装紳士アルコ
2012年10月2日15:32

遠征お疲れ様でした!
レガシーでZOOを使っていた者です。
飲みは出来なくて残念です。今度はこちらから行こうと思いますので、その時は一緒に飲みましょう!
リンクさせていただきますね。

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